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店舗賃料と日本銀行が発表している店舗賃料指数の間に相関関係が見られるか分析して見る。
店舗賃料は、一般社団法人日本ショッピングセンター協会が、毎年会員の賃料・共益費を調査して『SC賃料・共益費』で発表している中心地域物販賃料の賃料を採用する。
中心地域とは、大都市、中都市A・B・C、小都市A・Bの中心地域を云い、そこにあるショッピングセンターの物販店舗の平均賃料である。坪当り円である。
店舗賃料指数は、日本銀行が企業向けサービス価格調査の一環の中で発表している日銀店舗賃料指数とする。
日銀店舗賃料指数は各年6月とする。一般社団法人日本ショッピングセンター協会発表の店舗賃料は、発表の年の賃料とする。
一覧表では、日銀店舗賃料指数との関係上、各年6月となっているが、日本ショッピングセンター協会が発表した各年の賃料である。
データ一覧は、下記である。
年月
|
日本SC協会中心地域物販賃料 円/坪
|
日本銀行店舗賃料指数 2015年=100
|
2000年6月
|
29259
|
102.7
|
2001年6月
|
25857
|
103.2
|
2002年6月
|
25927
|
103.2
|
2003年6月
|
27253
|
102.9
|
2004年6月
|
27582
|
102.8
|
2005年6月
|
29100
|
103.2
|
2006年6月
|
30179
|
102.4
|
2007年6月
|
32281
|
101.9
|
2008年6月
|
33948
|
101.3
|
2009年6月
|
29308
|
100.2
|
2010年6月
|
31742
|
98.8
|
2011年6月
|
31805
|
98.4
|
2012年6月
|
30623
|
97.1
|
2013年6月
|
29872
|
96.9
|
2014年6月
|
30289
|
99.6
|
2015年6月
|
29460
|
99.0
|
2016年6月
|
37145
|
99.0
|
2017年6月
|
33413
|
98.7
|
2018年6月
|
38046
|
99.4
|
2019年6月
|
32402
|
99.6
|
2020年6月
|
33085
|
94.6
|
2021年6月
|
26426
|
96.3
|
上記データを、左側縦軸に店舗賃料(円/坪)、右側縦軸に日銀店舗賃料指数(2015年=100)を取って図示したグラフが下図である。
上図を見て、実際の店舗賃料と日銀店舗賃料指数との間に強い相関関係があると読み取れるであろうか。
店舗賃料の2008年の山は、不動産ファンドバブルによる店舗賃料の上昇である。リーマン・ブラザーズの倒産で一気に不景気に成り店舗賃料は下落した。
店舗賃料の2016年〜2018年の山は、リートバブルによる好景気による賃料の上昇である。
日銀店舗賃料指数は、店舗賃料の上記動きと全く連動が見られない。特に2000年〜2008年の間は、真逆の動きをしている。
店舗賃料の2016年〜2018年のリートバブルの山は、2003年〜2008年の不動産ファンドバブルの山より高いが、日銀店舗賃料指数は、その様になっていない。
上記動きを知った上で下記の分析を行う。
@ 2000年〜2021年の間
2000年a 2021年b 変動率b/a
店舗賃料 29,259円 26,426円 0.903
店舗賃料指数 102.7 96.3 0.937
店舗賃料は▲9.3%下落しているのに、店舗指数は▲6.3%下落している。
両者の結果を見ると相関関係があるごとく見えるが、その間の経緯を見ると相関関係は弱い。
A 変動巾
最低a 最高b 高低倍率b/a
店舗賃料 25,857円 38,046円 1.471
店舗賃料指数 94.6 103.2 1.090
店舗家賃の変動巾は、低値に対して47.1%の巾がある。
日銀店舗賃料指数の変動巾は、低値に対して9.0%の巾である。
変動巾の率が違い過ぎる。
最低値、最高値をつける時期が、両者の間に同時性が全く無い。
B 変動時期の違い、変動率の違い
店舗賃料は、2001年の25,857円/坪から2008年には33,948円/坪に値上がりしている。不動産ファンドバブルの上昇である。変動率は、
33,948円
────── = 1.312
25,857円
31.2%値上がりしている。
日銀店舗賃料指数の同じ期間を見ると、2001年6月は103.2 、2008年6月は101.3である。
変動率は、
101.3
─────── = 0.981
103.2
▲1.9%値下がりしている。
C 不動産ファンドバブルの家賃上昇が日銀店舗賃料指数には反映されていない
店舗賃料は不動産ファンドバブルを反映して2003年27,253円/坪、2008年33,948円/坪であるが、日銀店舗賃料指数はこの要因が全く反映されず、指数は102.9、101.3である。
上記@ABCの両者の関係を見て、変動が似かよっていると判断出来るであろうか。
店舗賃料と日銀店舗賃料指数との間に強い相関関係があるとは認めがたい。
とても日銀店舗賃料指数を店舗賃料評価のスライド法の尺度として採用することは出来ない。
D データのプロット
縦軸にSC店舗賃料、横軸に日銀店舗賃料指数を取り、上記データをプロットすると、下記の図である。
SC店舗賃料と日銀店舗賃料指数のデータのプロットの点は、散在し、傾向がはっきりと認められる散布図で無い。両者の間に強い相関関係があるとは認められない。
鑑定コラム2410)「事務所賃料の評価でスライド法に消費者物価指数を使うことは妥当か」
鑑定コラム2411)「店舗賃料の評価でスライド法に消費者物価指数を使うことは妥当か」
鑑定コラム2415)「事務所賃料と日銀店舗賃料指数との関係」
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鑑定コラム2417)「日本銀行事務所賃料指数・東京圏と都心5区事務所賃料の関係」
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