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1081)京都 とがのお

 京都には「とがのお」という地名が2つあるようだ。

 火野正平のこころ旅は、大阪から京都に入った。

 京都に入り、「とがのお」という神社に行くと耳に入ったので、「とがのお」という地名はそうやたらにあるものでないことから、歌にも唄われた「京都 とがのお 高山寺」の「とがのお」とばかり思っていた。

 テレビに映し出される映像は、どうも京都市内らしいとは思われない風景が続く。

 とがのお神社に「とおちゃこ」という火野正平の目的地到着の言葉を耳にして、京都の別の「とがのお」の地域と知った。

 京都府八幡市の「とがのお」にある「狩尾神社(とがのおじんしゃ)」であった。狩尾と書いて「とがのお」と読ませるようである。

 傾斜度30度はあるであろう急傾斜の石階段を登った高台に、その神社はあった。

 こころの風景の手紙の主は83歳の女性で、この階段を登り降りして足腰を鍛えているというおばあちゃんであった。

 その元気さに頭がさがる。

 私が京都の「とがのお」と聞いて京都市内の「とがのお」と思ったのは、私が若い青春の頃に聞いた歌の歌詞が思い出され、その歌詞から思ったのである。

 ♪♪・・・京都 とがのお 高山寺
            恋に疲れた女がひとり
            ・・・・・

 永六輔が作詞し、いずみたくが作曲し、デューク・エイセスが唄った曲『女ひとり』という歌の中の「とがのお」と思ったのである。

 この歌の「とがのお」は「栂尾」という漢字で書く。

 昭和40年代の初め頃にはやった歌だった。
 詞、曲、歌い手の3者の息がぴったりあった良い曲である。
 私もよく口ずさんだ。

 歌い出しは、

 ♪♪・・・京都 大原 三千院
           恋に疲れた女がひとり

と始まる。

 続く歌詞は、

  ♪♪・・・結城に塩瀬の素描の帯が
      池の水面にゆれていた
           京都 大原 三千院
           恋に疲れた女がひとり

である。

 2番に栂尾(とがのお)がでてくる。

 ♪♪・・・京都 栂尾 高山寺
           恋に疲れた女がひとり
            ・・・・・

 そして3番は、

 ♪♪・・・京都 嵐山 大覚寺
            恋に疲れた女がひとり
            ・・・・・・・

である。

 永六輔の作詞であるが、京都の地名と寺の名前を韻をふんで並べ、高級和服と帯をつないで行くという歌詞は、古都京都の風情に和服の女性を溶け込ませ、女性の美しさをより引き立たせていて素晴らしい。

 さすが作詞家永六輔だと思う。

 地名と寺は、

      京都 大原 三千院(1番)

      京都 栂尾 高山寺(2番)
      京都 嵐山 大覚寺(3番)

である。

 きものと帯は、

            結城に塩瀬の素描の帯(1番)

大島つむぎにつづれの帯(2番)
      塩沢がすりに名古屋帯(3番)

である。

 そして状況を、日本人が好む七五調でそれぞれ付け加える。
 これによって、古都京都の風情が浮かび上がってくる。

      池の水面にゆれていた(1番)

        影を落とした石だたみ(2番)
      耳をすませば滝の音(3番)

である。

 栂尾の高山寺の石畳を、つづれの帯に大島つむぎの和服に身を包んだ女性が一人そぞろ歩く姿が、「とがのお」と云う言葉から、浮かび上がってくる。

 詞の最後に追いかけるごとく、再び

      京都 栂尾 高山寺

とくる。

 それほど栂尾の高山寺は、良いところであるのかと思い込まされる。

 歌に惹かれてはいささか単純過ぎるかもしれないが、若い頃、『女ひとり』の歌に惹かれて、大原の三千院を訪れたことを思い出す。


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