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大型のあるホテルが、最近(2013年4月)売買された。
その売買価格を客室1室当りの価格に換算すると、1室当り3250万円の売買価格である。
そのホテルの客室1室当りの宿泊料金を調べると、現在(平成25年4月)より2ヶ月先からの3ヶ月間の料金は、スタンダードルームで、下記の料金で予約販売している。
平成25年6月 19,500円
平成25年7月 21,800円
平成25年8月 31,200円
(19,500円+21,800円+31,200円)÷3=24,167円≒24,000円
客室1室の宿泊料金を24,000円とする。
客室1室当りの年間宿泊料収入は、
24,000円×365=8,760,000円
である。
結婚式、宴会、レストラン、土産物等による収入修正を1.45とする。
8,760,000円×1.45 = 12,702,000円
客室稼働率は、ホテルの立地、ブランドを考えて、90%とする。
12,702,000円×0.9≒11,430,000円
ホテルの売上高を、客室1室当りの売上高に換算すると、
1143万円
である。
この客室1室当り売上高1143万円のホテルが、客室1室当り3250万円の金額で売買されたのである。
3250万円
───── =2.84
1143万円
売上高の2.8倍の価格である。
投下資本に対する売上高の倍率は、上記式の逆数であるから、
1143万円
───── =0.35
3250万円
0.35である。
ホテルの価格は売上高あっての価格であり、売上高と密接に関係している。
ホテルの売上高と価格とは密接な関係があることから、私は、ホテルの価格は、ホテルの年間売上高の金額に対して原則として1.0倍(つまり売上高の金額がホテルの価格相当と云うこと)、リゾートホテルの価格は売上高の0.5〜1.0倍、シティホテルの価格は売上高の1.0倍〜2.0倍以下と思っていたが、ホテル売上高を遙かに超えた売上高の2.8倍(投下資本倍率では0.35である)の価格で売買されたことを知って、いささか驚いている。
株式会社東京商工リサーチの『東商信用録』平成24年版が掲載する当該ホテルの売上高を、客室一室あたりの売上高に換算すると、
平成21年12月 1173万円
平成22年12月 1140万円
平成23年12月 925万円
である。
平成23年12月期は、東日本大震災の影響によって、東京のホテル利用客が激減した年である。
このことから平成23年12月期のデータは省くことにする。
平成21年、平成22年の2年間の平均売上高は、
1173万円+1140万円
─────────── ≒ 1157万円
2
である。
客室1室当りの年間売上高は、1157万円である。
前記計算では、客室1室当り1143万円と求められた。
実際の売上高と私がデータより推定して求めた売上高との開差は少ない。
1143万円という売上高は、妥当な水準の価格と判断出来るのではなかろうか。
当該ホテルの土地建物所有者と、ホテル経営会社とは別人である。
ホテル土地建物所有者は、ホテルとしてその土地建物をホテル経営会社に賃貸しているのである。
ホテルが売買されたというのは、ホテル経営利用をそのままとして、ホテルに使用されている土地建物が売買されたということである。
つまりホテル経営会社は、土地建物を賃借(土地建物所有者側から云えば賃貸している)しており、その家賃は、客室一室当りで換算すると、月額196,000円である。
年額では、
196,000円×12=2,352,000円
である。
売上高に占める家賃の割合は、
2,352,000円
──────── = 0.206
11,430,000円
20.6%である。
ホテルの家賃は、売上高の13%程度である。高くても18%程度である。
20.6%の家賃割合は、健全なホテル経営の状態の上限値を超えた水準の家賃割合である。
23年12月の売上高で考えれば、
2,352,000円
──────── = 0.254
9,250,000円
25.4%である。
当該ホテルの決算が赤字なのか黒字なのか私には分からないが、売上高の減少が続くようであれば、近い将来に賃料減額の問題が発生するかもしれない。
売上高の2.8倍というホテルの売買価格である。
私には解しかねるが、ホテルの価格は現在大幅に値上がりしているのであろうか。
なお、上記採用数値は合理的データによってはいるが、あくまでも私の計算で、推測に基づくものであることをお断りしておく。
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