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824)今年2件目のゴルフ場の鑑定評価

 今年(2011年)2件目のゴルフ場の評価を行った。

 ゴルフ場の景気は悪そうだ。
 不動産ファンドバブルの影響で、ゴルフ場の入場者は少し増え、それに伴いゴルフ場の景気は上向くのかと思った。

 しかし、不動産ファンドバブルがはじけるとともに、入場者は再び減少し、ゴルフ場は不景気に戻ってしまった。

 信じがたいことであるが、ゴルフ場で株式上場している企業がある。

 アメリカの投資銀行ゴールドマンサックスが、倒産した日本のゴルフ場を次々と購入し、資本補強し経営を再建した。

 経営再建したゴルフ場を株式上場し、莫大な上場利益を得て、ゴルフ場の経営を日本の会社に渡して、撤退した。

 このやり方は、アメリカ資本主義市場経済の考え方、そのものである。

 金、金、金と金儲け第一主義の考え方は、私は好きではない。
 しかし、倒産企業を購入し、その企業に資本投入し、その企業を建て直し、株式上場して利益を得るという金儲けのやり方は、資本主義の正道のやり方であって、それを批判出来るものでは無い。

 ゴールドマンサックスから経営権を取得したアコーディア・ゴルフという企業が、ゴルフ場会社として、日本で唯一株式上場している。

 そのアコーディア・ゴルフは、決算に伴ってゴルフ業界の業況を次のごとく伝える。
 平成23年3月期決算では、

 「次期の見通しは、平成23年3月11日に発生いたしました東日本大震災と計画停電等による消費動向や経済活動への影響、及びそれらが当社業績に与える影響を一部見込んでおりますが、現段階では合理的な算定が困難である」

という。

 そして3ヶ月後の平成23年6月期短信では、

 「震災直後に生じたゴルフプレーに対する自粛ムードは、当第1四半期連結累計期間の後半には和らいだものの、ゴルフコンペについては開催の自粛が引き続きました。また、被災地周辺や放射性物質の拡散による風評が生じた北関東地域などを中心に、プレー需要は大きく落ち込みました。」

という。

 日本で唯一株式上場している日本最大のゴルフ場経営会社が述べるゴルフ場業界の状況が、現在の日本のゴルフ場の状況を現していると考えてよいであろう。

 日本のゴルフ場数はどれ程であろうか。

 経済産業省は、以前3〜4年ごとに全ゴルフ場の経営状況を調査していたが、最近は行っているのか、いないのか知らないが、調査結果が発表されない。

 全国のゴルフ場全てを調査するのでなく、一部のゴルフ場を抽出してその経済動向を探る動態調査は行っているが。

 平成16年の経済産業省の全ゴルフ場の調査では、日本のゴルフ場の数は、2067個所であった。

 社団法人日本ゴルフ場事業者協会の調査によると、日本のゴルフ場数は、

        平成16年    2,453
        平成17年    2,446
        平成18年    2,442
        平成19年    2,442
        平成20年    2,442
        平成21年    2,445

である。
 このゴルフ場数は、

 「都道府県にまたがる県境のゴルフ場を重複計上しているので、実際のゴルフ場よりも若干多くなっている」

というコメントがつく。

 経済産業省の地域ブロックに分けて抽出したゴルフ場の動態調査によれば、ゴルフ場の売上高等は、下記の通りである。

                         売上高百万円         利用者数人
    平成16年         108,895      9,435,379
    平成17年         101,887      8,950,252
    平成18年         101,101      9,033,931
    平成19年         104,513      9,385,504
    平成20年         102,318      9,310,063
    平成21年          96,993      9,131,250
    平成22年          93,628      8,959,445

 平成22年8月〜平成23年7月までの、直近1年間のゴルフ場売上高・利用者数は、

         売上高      89,039百万円
         利用者数     8,707,618人

である。

 この平成22年8月〜平成23年7月までの直近1年間の数値と、平成22年の数値を較べて見れば、

                          売上高百万円        利用者数人
    平成22年           93,628      8,959,445
     平成22年8月〜平成23年7月     89,039            8,707,618

である。
 ゴルフ場の売上高、利用者とも、直近1年間の数値の方が平成22年1月〜12月の数値を下回っている。
 その減少率は、売上高は、

         89,039÷93,628≒0.951(△4.9%)

である。

 利用者数は、

         8,707,618÷8,959,445≒0.972(△2.8%)

である。

 一人当りのゴルフ場料金は、

         売上高÷利用者数=一人当りゴルフ場料金

の算式で、前掲数値より計算すれば、下記の通りである。

        平成16年   11,541円
        平成17年   11,384円
        平成18年   11,191円
        平成19年   11,136円
        平成20年   10,990円
        平成21年   10,622円
        平成22年   10,450円
        平成23年   10,225円  (平成22年8月〜平成23年7月)

 ゴルフ場料金は、下がっている。
 この料金はプレーフィー、キャディフィー、レストラン・売店売上の全てが含まれる金額である。
 この調子で下がっていけば、近い将来10,000円を切るのは早い。

 平成バブル経済崩壊後、ゴルフ場の売上高、利用者とも減少傾向にあった。
 平成18年を底にして、不動産ファンドバブルに伴い、上昇に転じたが、上昇は長く続かず、不動産ファンドバブルの崩壊で再び低迷し始めた。
 平成20年9月のリーマンブラザーズの倒産、そして平成23年3月の東日本大震災が低迷に追い打ちをかけている。


  鑑定コラム91)
「日本のゴルフ場数は2067ヶ所」

  鑑定コラム491)「ゴルフ場は平成20年1月から再び低迷に入った」

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