2829) 金沢2DK家賃と消費者物価指数の家賃指数との相関関係は32%しか無い
石川県の県都である金沢市の2DK家賃を、平成24年(2012年)4月から令和7年(2025年)1月まで調べた。
不動産鑑定評価において、継続賃料評価の手法の1つとしてスライド法と云う手法がある。
過去に合意した賃料を、その後の経済変動を考えて、現在の賃料を求める手法である。
不動産鑑定評価基準は、スライド法の変動率の修正について、次のごとく規程する。
「@ 変動率は、直近合意時点から価格時点までの間における経済情勢等の変化に即応する変動分を表すものであり、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、土地及び建物価格の変動、物価変動、所得水準の変動等を示す各種指
数や整備された不動産インデックス等を総合的に勘案して求めるものとする。」(平成26年改正鑑定基準 国交省版P35)
鑑定評価基準は、スライド法の賃料変動率として「土地及び建物価格の変動」率を使用してもよいと記すが、その変動率を使用してスライド法賃料を求める考え方は、根本的に間違っており問題外である。
「所得水準の変動」率を上げるが、この変動率と賃料変動率との間に強い相関関係があると立証した論文は無く、これも採用は不可で問題外である。
鑑定基準は、「物価変動」率を挙げる。
物価変動を顕す代表的な指数は、消費者物価指数である。
賃料は、その指数の中の「家賃指数」が反映していると判断される。
総務省発表の金沢市の消費者物価指数の中の家賃指数(2020年基準)と、金沢市2DK家賃を対比すると、下記である。
年月 2DK家賃 円/u 家賃指数 2012年4月 1,138円 95.0 2013年9月 1,120円 93.2 2014年1月 1,125円 93.1 2015年1月 1,200円 93.2 2016年1月 1,178円 92.5 2017年1月 1,143円 93.0 2018年1月 1,140円 97.2 2019年1月 1,198円 99.5 2020年1月 1,133円 99.8 2021年1月 1,233円 100.2 2022年1月 1,328円 100.5 2023年1月 1,170円 100.9 2024年1月 1,128円 100.3 2024年5月 1,158円 101.0
Y=674.20+5.11X 相関係数 0.32 標準偏差 55.2