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2524) 2022年の暮れ 消費者物価指数40年振りに対前年同月比3.7%上昇

 2022年12月23日に総務省は、2022年11月の消費者物価指数を発表した。

 生鮮食品を除く全国総合指数は、2020年を100とした指数で103.8となった。

 対前年同月比の上昇率は、3.7%となった。

 この対前年同月比3.7%の上昇は、マスコミ報道によれば、1981年12月の4.0%以来であり、40年11ヶ月ぶりの上昇という。

 消費者物価指数の対前年同月比上昇率が40年11ヶ月振りの現象ということで、マスコミ報道は大騒ぎであり、新聞の夕刊はトップニュースで伝えている。

 各通信・新聞社等のウエブ報道の見出しを転載すると、下記のごとくである。

 ・NHK 2022年12月23日 12時44分 
  「11月の消費者物価指数 前年比3.7%上昇 40年11か月ぶりの水準」

 ・FNN 2022年12月23日 金曜 午前8:40
  「【速報】消費者物価指数 前年同月を3.7%上回る 40年11ヶ月ぶりの上げ幅 」

 ・共同 2022年12月23日8:40
  「11月の消費者物価3.7%上昇 40年11カ月ぶり伸び」

 ・日経 2022年12月23日 8:33
  「日本の消費者物価、11月3.7%上昇 40年11カ月ぶり水準」

 ・読売新聞 2022/12/23 11:46
    「11月の消費者物価指数、前年同月より3・7%上昇…40年11か月ぶりの高い伸び」

 値上がりの原因は、ロシアのウクライナ侵攻により、石油、ガスの値上がりに伴う欧米のインフレにより、輸入物価の上昇、そして円安の影響によるものである。

 どの品目が値上がりしたのか。

 総務省のホームページを訪れ、全国消費者物価指数の品目別の指数と上昇率を調べて見た。対前年同月比の上昇の激しい品目を記すと、下記である。

  
                  品目          上昇率%
     1位  食用油     35.0   
          2位    油脂            32.6
          3位    都市ガス代      28.9
          4位    さけ            26.8
          5位    ダブレット端末  24.4
          6位    電球・ランプ    24.0
          7位  マヨネーズ      21.0
          8位    焼き魚          20.7
          9位  いわし          20.3
         10位    電気代          20.1

 全ての品目が値上がりしているのではない。値下がりしているのもある。そうで無いと総合指数103.8にならない。

 値下がりの最高と次点は下記である。
          1位  宿泊料       ▲20.0
          2位  サッカー観覧料      ▲11.7

 不動産に関係するものは、下記である。
                      指数          変動率
     民営家賃   99.1     0.1 
            木造   100.4          0.3
            非木造     99.8           0.0

 値下がりトップは宿泊料とは驚いた。値下がりトップの宿泊料を、3年近く毎月せっせと調べていたのである。

 私が調査した東京、名古屋、京都、大阪駅周辺のビジネスホテル料金は、1年前と比べて、20%下落していない。逆で大幅に値上がりしている。下記のごとくである。

                      2021年11月       2022年11月       変動率
   東京駅周辺         6,629円        13,580円         2.05倍
      名古屋駅周辺       6,122円         8,689円         1.42倍
      京都駅周辺        11,372円        15,843円         1.39倍
      大阪駅周辺         6,405円        10,790円         1.68倍

 宿泊料が対前年同月比で20%下落しているという事実は何処にも無い。

 逆に1.39倍〜2.05倍宿泊料は値上がりしているのである。

 総務省の宿泊料の調査対象のホテル・旅館がどういう種類、地域にあるものか分からない事から、20%の下落を否定する積もりはないが、しかし同じ宿泊料である。データ値の違いがひどすぎる。政府発表値であるからといっても、この違いはひどすぎるでは無かろうか。

 料金が上昇しているホテルもあるょと、問われれば云えることは十分出来る。

 消費者物価指数の数値が真逆になるという現象もあるということを、今回初めて知った。それは、自身が調査していたから分かったことである。

 調査していなかったら、東京、名古屋、京都、大阪駅周辺のビジネスホテルの宿泊料は、消費者物価指数を見て、年間20%下落していると認識することであろう。

 消費者物価指数を調べた品目の指数と変動率一覧表は、下記である。


全国消費者物価指数 2020年=100  
品目 2022年11月指数 対前年同月比%
食用油 162.7 35.0
油脂 157.9 32.6
都市ガス代 133.4 28.9
さけ 128.3 26.8
タブレット端末 117.1 24.4
電球・ランプ 138.2 24.0
マヨネーズ 136.1 21.0
焼き魚 127.0 20.7
いわし 131.2 20.3
電気代 127.0 20.1
携帯電話機 115.1 20.1
スパゲッティ 119.6 19.4
オレンジ 117.1 19.1
アボガド 115.9 18.7
電気洗濯機 116.9 18.2
ポテトチップス 117.7 18.0
小麦粉 123.4 17.4
ピーマン 90.3 17.3
空気清浄機 113.5 16.9
炭酸飲料 128.3 16.2
ハンバーグ 113.6 15.7
食パン 114.2 14.5
ゆでうどん 113.6 14.2
焼豚 112.5 13.8
カップ麺 114.2 13.1
運動靴 113.2 11.8
トレーニングパンツ 96.7 11.4
総合かぜ薬 109.1 10.8
自転車 111.0 10.7
男子用セーター 121.5 10.6
カーネーション 110.6 10.2
チョコレート 110.0 9.3
航空運賃 107.1 7.4
サッカー観覧料 99.5 (11.7)
宿泊料 91.4 (20.0)



  鑑定コラム2519)
「ビジネスホテル業界は新型コロナウイルス感染の影響を乗り越えた 2022年11月」

  鑑定コラム2534)「消費者物価指数の宿泊料は東京区部と全国は同じ」

  鑑定コラム2536)「大阪市消費者物価指数に宿泊料は無い」


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