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1949)東京等のビジネスホテル宿泊料金の分析を終えて

 令和元年7月10日時点の東京駅周辺、大阪駅周辺、京都駅周辺、名古屋駅・栄周辺のビジネスホテルの宿泊料金について分析し、その結果を鑑定コラムに記した。

 その平均宿泊料金と、1年間の料金変動率は、下記である。

     東京駅周辺      12,220円  ▲4.8%
          大阪駅周辺       9,212円  ▲10.9%
       京都駅周辺       8,008円  ▲3.7%
     名古屋駅・栄周辺    8,090円  ▲11.1%

 日本の中心4大都市の駅周辺のビジネスホテルの宿泊料金は、1年間で、▲3.7%〜11.1%値下がりしている。

 訪日客の増加で、宿泊業界は潤っているごとく見えるが、現実にはビジネスホテル業界は、料金の値下げ競争が始まっているようである。

 訪日客の増加若しくは増加を見込んで雨後の筍のごとくホテルが建ち、ホテル業はあたかも儲かる業種のごとく見えるが、ホテル業はそんなに儲かる業種ではない。

 平均的にはホテル投下資本の有形固定資産回転率は、1.0程度の業界である。つまり売上高は、固定資産投下資本が1回転する程度の業種であるということである。

 このことについては、鑑定コラム293)「売上高の28%がホテルの賃料という鑑定書」で、下記のごとく記している。

 「ホテルの有形固定資産の回転率は1.0倍程度である。
 有形固定資産を形成するものを、土地・建物価格と概略考えるものとする。

 とすると、

      売上高=有形固定資産×1.0=土地・建物の価格×1.0

                   =土地・建物の価格
となる。」

 そして都心のシティホテルの有形固定資産回転率(有形固定資産をホテルへの投下資本と考える)は、0.5程度である。このことについては、鑑定コラム211)「ある都心一流ホテルの投下資本売上高倍率は0.43」で、次のごとく記している。

 「このホテルオークラ神戸の倍率0.52と、今回の東京プリンスホテルパークタワーの倍率0.43とで考えると、都心の高級一流ホテルの場合の投下資本に対する売上高倍率は0.5倍前後であるのだろうか。」

 つまり都心一流ホテルの土地建物価格(投下資本)は、売上高の2倍と云うことである。

 ホテルの客室全室が、常に満室状態であるというものではない。客室稼働率の上下が常にあり、収入の変動が激しい。

 帝国ホテル、ホテルニューオータニ等都心の一流ホテルが、賃貸事務所棟ビルを持ち、ビル賃貸業を何故行っているのか。このことを良く考えればよい。

 少なくないビジネスホテルは、建物を賃借して経営していると推測される。

 宿泊料金の下落によって、売上高に占める家賃の支払額の大きさに頭を悩ますことになるのではなかろうか。

 ホテルの家賃については、前記鑑定コラム211)で、売上高に対する家賃割合を「 東京プリンスホテルパークタワーの家賃割合を13.6%」と記している。

 同じく鑑定コラム293)では、「ホテルの売上高に対する家賃割合は15%」と記す。

 不動産鑑定理論専門誌の『Evaluation』創刊号P42(清文社)の「売上高に対する家賃割合」の論文では、ホテルの売上高に対する家賃割合は、12.3%と分析されている。

 リゾートホテルの売上高に対する家賃割合は、鑑定コラム557)「リゾートホテルの家賃は売上高の13%」で13%と分析されている。

 ホテル業を経営するに際して、家賃など大した事無いと、家賃を軽く、甘く考えていてはいけない。


  鑑定コラム1941)
「京都ビジネスホテル料金は値下がりしている 令和元年7月」

  鑑定コラム1943)「大阪ビジネスホテルの凄まじい料金値下げ競争 令和元年7月」

  鑑定コラム1946)「名古屋ビジネスホテル料金11%値下がり 令和元年7月」

  鑑定コラム1948)「東京のビジネスホテル料金は▲4.8%値下がりしている 令和元年7月」

  鑑定コラム293)「売上高の28%がホテルの賃料という鑑定書」

  鑑定コラム211)「ある都心一流ホテルの投下資本売上高倍率は0.43」

  鑑定コラム1481)「600億円のホテル売買」

  鑑定コラム557)「リゾートホテルの家賃は売上高の13%」

  鑑定コラム1950)「雨後の筍のホテル建設」

  鑑定コラム1951)「東京・京都・大阪・名古屋の雨後の筍のホテル建設」


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