○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

802)WACC、CAPM、β

 国際資産評価士養成講座の3回目のセミナーが、2011年8月26日、27日、28日に開かれた。

 東京三鷹の国際基督教大学の国際会議場で、同時通訳付で行われた。
 最終日は、3回目セミナーの合否を決める50問出題の試験があった。試験問題はアメリカで行われている問題と全く同じ問題である。

 3回目は講師が変わった。
 レスリー・マイリ氏であった。

 講師の経歴を聞いて驚いた。
 元ASAの会長で、世界11カ国に事務所を構え、400人を越える機械・装置の鑑定士を抱えているという。

 現在は娘さんに後を継がせ、世界中のASAの機械・装置の鑑定のセミナー講師として、飛び廻わられている様である。

 ASAの研修テキストの殆どは、レスリー・マイリ氏が書き上げられたという。
 ASA研修テキストを書き上げた本人の講義を受けられる事は、それだけで幸せである。

 前1、2回の研修の講師も立派な人であったが、それに優るとも劣らない人を、ASAは日本の研修に送り込んでくれたようだ。

 3回目の研修は、前2回の研修内容と較べて、格段に難しく、レベルアップしていた。

 WACC(ワック)、CAPM(キャップエム)、β(ベータ)の講義があるとは夢にも思わなかった。

 15年位前だったか。
 WACC、CAPM、βについては、私は一応本で学んだ。
 しかし、実際にそれら公式を形成する数値を求め、その求めた数値より割引率を使用して鑑定するということは無かった。

 本場アメリカで実際にWACC、CAPM、βの数値を求め、それより割引率を算定し、実務に使用している一流の講師から、基礎よりその求め方、利用の仕方の指導を受けることが出来たことは幸せである。

 演習問題で、何度も電卓をたたいて、WACC、CAPMの割引率を求める訓練をすれば、求め方は頭にたたき込まれる。公式も自然に覚えられる。
 このやり方が、アメリカの研修のやり方と実感する。

 コスト比は、生産能力比のべき乗に等しいという事を知る。

     コストA           生産能力A
        ─────   =  ────── のX乗                        
          コストB            生産能力B

の公式である。

 そしてべき乗Xには、シックス・テンの法則(6/10の法則)があるということも知った。

 べき乗Xの値を鑑定士自らがデータより求める。
 その為に対数の計算をしなければならない。
 まさかlogの計算をするとは、予想もしなかった。

 データで求めたべき乗Xの値を使用して、求める機械装置のコストを求める。
 2段階、3段階の過程を経て、対象機械装置の価格にたどり着くのである。

 関数電卓で何とか対数計算をしてべき乗を求めたが、講師は4回目の研修には、金融電卓を全員持ってくるようにと指示した。
 ヒューレット・パッカードの金融電卓をと。

 次回の研修にはヒューレット・パッカードの金融電卓を持って行かなければならない。
 ヒューレット・パッカードの金融電卓は、相当以前購入したが、金融電卓の入っているケースは未開封のままで、金融電卓は一度も使ったことなく、書斎の何処かに埃を被ってあるはずである。
 捜さなければならない。

 ある機械装置を追加した場合、その装置の実効年数を求める演習も行った。
 この求め方は、建物の経過年数を求める方法と同じであった。

 例えば下記の建物があるとする。

 2000年に3,000uの工場を建築した。
 2003年に300uの増築をした。
 2008年に500uの増築をした。
 2010年に800uの増築をした。

 この工場の平均経年を求める場合、次のようにして求める。
 価格時点は2011年とする。

    新・増築年       経年         面積         経年×面積
      2000年     11     3,000     33,000
      2003年      8       300      2,400
      2008年      3       500      1,500
      2010年      1       800        800
       計             4,600          37,700

      37,700÷4,600=8.19年≒8.2年

 平均経年は8.2年と求める。

 機械・装置の場合、上記の面積の処を「トレンド価格」に置き換えればよい。

 最後の講義として、講師自身が行ったオイルタンクの評価例に基づく演習の説明があった。

 ウォーターフロントの原油タンク10基の評価例であった。
 オイルタンクの評価は、こうして行うのかと分かった。

 その時ある点に興味を持った。
 その事については、次の機会に述べたい。


  鑑定コラム760)
「ASA(米国鑑定士協会)機械・設備装置の国際資格研修 」

  鑑定コラム727)「ASA(米国鑑定士協会)の機械・設備評価の講座の開催について 」

  鑑定コラム825)「リース物件の評価市場は大きいょ ?」

  鑑定コラム1250)「ASA認定鑑定士が9人日本で誕生する」


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ