河口湖の一つのリゾートホテル(2009年11月開業予定)の開業予定の記事を、日本経済新聞(20009年5月29日)は載せる。
一つのリゾートホテル開業予定記事を、どうして日経は載せるのか私には分からないが、しかし私にとっては大変喜ばしい記事内容である。
それは、不動産鑑定の分析に際して、公表データとして使えるからである。
日経記事によると、河口湖に建てるリゾートホテルは、投下資本10億円で、規模は4階建で、床面積3000u、ツインルーム54室である。
客室稼働率60%で、3年後売上高5億円を目指すという。
この開業予定のリゾートホテルの実例情報は、幾つかの重要なことを教えてくれる。
一つは、リゾートホテルの建設投資額と売上高の関係である。
売上高5億円のリゾートホテルの投下資本は、10億円である。
10億円÷5億円=2.0
当該リゾートホテルの新設投下資本は、売上高の2倍と云うことである。
建築工事費単価は、
1,000,000,000円÷3,000u≒333,000円/u(坪当り110万円)
である。
但し、投下資本の額が、そのままリゾートホテルの市場価格にはならない。
ホテルの価格(市場価格)は、売上高あっての価格であり、建設費がいくらかかったからと云っても、その建設投下資本額は、市場価格イコールではない。
一般的には、ホテルの価格は、
売上高 = 当該ホテルの価格
である。
リゾートホテルの場合には、リスク要因が高いことから、売上高の0.7掛けか、半値程度の価格で取引される。
本件の場合、投下資本額を市場価格と仮に考えると、それは都市ホテル並である。
ということは、良好な観光地に立地するリスクの少ないリゾートホテルと云える。
しかし、開業して、利益が思うように出なかった場合には、10億円の投下資本の価値は、市場価値として3.5億円になってしまうこともあり得る。
二つ目は、客室稼働率である。
リゾートホテルを計画する場合、プロは、客室稼働率を60%として計算するということが分かったことである。
客室稼働率の把握は、ホテル事業経営においては、非常に大切である。
この点から見ると、リゾートホテルの客室稼働率60%の数値が分かったことは、不動産鑑定評価から見ると重要なことである。
次に、リゾートホテルの営業利益率について考えてみる。
中小企業庁編の『中小企業の財務指標』平成19年版p612(中小企業診断協会発行 同友館発売)によれば、「旅館、その他宿泊所」の売上高営業利益率上位25〜50%の平均値は、次の通りである。
売上高 751,974千円 営業利益 53,012千円
減価償却費 720,000,000円×1/40=18,000,000円 (240,000円×3000u=720,000,000円) 公租公課 1,000,000,000円×0.5×1.7/100=8,500,000円 火災保険料 720,000,000円×1/1000=720,000円 大規模修繕費 500,000,000円×0.01=5,000,000円 小規模修繕費 賃借人のホテル側が行う 管理費 賃借人のホテル側が行う 必要諸経費計 32,220,000円
63,020,000円 ─────── = 0.126≒0.13 500,000,000円リゾートホテルの家賃は、売上高の13%と求められる。