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みずほコーポレート銀行が、みちのく銀行がモスクワに持つ現地法人の銀行を買収する。(2006年10月12日、株式会社みちのく銀行ホームページプレスリリース)
売買価格はおよそ70億円と、他の情報サービス会社は報じる。
私は、みずほコーポレート銀行という銀行がどういう銀行であるのか知らなかった。金融機関出身の友人から、
「それは日本興業銀行のことだよ。」
と教えられて、初めて知った。
あの誇り高き興銀マンが、富士銀行のグループになったのかと知っていささか驚いた。
それでは政府系金融機関の、日本長期信用銀行は・・、日本不動産銀行は・・、日本輸出入銀行は・・、日本開発銀行は・・?。
めまぐるしい金融機関の統廃合、合併によって、それら政府系の金融機関はどの銀行名になっていることやら、私には分からない。また知っていて、どうと言うことでもない。
話がそれた。元に戻る。
みちのく銀行は、日本の銀行の中で初めて1999年にロシアで現地法人を立ち上げた。
平成17年12月期の損益計算は、下記の通りである。
経常収益 890百万円
経常利益 265百万円
当期純利益 199百万円
銀行の売上高、営業利益は、一般の企業の表示と異なっているようであり、私にははっきりと分からないが、どうも経常収益が売上高に相当し、経常利益、当期純利益が一般会社の何の利益に相当するかよく分からないが、経常利益を営業利益に相当するととりあえず考える。
以下その認識で、買収価格を70億円と見なして、どうしたら70億円の価格が導き出されるか、私の勝手な手法と考えで分析してみる。
営業利益2.65億円の企業を70億円で買収するとすれば、その投資利回りは、
2.65億円÷70億円=0.037
3.7%である。随分と低い利回りである。こんな低い利回りでは、合理的経済人は投資を考えないであろう。
過去に分析した銀行の売買においては、その投資利回りは5%であった。
それの分析記事は、本鑑定コラムにも載せてある。
この利回りを使ったとすれば、
2.65億円÷0.05=53億円
53億円が妥当な企業売買価格である。
それが70億円の価格にどうしてなるのか。
その原因は、みちのく銀行モスクワ現地法人の高い営業利益率と著しい売上高増にあるのでは無かろうかと推定する。
みちのく銀行モスクワ現地法人の高い営業利益率とは、平成17年12月期は、
2.65億円÷8.9億円≒0.298
29.8%の営業利益率である。
一方著しい売上高増とは、
平成15年12月期売上高 3.07億円
平成17年12月期売上高 8.90億円
である。2年間で、
8.9億円÷3.07億円≒2.90
2.9倍の増加である。
この売上増で行けば、5年後にはびっくりする程の売上高になるが、そんなに企業経営は都合良く行くものでは無いであろう。
みちのく銀行モスクワ現地法人は1999年の設立である。平成17年12月期までに6年経過している。
設立当初の売上高はゼロに近かったと思われる。黒字になったのは16年12月期で、わずか2年前でしかない。
6年間で売上高は8.9億円になったのであるから、年間の平均増加額は、
8.9億円÷6=1.48億円
である。
この年間増加額は、今後5年間は継続出来るのではないかと予測する。
5年後の売上高増加額は、
1.48億円×5=7.4億円
である。
5年後の予想売上高は、
8.9億円+7.4億円=16.3億円
と推定される。
その営業利益は、
16.3億円×0.298=4.86億円
である。
銀行の投資利回りは、先に述べた5%であるから、
4.86億円÷0.05=97.2億円
である。
この金額は5年後の価格であるから、利率5%の複利現価率で現在価格に割り戻す。利率5%の複利現価率は0.7835である。
97.2億円×0.7835=76.1億円
みちのく銀行モスクワ現地法人の価格は、76.1億円と求められた。
みずほコーポレート銀行が買収する価格は、約70億円である。
上記分析で求められた金額は、その金額に概ね近い金額である。分析価格は、当たらず遠からずということか。
上記分析は、先に述べたごとく、私の勝手な推測による価格分析であることをお断りしておく。
みずほコーポレート銀行は、銀行独自のより詳細のデータと分析力で価格決定していることは、当然のことである。
銀行の売買に関する鑑定コラムの記事は、下記にあります。
鑑定コラム113)銀行の売買価格はどの様に求めるのか
鑑定コラム118)銀行の売買価格は利回り5%か
鑑定コラム140)遂に都市銀行本店も身売り
鑑定コラム1243)「シティバンク日本の個人部門の価格はいくらか」」
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