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2748) 千葉市、市川市、松戸市、市原市、八千代市の賃貸売ビルの粗利回りと還元利回り・期待利回り



 千葉市、市川市、松戸市、市原市、八千代市の賃貸売ビルの粗利回りと還元利回り・期待利回り

不動産鑑定士
桐蔭横浜大学法学部客員教授
田原 拓治

1.はじめに

 粗利回りの算式は、
                     賃料総収入
                 ───────── = 粗利回り                     
                  土地価格+建物価格
である。

 不動産業者が使用する賃貸売ビルの表面利回りとは、
                    満室年間家賃(万円)
                 ───────── = 粗利回り(%)                 
                      売価格(万円)
の算式で求められる割合である。

 売物件価格が、(土地価格+建物価格)で把握出来れば、それは積算価格となる。

 上記表面利回りの算式は、粗利回りの算式と同じということになる。

 粗利回りが最も市場価格を反映している利回りというのであるから、この粗利回りから還元利回り・期待利回りを求めることは出来ないであろうか。

 その事について論述する。

2.千葉県の千葉市等の賃貸ビルの粗利回り

 千葉県の千葉市、市原市、八千代市、市川市、松戸市の賃貸売ビルのデータから、粗利回りを求めると、下記である。

 データは2024年6月の不動産情報提供会社のアットホームのホームページに掲示された売物件である。


  千葉県     2024年6月
所在 価格 万円 満室時年間家賃万円 b 粗利回り% b/a
1 千葉市中央区都町3 11000 865 7.86
2 千葉市中央区中央3 25000 1774 7.1
3 千葉市中央区新町3 25500 1800 7.06
4 千葉市中央区院内1 43000 1800 4.19
  平均     6.55
         
1 市原市ちはら台西1 4500 363 8.07
2 市原市姉ヶ崎東1 15000 838 5.59
  平均     6.83
         
1 八千代市大和田新田 4500 416 9.24
2 八千代市勝田台1 6500 450 6.92
  平均     8.08
         
1 市川市北方1 16000 1211 7.57
2 市川市市川1 57700 2886 5
  平均     6.29
         
1 松戸市松戸 7850 715 9.11
2 松戸市日暮1 53700 2691 5.01
  平均     7.06


3.千葉市中央区の商業地の地価公示価格の必要諸経費率

 令和2年頃より、地価公示価格の鑑定書が公開される様になった。商業地の地価公示価格は、公示地の上に最有効使用の賃貸ビルが想定され、収益還元法によって収益価格が求められている。

 令和6年の千葉市中央区商業地の地価公示価格の収益還元法に使用されている必要諸経費率(必要諸経費÷賃料総収入=必要諸経費率)は下記である。


  公示番号 所在(住居表示) 必要諸経費率%
1 千葉中央5-1 中央区富士見2-2-3 35.8
2 千葉中央5-2 中央区富士見1-14-13 36.0
3 千葉中央5-3 中央区中央3-14-11 20.7
4 千葉中央5-4 中央区栄22-16 22.3
5 千葉中央5-5 中央区中央4-16-1 22.4
6 千葉中央5-6 中央区新田町5-7 22.6
7 千葉中央5-7 中央区春日2-25-3 19.2
8 千葉中央5-8 中央区南町2-14-17 20.6
9 千葉中央5-9 中央区仁戸名町554-2 16.8
10 千葉中央5-10 中央区長洲1-20-2 19.4
11 千葉中央5-11 中央区新町17-16 22.5
12 千葉中央5-12 中央区祐光4-1-4 19.6
13 千葉中央5-13 中央区新田町23-15 21.5
14 千葉中央5-14 中央区神明町543-2 19.8
15 千葉中央5-15 中央区本千葉町1-3 22.3
16 千葉中央5-16 中央区浜野町1025-426 18.0
17 千葉中央5-17 中央区都町3-21-7 20.4
18 千葉中央5-18 中央区新町18-12 22.3
19 千葉中央5-19 中央区富士見2-7-3 35.9
20 千葉中央5-20 中央区千葉寺町1195-5 19.1
21 千葉中央5-21 中央区今井3-28-15 21.0
22 千葉中央5-22 中央区中央4-9-8 19.8
  平均   22.6
      ≒23


 千葉市中央区の賃貸ビルの必要諸経費率の平均は23%である。但し、地価公示価格の必要諸経費には減価償却費は計上されていないことから、その必要諸経費率は、償却前必要諸経費率である。

4.千葉市中央区の商業地の粗利回りからの還元利回り

 @ 還元利回りの算式

 還元利回りは、
                          純収益
         還元利回り =────────                             
                         土地建物価格
である。

 純収益は、

     純収益=賃貸総収入−必要諸経費

である。

 必要諸経費率は、
                              必要諸経費
          必要諸経費率 = ──────                             
                              賃貸総収入
である。

 必要諸経費は、

     必要諸経費 = 賃貸総収入×必要諸経費率

である。

 純収益の算式及び必要諸経費の算式を、還元利回りの算式に代入すると下記の式となる。
                          純収益
      還元利回り=    ────────                              
                        土地建物価格

賃貸総収入−必要諸経費         = ─────────────  土地建物価格
賃貸総収入−賃貸総収入×必要諸経費率         = ───────────────────        土地建物価格

 上式を変形すると下記となる。
                     賃貸総収入            賃貸総収入
   還元利回り= ─────     −   ─────── ×必要諸経費率
                    土地建物価格          土地建物価格
 上記式は、

     還元利回り = 粗利回り×(1−必要諸経費率)

となる。

 A 期待利回りと還元利回りの関係

 期待利回りとは、賃貸借に供する不動産の純賃料を求めるために基礎価格(土地建物の価格)に乗じる割合である。

 即ち、下記算式の
     基礎価格(土地建物の価格)×期待利回り=純賃料
の割合が期待利回りと称されるものである。

 還元利回りは、賃貸借に供する不動産の純賃料から、その土地建物の価格を求める割合である。
     純賃料÷還元利回り=土地建物価格
である。

 上記2つの算式を見れば、土地建物価格に期待利回りを乗じて純賃料を求め、その純賃料を還元利回りで除せば土地建物価格が求められることになる。

 即ち還元利回りと期待利回りは、貨幣の表裏の関係がある。

 期待利回りを直接求めることは困難であるため、還元利回りを求め、貨幣の表と裏の関係にある事を利用して、求められた還元利回りを期待利回りとする。

 B 千葉市中央区の商業地の還元利回りと期待利回り

 前記分析より、千葉市中央区6.55%である。

 償却前必要諸経費率は平均23%である。

 千葉市中央区の商業地の還元利回りは、上記還元利回りの算式に粗利回り、必要諸経費率を代入すれば求められる。

     6.55%×(1-0.23)=5.0435%≒5.04%

 千葉市中央区の商業地の還元利回り・期待利回りは、5.04%である。

5.日本不動産研究所発表の千葉市の期待利回り

 2024年5月29日に一般財団法人日本不動産研究所が、『第50回「不動産投資家調査」2024年調査』を発表した。

 その調査の発表値の中心は、「標準的なAクラスビル(オフイスビル)の期待利回り」である。

 2024年4月現在、千葉地区の標準的なAクラスビル(オフイスビル)の期待利回りは、「千葉市の海浜幕張駅周辺」として、5.0%である。

 この期待利回りは、減価償却費を考えない償却前期待利回りである。

6.千葉市中央区商業地の粗利回りからの期待利回りと日本不動産研究所の期待利回り

 @ 千葉市中央区商業地の粗利回りからの期待利回りと日本不動産研究所の期待利回りはほぼ一致

 千葉市中央区の粗利回りから求められた還元利回り・期待利回りは5.04%である。

 一方、日本不動産研究所の千葉市の商業地のオフイスビルの期待利回りは5.0%で、両利回りはほぼ一致する。

 A 粗利回りから適正な期待利回りが求められる妥当性の立証

 千葉市中央区の賃貸売りビルの粗利回りは6.55%は、償却前必要諸経費経費率込みの利回りである。

 日本不動産研究所の『第50回「不動産投資家調査」2024年調査』の千葉市のオフイスビルの期待利回りは5.0%である。

 この6.55%と5.0%の違いは必要諸経費の有無であるから、差は必要諸経費の割合と云うことになる。

 必要諸経費の割合は、
       6.55%−5.0%=1.55%
である。

 粗利回り6.55%に対する割合は、
                     1.55%
                  ───── =0.236                                
                     6.55%
である。

 求められた0.236の割合は、前記算出した千葉市中央区商業地の地価公示価格から求めた償却前必要諸経費率0.23とほぼ一致する割合である。

       5.0%÷(1−0.23)=6.493%≒6.5%

 6.5%≒6.55%である。

 日本不動産研究所の千葉市のオフイスビルの期待利回り5.0%と、千葉市中央区賃貸売りビルの粗利回り6.55%は、23%という必要諸経費率で密接に繋がっている事が立証された。

 この事は、千葉県の他の市にも適応する事が出来るという立証にもなる。

 即ち、他の市の売り賃貸ビルの粗利回りと当該市の商業地の地価公示価格の必要諸経費率が分かれば、その市の適正な期待利回りが求められるということになる。

7.千葉県の各市の期待利回り

(1) 市川市の期待利回り

 @ 市川市の賃貸ビルの必要諸経費率
 
 令和6年市川市の商業地の地価公示価格の必要諸経費率は、下記である。


  公示番号 所在(住居表示) 必要諸経費率%
1 市川5−1 市川市南八幡4-8-16 19.3
2 市川5−2 市川市市川1-21-6 21.8
3 市川5−3 市川市八幡3-1-11 19.0
4 市川5−4 市川市八幡2-16-6 21.9
5 市川5−5 市川市行徳駅前2-17-5 18.9
6 市川5−6 市川市新田4-7-9 21.2
7 市川5−7 市川市南行徳1-20-13 21.5
8 市川5−8 市川市八幡1-2-20 21.4
9 市川5−9 市川市南八幡4-182-5 17.3
10 市川5−10 市川市市川1-9-2 22.7
  平均   20.50
      ≒21


 市川市の商業地の賃貸ビルの必要諸経費率は21%である。

 A 市川市の賃貸ビルの期待利回り

 前記分析より、市川市の賃貸ビルの粗利回りは6.29%である。

 償却前必要諸経費率は平均21%と、上記で求められている。

 市川市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、上記還元利回りの算式に粗利回り、必要諸経費率を代入すれば求められる。

     6.29%×(1−0.21)=4.969%≒5.0%

 千葉県市川市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、5.0%である。

(2) 松戸市の期待利回り

 @ 松戸市の賃貸ビルの必要諸経費率

 令和6年松戸市の商業地の地価公示価格の必要諸経費率は、下記である。


  公示番号 所在 必要諸経費率%
1 松戸5−1 松戸市本町1-11 32.4
2 松戸5−2 松戸市西馬橋蔵元町12 19.6
3 松戸5−3 松戸市仲井町3-21 21.6
4 松戸5−4 松戸市下矢切字栄町69-4 18.4
5 松戸5−5 松戸市松戸字亀井1168-4 21.6
6 松戸5−6 松戸市日暮1-15-17 21.4
7 松戸5−7 松戸市常磐平3-29--11 18.0
8 松戸5−8 松戸市新松戸3-18-2 23.2
9 松戸5−9 松戸市松戸字三丁目1791-1 20.1
10 松戸5−10 松戸市日暮1-7-1 22.9
11 松戸5−11 松戸市新松戸367-3 22.9
12 松戸5−12 松戸市小金字天王脇44-8 23.9
13 松戸5−13 松戸市南花島3-40-5 21.0
14 松戸5−14 松戸市松戸字中通1225-1 35.8
15 松戸5−15 松戸市本町12-17 23.9
16 松戸5−16 松戸市東松戸3-6-6 20.6
  平均   22.96
      ≒23


 松戸市の商業地の賃貸ビルの必要諸経費率は23%である。

 A 松戸市の賃貸ビルの期待利回り

 前記分析より、松戸市の賃貸ビルの粗利回りは7.06%である。

 償却前必要諸経費率は平均23%と、上記で求められている。

 松戸市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、上記還元利回りの算式に粗利回り、必要諸経費率を代入すれば求められる。

     7.06%×(1−0.23)=5.436%≒5.4%

 千葉県松戸市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、5.4%である。

(3) 市原市の期待利回り

 @ 市原市の賃貸ビルの必要諸経費率
 
 令和6年市原市の商業地の地価公示価格の必要諸経費率は、下記である。


  公示番号 所在 必要諸経費率%
1 市原5−1 市原市五井中央西2-2-4 21.5
2 市原5−2 市原市八幡字片町1059-12 21.3
3 市原5−3 市原市姉崎西1-1-8 21.0
4 市原5−4 市原市五井中央西2-14-25 21.0
5 市原5−5 市原市ちはら台西2-10-14 21.6
6 市原5−6 市原市姉崎東2-11-3 20.9
7 市原5−7 市原市五井中央東2-3-8 20.1
8 市原5−8 市原市更級1-8-11 19.6
  平均   20.88
      ≒21


 市原市の商業地の賃貸ビルの必要諸経費率は21%である。

 A 市原市の賃貸ビルの期待利回り

 前記分析より、市原市の賃貸ビルの粗利回りは6.83%である。

 償却前必要諸経費率は平均21%と、上記で求められている。

 市原市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、上記還元利回りの算式に粗利回り、必要諸経費率を代入すれば求められる。

     6.83%×(1−0.21)=5.395%≒5.4%

 千葉県市原市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、5.4%である。

(4) 八千代市の期待利回り

 @ 八千代市の賃貸ビルの必要諸経費率
 
 令和6年八千代市の商業地の地価公示価格の必要諸経費率は、下記である。


  公示番号 所在 必要諸経費率%
1 八千代5−1 八千代市八千代台南1-3-1 20.7
2 八千代5−2 八千代市大和田新田字八幡藪997-1 18.6
3 八千代5−3 八千代市勝田台1-37-4 19.8
4 八千代5−4 八千代市緑が丘1-2-22 19.8
5 八千代5−5 八千代市勝田台北1-8-21 21.6
6 八千代5−6 八千代市大和田字小板橋道1009-6 19.4
  平均   19.98
      ≒20


 八千代市の商業地の賃貸ビルの必要諸経費率は20%である。

 A 八千代市の賃貸ビルの期待利回り

 前記分析より、八千代市の賃貸ビルの粗利回りは8.08%である。

 償却前必要諸経費率は平均20%と、上記で求められている。

 八千代市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、上記還元利回りの算式に粗利回り、必要諸経費率を代入すれば求められる。

     8.08%×(1−0.20)=6.464%≒6.5%

 千葉県八千代市の賃貸ビルの還元利回り・期待利回りは、6.5%である。

8.個別賃貸ビルの還元利回り・期待利回りを求める方法

 @ 算式

 粗利回りの算式は、
                     賃料総収入
                 ───────── = 粗利回り                     
                  土地価格+建物価格
である。

 粗利回りの算式と、
        還元利回り = 粗利回り×(1−必要諸経費率)
の算式より、賃貸ビルの粗利回りから還元利回り・期待利回りを求めた。

 その粗利回りから求められる還元利回り・期待利回りは、一般財団法人日本不動産研究所の発表している期待利回りに近似の利回りが求められている。

 この事は、不適正な利回りでは無く、適正な利回りであると云うことが、立証されたと云うことになる。

 分析に利用した粗利回りの算式は、<b>
                     賃料総収入
                 ───────── = 粗利回り                     
                  土地価格+建物価格
である。

 この粗利回りの算式をu当りの土地価格・建物価格等に論理的に分析展開すし、建築基準法が許容する容積率の建物の粗利回りを「標準粗利回り」とすると、標準粗利回りの算式は下記の算式に展開される。

標準粗利回り
           u当り賃料×12×共益費修正率×運用償却額修正率×空室率修正
               ×経年賃料修正率×容積率×賃貸面積率
          =─────────────────────────       
                土地単価+建物工事費単価×容積率×償却修正率
の算式となる。

 この算式を展開は、拙著『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス)P66〜67に記述してあることから、そちらを読んで頂ければ幸いである。

 便宜上、上記標準粗利回りの算式を「田原算式」と呼ぶことにする。

 A ビルの平均賃料が5,300円/uのビルの還元利回り

 前記で求めた千葉市及び千葉県市川市等の還元利回り・期待利回りは、それぞれの市の賃貸ビルの粗利回りの平均より求めている。

 各市の粗利回りの平均が無ければ求められないというごとく考えられるかもしれないが、粗利回りの算式を展開した求められた標準粗利回りの田原算式を使用すれば、各賃貸ビルの還元利回り・期待利回りを求めることが出来る。

 例えば、RC造5階建のレンタブル比78%で、土地価格、建物価格等が下記数値の賃貸ビルがあったとする。但し下記の算式例は、必要諸経費率は減価償却費を含んだ率である。

 土地価格等の数値を算式に代入して、還元利回りを求めると下記である。

    土地単価          u当り3,150,000円
    建物工事単価     u当り  333,000円
        建物価格           u当り   86,600円
    償却修正率         86,600円/333,000=0.26
    u当り支払賃料    5,300円/月
    共益費修正率          1.450
    運用償却額修正率   1.005
      空室率修正率          0.95
    経年賃料修正率    1.00
    容積率               3.55
    賃貸面積率(レンタブル比) 0.780
    必要諸経費率     0.38

    標準粗利回り 0.07051546 還元利回り(総合) 0.043719585 0.044

 u当り賃料5,300円は次のごとく求める。

 周辺賃料との比準賃料の検討から、対象地の建物の品等、立地の良さを考慮し、基準階の3階の支払賃料をu当り6,000円程度と判断する。これは基準階の3階の賃料とする。

 3階の賃貸面積は583.33uとする。
       6,000円×583.33u=3,499,980円
が3階事務所賃料となる。

 その3階の階層別効用配分割合は0.2379であるとする。

 ビル全体の支払賃料は、
       3,499,980円÷0.2379=14,711,980円
と推定される。

 これを賃貸面積(賃貸面積を2,774.98uとする)で除せば、
                   14,711,980円
                 ───────=5,302円≒5,300円                   
                    2,774.98u
ビルの平均支払賃料は、u当り5,300円と求められる。

 対象地周辺の賃料と均衡を計った賃料より、対象建物の個別性、契約事情を反映して求められた適正な還元利回り(期待利回りに同じ)は
4.4%

と求められる。

 B 1階の賃料が15,000円/uの1階の還元利回り

 上記でビル全体の賃料がu当り5,300円の場合の還元利回りを求めたが、例えば、1階の店舗賃料が15,000円/uであった場合、上記田原算式の賃料に、15,000円を代入すると、その求められる利回りは、賃料15,000円/uの1階層部分の還元利回りとなる。

 求められる利回りは、ビル全体の賃料が15,000円/uの賃料のビルの利回りであるが、その様なビルは無いことから、その利回りは賃料が15,000/uの階の利回り、即ち1階の階層の還元利回りということを示す。

 1階の階層別効用配分割合を使用して、1階の土地建物価格を求め、それに求められた還元利回りを乗ずれば、賃料15,000円/uの1階の純賃料が求められる。

以 上


  鑑定コラム2719)
「家賃の期待利回りの求め方」千葉県不動産鑑定士協会講演レジュメ

  鑑定コラム19)「還元利回りの求め方」

  鑑定コラム2746)「「賃貸事業分析法と継続地代」神奈川県不動産鑑定士協会講演レジュメ」


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