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2550) 2022年東京のRC造マンションの建築費はu当り33.35万円

 2023年(令和5年)1月31日に、国土交通省は、2022年1月〜12月1年間の『建築着工統計調査』の建設データを発表した。

 その『建築着工統計調査』は、木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他の構造別の都道府県ごとの1年間の建築着工の建物棟数、延べ床面積、工事費予定額の統計データを記載している。

 構造別の他に、用途別としてまとめて発表もしている。その発表によれば、全国及び東京都のデータを記すと、下記である。


2022年 全国 RC造    
用途 棟数 延べ床面積 u 工事費予定額 万円 万円/u
事務所 447 674881 26202129 38.82
店舗 116 115681 4241365 36.66
工場及び作業場 131 277643 9387504 33.81
倉庫 254 3666805 48760598 13.30
学校の校舎 387 1098868 36716419 33.41
病院・診療所 175 557267 18691910 33.54
その他 2121 1973610 81717021 41.40
居住専用 9226 12260337 333208732 27.18
宿泊業用 266 418362 18728534 44.77
         
2022年 東京 RC造    
用途 棟数 延べ床面積 u 工事費予定額 万円 万円/u
事務所 94 172422 6381992 37.01
店舗 38 23451 1341039 57.18
倉庫 20 152408 2334484 15.32
学校の校舎 29 124444 5408798 43.46
病院・診療所 19 48973 1280212 26.14
その他 159 189345 7384445 39.00
居住専用 2117 2952842 98462738 33.35


 全国と東京のRC造建物用途別の建築工事費は、下記である。単位は万円/uである。

                        全国         東京
   事務所       38.82万円/u     37.01万円/u
   店舗        36.66         57.18
      工場及び作業場   33.81                 −
     倉庫        13.30        15.32
      学校の校舎     33.41                43.46
      病院・診療所    33.54        26.14
      その他              41.40                39.00
      居住専用      27.18                33.35
      宿泊業用      44.77         −

 東京の工場及び作業場、宿泊業用は建物棟数が少ないことから、単価の計算外とした。

 居住専用はマンション建物である。

 東京のRC造の平均建築費は、34.85万円である。(鑑定コラム2548)

 平均建築費と事務所建築費、マンション建築費を見比べれば、用途の工事費差はどの位か分かろう。

 事務所、マンションはRC造だけでは無い。鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造もある。

 その構造の事務所、マンション工事費は、又異なっている。しかし、それ等用途の建物工事費の基本は、RC造の建築工事費では無かろうかと私は思う。

 但し、上記単価は、平均建築面積に対応する規模の建築費である。

 マンションで云えば、東京では、一棟当りの建物の規模は、
     2,952,842u÷2,117棟=1,395u/棟
1,400u程度の1棟マンションの建築単価は1u当り33.35万円ということである。

 延べ床面積25,000uのマンションの建築工事費も、33.35万円/uであるという訳ではない。

 規模大の建物の単価は、規模小の建物単価に比して安くなる。

 これは同一商品を大量購入する人の単価は少量購入者の単価よりも安くなるという、経済合理性が作りあげている経済経験則である。

 建物の工事費も経済経験則の例外としては存在しない。その経験則が適用される。

 RC造の集合住宅の場合、建築面積1,000〜2,999uの建築工事費単価を評点86とすると、建築面積10,000〜29,900uの建築工事費単価は75である。

 これは、鹿島、竹中工務店、大林組、清水建設等総合建設会社30社、設備専門会社10社の協力による建設データ分析の結果である。このことについては鑑定コラム2154)「まやかしの建築工事費」に記述してある。

 同じ用途の建物でも、規模小の建物と規模大の建物では単価は異なると、建設会社が自ら公表しているのにも関わらず、その様な経済経験則など存在しないごとくふりして、規模小の建築単価を規模大の建築単価として採用して、建築工事金額を高額にして中抜きを計った不動産鑑定書、それに乗っかかってあくどく不動産価格の中抜き横流しを計ったとんでもない地方公共団体がある。

 晴海東京オリンピック選手村のマンション、1棟マンションの建築単価を上記例で例えれば、1棟1,400uの建築単価33.35万円/uを、1棟25,000uの建築単価も同じとして適用して、十数棟のマンションの建築工事費を計算し、開発法の建築費として計上するがごとくである。

 33.35万円/uの単価で求めた建築工事費を、マンション分譲価格から控除して、残ったのが土地価格とする開発法を採用して、土地価格を求める。このごとくの行為をして都有地を時価のおよそ1/10程度にして、マンション開発業者に売り飛ばしたのが東京都という日本最大の地方公共団体が行った行政行為である。

 水増しの高額な建築工事費を控除することによって、土地価格は甚だ安くなり、その分開発業者は大儲けとなる。加えて、マンション分譲価格を低く見積もって行えば、なお、土地価格は安くなる。

 東京都側の不動産鑑定会社は、33.35万円/uが適正な建物工事費であり、その建物工事費を控除して土地価格を求める開発法というインチキ手法によって求められた土地価格は適正であると主張するがごとくであり、東京都側代理人弁護士は、不動産の鑑定評価の専門家が判断した価格であるから適正価格であると主張するがごとくである。

 東京都側代理人弁護士が適正であると主張することは、東京都が適正であると主張しているということである。

 東京都も随分と悪いことをするものである。

 係員、係長、課長補佐、課長、次長、部長、局長、副知事と多くの人がいるが、大きい集合体になると物事の良し悪しの判断が出来なくなるようである。

 一部の権力のある人の主張が間違っていてもその主張が通って、それに逆らうと自分も左遷になると思い逆らうこともせず、止める人もいない。

 間違いが分かっても、条例何条、法律何条に従って適正に行っていますと官僚・役所の無謬性(むびゅうせい)を主張する。

 官僚・役所の無謬性は、自らが意図して悪いことをする行為、脱法行為をする行為にまでにも適用されるものでは無い。

 一方、行政は悪いことをしないと云う予断に頭を支配されている裁判官は、東京都側の悪智恵の判断・行為を何の疑問も持たず、東京都側の言い分が適正であると思い込んで判決する裁判官も裁判官である。

 節穴裁判官であり、はっきりと指摘しているにもかかわらず指摘している経済経験則すら分からなく、証拠の良し悪しの判断が出来ないのであっては、裁判官として失格の裁判官であろう。

 この様な裁判官がぞろぞろいて、形骸化した裁判により、その影でほくそ笑んでいる人がいるということか。


  鑑定コラム2154)
「まやかしの建築工事費」

  鑑定コラム2548)「2022年東京RC造建築費はu当り34.85万円」

  鑑定コラム2562)「居住専用準住宅という建物」


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