友人が制作者となって取り組んだ「ほかいびと伊那の井月」というドキュメンタリー映画が完成した。
封切前の「井月映画祭へのご案内」状が、一般社団法人井上井月顕彰会会長堀内功氏の名で、私に届いた。
3年近くの時間を費やして、映画は完成した。
映画祭は、映画の一般封切の前日に行われ、2回上映されるという。
それぞれの上映前に、主演俳優の田中a氏の舞台挨拶と監督北村皆雄氏との対談が企画されている。
越後出身の武士とも伝えられる井上井月(いのうえせいげつ) が、故郷も捨て、武士という職業も捨て、伊那の土地を放浪し、俳句を作り残した。
全国的には、信州の俳人としては、小林一茶が有名である。
だが、伊那地方にあっては、井上井月の名前が知れ渡っている。
井月が放浪し詠んだ歌と、井月が見たであろう今も地域に残る祭りと習俗を、ドキュメンタリー風に作り上げたと聞く。
映画監督は北村皆雄氏である。
民俗学について学識が深く、ドキュメンタリー映画監督としても著名な北村監督が、井月と伊那地方に伝わる民俗行事と風景をどの様に切り取って、フイルムに残したであろうか。
井月を演じる田中a氏は、舞踏家でもあり、放浪する井月をどの様に演じたか興味が尽きない。
田中a氏は、2年前のNHKの大河ドラマ「龍馬伝」で、土佐藩の重臣吉田東洋を演じた人である。
踊りで鍛えられた引き締まった体、鋭い目を生かして吉田東洋を演じた田中a氏の演技は忘れられなく、その映像は今でも頭に残る。
岩崎弥太郎と吉田東洋との関係を「龍馬伝」は、より一層クローズアップさせた。
吉田東洋が抜擢しなかったら、岩崎弥太郎の人生は名もないもので終わっていたであろう。
そして現在の大三菱グループは存在していないと私は思う。
上に立つ人は、若い人の潜在能力を見抜く洞察力が、いかに必要かと云うことを吉田東洋は教えてくれた。
企業の社長、組織のトップの最大の仕事の一つは、近い将来の会社、組織を背負って、発展させてくれる能力を持っているであろう青年を見つけることでもある。
と言う私には、そのような洞察力は無いが。
友人から映画を作ると云うことを聞いた時、のめり込むなと忠告はしたが、友人はのめり込んでしまった。
しかし、一つの映画を作りあげた。
友人一人で映画は作れるものではなく、制作者として映画作りに携われたことは、友人自身の人生において、一つの足跡を映画を作ることによって後世に残すことになった。
素晴らしいことである。
良くやったと努力を称えたい。
友人の名前は、不動産鑑定士でもある平澤春樹という。
映画祭の案内状をもらったのであることから、主演俳優田中a氏と監督北村皆雄氏の姿を見に、映画祭に参加することも価値あると私は思う。
映画祭は平成23年11月19日(土)に開かれる。
上映館は、「伊那旭座」という。
伊那までは遠い。
JRだと新宿より「特急あずさ」に乗り、中央東線を上諏訪まで行く。
上諏訪で飯田線に乗り継いで、伊那市駅に行くのであるが、およそ4時間弱かかる。
往復だと乗車時間約8時間弱である。
さてどうしたものか。
車で行くべきか、迷っている。
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