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352)地価摩擦係数

 摩擦係数というから、難しい数式を使って数値が求められている内容の記事と思われるかもしれないが、その様な数値・数式を使って求められた数値の係数をここでは述べていない。
 
 今迄土地価格が静止状態であったものが、急に上昇或いは下落し始めるのは、「静」から「動」に変わることである。

 「静」の状態にあるのは、「動」になることを止めている何らかの要因があって、「動」にさせないのである。
 この「動」にならないように作用しているものを、「地価摩擦係数」と仮に考えることととする。

 「動」になるのは、「地価摩擦係数」が限界を超えた状態と考える。

 下の板と上の板と呼ばれる二枚の重なった板を、水平に持ち上げた状態を考える。一方の端、例えば左端を固定の水準にして、右端を持ち上げてゆくと、しばらくの間は傾きながらも二枚の板はひっついている。

 より右端を高く持ち上げていくと、上の板が滑り落ちてしまう状態になる。 この滑り落ちる角度が、板の摩擦係数と考えられる。

 上の板を土地価格、下の板を土地価格変動を引き起こすいくつかの要因と考える。

 下の板の土地価格変動を引き起こす要因の一つとして、不動産業への資金導入量を取り上げて、地価摩擦係数を分析して見る。

 不動産業への資金流入が増加して、即ち下の板の右端の位置がドンドン上がり、ついに上の板(土地価格)が滑り落る状態になったとしたら、この状態が 不動産業への資金流入量に対する土地価格の摩擦係数の限界である。

 この角度を形成する不動産業への資金流入量はどれ程かと言うことになる。
 それが分かれば、土地価格政策を適切に誘導することが出来ることになる。

 私は、『Evaluation』24号の「過剰な不動産業新規貸出額と都心商業地価の暴騰」p35(プログレス)の論文において、上の板が滑り落ちる地価摩擦係数の限界値を分析した。

 その限界値、即ち土地価格の摩擦係数は、

    ・不動産業への資金流入量は年間3.5兆円
    ・総貸出額に対する割合は15%
と分析した。
 
 不動産業への資金流入量が、年間3.5兆円を超えると、地価の抑制はきかなくなり、地価は暴走状態になって上昇する。

 不動産業への資金流入量が、銀行の全産業への新規貸出額の15%以上になると、土地価格は同じごとく暴走し、地価の暴騰を引き起こすことを分析証明した。

 興味ある人、詳しく知りたい人は、『Evaluation』24号(2007年2月15日発行 プログレス 電話03-3341-6573)の前掲論文を読まれたい。
   


 不動産貸出額と地価の関係について述べた記事は、下記の鑑定コラムにも有ります。

 鑑定コラム407)「2007年不動産業への国内銀行新規貸出額10兆円」
 鑑定コラム291)「バブル時に迫る銀行の不動産業への新規貸出額」
 鑑定コラム316)「不動産ファンドへの貸出規制」
 鑑定コラム388)「日本は不動産業国家ではない」
 鑑定コラム545)「不動産業への新規貸出額縮小は進む」

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