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989)札幌の来訪宿泊者は692万人(平成24年6月直近1年間 5.3%上昇)

 札幌の景気は良くないと云う鑑定コラム記事において、観光については、日銀札幌支店、北海道、札幌市のいずれの直近の報告書も、「持ち直しの動きが続いている」と述べていると記した。

 その具体性を、観光庁発表の『宿泊旅行統計調査』で確認してみる。次いで札幌の観光の現状について記す。

 観光庁の同調査は、札幌の宿泊者数を下記の通り発表している。合計は田原の計算による。以下同じ。

                      平成22年        平成23年
        01月     529,640人      562,371人
        02月     645,938人      648,095人
        03月     581,223人      496,057人
        04月     330,686人      313,133人
        05月     474,244人      464,335人
        06月     495,039人      505,444人

07月     687,353人      658,641人 08月     744,662人      760,720人 09月     679,850人      684,646人 10月     576,379人      552,520人 11月     462,383人      437,446人 12月     488,347人      485,078人 合計 6,695,744人 6,568,486人

    平成24年6月直近1年間(平成23年7月〜平成24年6月)の宿泊者は、

 
        平成23年07月   658,641人
        平成23年08月   760,720人
        平成23年09月   684,646人
        平成23年10月   552,520人
        平成23年11月   437,446人
        平成23年12月   485,078人

平成24年01月   554,670人 平成24年02月   594,295人 平成24年03月   590,396人 平成24年04月   421,478人 平成24年05月   563,907人 平成24年06月   616,469人 合計 6,920,266人

6,920,266人である。

 まとめると、

    
    平成23年(平成23年1月〜12月)     6,568,486人
    直近1年(平成23年7月〜平成24年6月)  6,920,266人

である。

 平成23年は6,568,486人であるから、

                 6,920,266人
              ───────  = 1.053                             
                 6,568,486人

5.3%の宿泊者のアップである。

 宿泊客室稼働率を見る。
 観光庁が発表するホテル・旅館を含めた札幌の宿泊施設の客室稼働率である。平均は田原の計算による。以下同じ。

                    平成22年       平成23年
        01月     55.8%        55.4%
        02月     74.2%        71.2%
        03月     60.8%        50.1%
        04月     50.2%        42.0%
        05月     66.0%        57.4%
        06月     74.3%        68.2%

07月     77.7%        79.8% 08月     77.4%        83.0% 09月     80.4%        83.6% 10月     70.3%        73.2% 11月     58.9%        62.8% 12月     57.6%        62.7% 平均 67.0% 65.8%

 平成24年6月直近1年間(平成23年7月〜平成24年6月)の宿泊客室稼働率は、

 
        平成23年07月   79.8%
        平成23年08月   83.0%
        平成23年09月   83.6%
        平成23年10月   73.2%
        平成23年11月   62.8%
        平成23年12月   62.7%

平成24年01月   59.2% 平成24年02月   71.5% 平成24年03月   65.4% 平成24年04月   53.8% 平成24年05月   67.8% 平成24年06月   78.6% 平均   70.1%

である。

 まとめると、

    
    平成23年(平成23年1月〜12月)     65.8%
    直近1年(平成23年7月〜平成24年6月)  70.1%

である。


 平成23年の平均客室稼働率は65.8%であるから、

             70.1-65.8=4.3

4.3ポイントのアップである。

 宿泊者の最も多い月は、8月で74〜76万人である。
 札幌の観光のトップシーズンは8月ということになる。

 一方、宿泊客室稼働率の最も高い月は、9月で80〜83%である。

 これら宿泊者数、客室稼働率のアップは、前年の平成23年3月11日に東日本大震災があり、その影響により平成23年3月、4月、5月、6月の宿泊者数、客室稼働率が大幅に落ち込んでしまい、翌年の24年のそれぞれ同月は顧客が戻ってきたことによるアップである。

 札幌の産業経済が著しく回復したことによるアップではない。

 札幌市の『さっぽろの観光』(平成24年版)によれば、札幌の観光客数と宿泊者数は、下記のとおりである。割合は、宿泊者数/観光客数で、田原の計算による。

                      観光客数            宿泊者数          割合

19年度    13,781千人     6,478千人 0.47 20年度    12,995千人     6,536千人 0.50 21年度    13,014千人     6,384千人 0.49 22年度    12,605千人     6,173千人 0.49 23年度    12,165千人     6,112千人 0.50

 観光客数、宿泊者数共に減少している。

 宿泊者と観光客数の関係を見ると、宿泊者数は観光客数の0.5、即ち観光客数の半分は札幌に宿泊している。

 このデータの数値は貴重である。
 宿泊者数が分かれば、その2倍が観光客数と把握できることになる。

 札幌市と観光庁の発表数値とは一致しないけれども、観光庁発表の直近1年の宿泊者数が平成23年よりも5.3%の増加であることから、平成24年の札幌の観光客は前年の23年よりもアップすると思われる。

 札幌を訪れる外国人宿泊者数上位の国は、前掲の『さっぽろの観光』(平成24年版)によれば、下記の通りである。
                       22年度             23年度

台湾     135,675人     134,889人 香港     135,022人      98,171人 中国     109,395人      63,708人 韓国      97,304人      53,318人 シンガポール  45,488人      26,200人 タイ      13,107人      8,086人 米国      13,107人      7,903人

 外国人宿泊者は、圧倒的にアジア人である。
 札幌の観光は、今やアジア人の観光客を無視して語ることは出来ない状況にある。

 台湾・中国人等が、向うから勝手に札幌に来てくれたのではない。
 札幌・北海道等日本の多くの関係者が長い期間と能力を使い、努力によってここまで来たのである。

 この努力の延長をより大切にするべきものであり、壊すようなことを政府関係者・第三者はするべきものではない。

 札幌の冬の観光イベントであるさっぽろ雪まつりに、どれ程の観光客が訪れているのであろうか。

 札幌市の発表によれば、下記のとおりである。

            平成15年     2,233千人
            平成16年     2,179千人
            平成17年     2,191千人
            平成18年     1,985千人
            平成19年     2,101千人

平成20年     2,159千人 平成21年     2,080千人 平成22年     2,433千人 平成23年     2,416千人 平成24年     2,054千人

 私は、もう一度札幌の雪まつりを観たいと思ったが、ある時は札幌のホテルが取れなくて断念した。
 急遽思い立ってホテル探しが雪祭りの1週間前では、札幌のホテルは旅行会社のツアーで押さえられており、一般人がホテルの宿など確保することは殆ど不可能の状態である。
 それ故、札幌に雪まつりを観に行くのは断念した。

 ある時は、飛行機の座席が取れなくて雪まつりを断念した。

 ホテルの部屋数や飛行機の座席数には限りがあることから、観光客を外部からより多く呼び込もうとする為には、開催期間を2〜3日延長することを開催者は考えてもよいのではないだろうか。

 利益は、人が運んできてくれるのだから。

 加えて、東京から札幌に行くのにどれ程のお金が必要なのかも、開催者は考える必要がある。
 一人にかかる費用は半端な金ではない。
 それだけのお金を使ってでも雪まつりを見に行こうとするのである。

 北海道大学の学生の一人が思いついた夏の「YOSAKOIソーラン祭り」は、雪まつりと同じほどの観光客を集めるまでに成長した。

 その観光客数は、前記の『さっぽろの観光』(平成24年版)によれば、下記である。

            平成15年     202万人
            平成16年     208
            平成17年     214
            平成18年     186
            平成19年     216

平成20年     202 平成21年     179 平成22年     218 平成23年     200 平成24年     198

 私も「YOSAKOIソーラン祭り」を一度観たが、御輿を担いで練り歩く祭りとは異なる。

 強烈な音量を背景にして、いくつものグループチームが躍動的に、力強く、独創性ゆたかに踊り舞う姿は、観ているだけで「元気と力」を与えてくれる。

 「YOSAKOIソーラン祭り」を考え出した一人の北海道大学生の創造性ある才能に敬意を表す。
 
 そして、それを実行に移した札幌市の行政担当者の勇気と判断力を称えたい。


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