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札幌の景気は良くないと云う鑑定コラム記事において、観光については、日銀札幌支店、北海道、札幌市のいずれの直近の報告書も、「持ち直しの動きが続いている」と述べていると記した。
その具体性を、観光庁発表の『宿泊旅行統計調査』で確認してみる。次いで札幌の観光の現状について記す。
観光庁の同調査は、札幌の宿泊者数を下記の通り発表している。合計は田原の計算による。以下同じ。
平成22年 平成23年
01月 529,640人 562,371人
02月 645,938人 648,095人
03月 581,223人 496,057人
04月 330,686人 313,133人
05月 474,244人 464,335人
06月 495,039人 505,444人
07月 687,353人 658,641人
08月 744,662人 760,720人
09月 679,850人 684,646人
10月 576,379人 552,520人
11月 462,383人 437,446人
12月 488,347人 485,078人
合計 6,695,744人 6,568,486人
平成24年6月直近1年間(平成23年7月〜平成24年6月)の宿泊者は、
平成23年07月 658,641人
平成23年08月 760,720人
平成23年09月 684,646人
平成23年10月 552,520人
平成23年11月 437,446人
平成23年12月 485,078人
平成24年01月 554,670人
平成24年02月 594,295人
平成24年03月 590,396人
平成24年04月 421,478人
平成24年05月 563,907人
平成24年06月 616,469人
合計 6,920,266人
6,920,266人である。
まとめると、
平成23年(平成23年1月〜12月) 6,568,486人
直近1年(平成23年7月〜平成24年6月) 6,920,266人
である。
平成23年は6,568,486人であるから、
6,920,266人
─────── = 1.053
6,568,486人
5.3%の宿泊者のアップである。
宿泊客室稼働率を見る。
観光庁が発表するホテル・旅館を含めた札幌の宿泊施設の客室稼働率である。平均は田原の計算による。以下同じ。
平成22年 平成23年
01月 55.8% 55.4%
02月 74.2% 71.2%
03月 60.8% 50.1%
04月 50.2% 42.0%
05月 66.0% 57.4%
06月 74.3% 68.2%
07月 77.7% 79.8%
08月 77.4% 83.0%
09月 80.4% 83.6%
10月 70.3% 73.2%
11月 58.9% 62.8%
12月 57.6% 62.7%
平均 67.0% 65.8%
平成24年6月直近1年間(平成23年7月〜平成24年6月)の宿泊客室稼働率は、
平成23年07月 79.8%
平成23年08月 83.0%
平成23年09月 83.6%
平成23年10月 73.2%
平成23年11月 62.8%
平成23年12月 62.7%
平成24年01月 59.2%
平成24年02月 71.5%
平成24年03月 65.4%
平成24年04月 53.8%
平成24年05月 67.8%
平成24年06月 78.6%
平均 70.1%
である。
まとめると、
平成23年(平成23年1月〜12月) 65.8%
直近1年(平成23年7月〜平成24年6月) 70.1%
である。
平成23年の平均客室稼働率は65.8%であるから、
70.1-65.8=4.3
4.3ポイントのアップである。
宿泊者の最も多い月は、8月で74〜76万人である。
札幌の観光のトップシーズンは8月ということになる。
一方、宿泊客室稼働率の最も高い月は、9月で80〜83%である。
これら宿泊者数、客室稼働率のアップは、前年の平成23年3月11日に東日本大震災があり、その影響により平成23年3月、4月、5月、6月の宿泊者数、客室稼働率が大幅に落ち込んでしまい、翌年の24年のそれぞれ同月は顧客が戻ってきたことによるアップである。
札幌の産業経済が著しく回復したことによるアップではない。
札幌市の『さっぽろの観光』(平成24年版)によれば、札幌の観光客数と宿泊者数は、下記のとおりである。割合は、宿泊者数/観光客数で、田原の計算による。
観光客数 宿泊者数 割合
19年度 13,781千人 6,478千人 0.47
20年度 12,995千人 6,536千人 0.50
21年度 13,014千人 6,384千人 0.49
22年度 12,605千人 6,173千人 0.49
23年度 12,165千人 6,112千人 0.50
観光客数、宿泊者数共に減少している。
宿泊者と観光客数の関係を見ると、宿泊者数は観光客数の0.5、即ち観光客数の半分は札幌に宿泊している。
このデータの数値は貴重である。
宿泊者数が分かれば、その2倍が観光客数と把握できることになる。
札幌市と観光庁の発表数値とは一致しないけれども、観光庁発表の直近1年の宿泊者数が平成23年よりも5.3%の増加であることから、平成24年の札幌の観光客は前年の23年よりもアップすると思われる。
札幌を訪れる外国人宿泊者数上位の国は、前掲の『さっぽろの観光』(平成24年版)によれば、下記の通りである。
22年度 23年度
台湾 135,675人 134,889人
香港 135,022人 98,171人
中国 109,395人 63,708人
韓国 97,304人 53,318人
シンガポール 45,488人 26,200人
タイ 13,107人 8,086人
米国 13,107人 7,903人
外国人宿泊者は、圧倒的にアジア人である。
札幌の観光は、今やアジア人の観光客を無視して語ることは出来ない状況にある。
台湾・中国人等が、向うから勝手に札幌に来てくれたのではない。
札幌・北海道等日本の多くの関係者が長い期間と能力を使い、努力によってここまで来たのである。
この努力の延長をより大切にするべきものであり、壊すようなことを政府関係者・第三者はするべきものではない。
札幌の冬の観光イベントであるさっぽろ雪まつりに、どれ程の観光客が訪れているのであろうか。
札幌市の発表によれば、下記のとおりである。
平成15年 2,233千人
平成16年 2,179千人
平成17年 2,191千人
平成18年 1,985千人
平成19年 2,101千人
平成20年 2,159千人
平成21年 2,080千人
平成22年 2,433千人
平成23年 2,416千人
平成24年 2,054千人
私は、もう一度札幌の雪まつりを観たいと思ったが、ある時は札幌のホテルが取れなくて断念した。
急遽思い立ってホテル探しが雪祭りの1週間前では、札幌のホテルは旅行会社のツアーで押さえられており、一般人がホテルの宿など確保することは殆ど不可能の状態である。
それ故、札幌に雪まつりを観に行くのは断念した。
ある時は、飛行機の座席が取れなくて雪まつりを断念した。
ホテルの部屋数や飛行機の座席数には限りがあることから、観光客を外部からより多く呼び込もうとする為には、開催期間を2〜3日延長することを開催者は考えてもよいのではないだろうか。
利益は、人が運んできてくれるのだから。
加えて、東京から札幌に行くのにどれ程のお金が必要なのかも、開催者は考える必要がある。
一人にかかる費用は半端な金ではない。
それだけのお金を使ってでも雪まつりを見に行こうとするのである。
北海道大学の学生の一人が思いついた夏の「YOSAKOIソーラン祭り」は、雪まつりと同じほどの観光客を集めるまでに成長した。
その観光客数は、前記の『さっぽろの観光』(平成24年版)によれば、下記である。
平成15年 202万人
平成16年 208
平成17年 214
平成18年 186
平成19年 216
平成20年 202
平成21年 179
平成22年 218
平成23年 200
平成24年 198
私も「YOSAKOIソーラン祭り」を一度観たが、御輿を担いで練り歩く祭りとは異なる。
強烈な音量を背景にして、いくつものグループチームが躍動的に、力強く、独創性ゆたかに踊り舞う姿は、観ているだけで「元気と力」を与えてくれる。
「YOSAKOIソーラン祭り」を考え出した一人の北海道大学生の創造性ある才能に敬意を表す。
そして、それを実行に移した札幌市の行政担当者の勇気と判断力を称えたい。
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