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1371)宮崎で市内地図を購入するに一苦労

 宮崎に行って来た。

 観光では無い。不動産鑑定の仕事である。

 2015年(平成27年)7月の月末も近く、台風一過の夏本番到来の暑さの中、3日間ほど宮崎市に行って来た。

 夏シーズン到来であり、飛行機の席が取れるか心配であったが、何とか席は取れた。宿はビジネスホテルで我慢する。但し、騒々しく、常識はずれも甚だしい中国人の団体が宿泊して居ないことを願った。

 不動産鑑定には、都市地図が不可欠である。
 特に昭文社の地図が。

 宮崎市の地図は、宮崎に行って購入すればよいであろうと考えていた。

 というのは、東京の本屋でも、全国の都市地図を置いている書店は少なく、探し歩くのも面倒と思った。

 それ故、地元の本屋に行けば、地元であるから置いてあるであろうから、そちらで購入すれば良いと判断した。

 宮崎空港でレンタカーを借りた。

 宮崎市街地に入り、本屋を探したが、なかなか見当たらない。

 走行している間に市役所が目に入ったことから、市役所で本屋の場所を聞くことにした。

 ホールの受付の女性に、

 「市役所の近くに宮崎市の市街地の地図を売っている本屋はありませんか。」

と尋ねた。

 市役所の各行政課の場所等のことは案内出来るが、市内の本屋がどこにあるのか分かりませんと云う返事である。

 それもそうであろうと思ったが、

 「宮崎市に住んでおられることでしょうから、書店の一つ位どこにあるのかご存じではありませんか。」

とたたみ込んだところ、地元の本屋さんではないがといって、遠くになるが一つの店を教えてくれた。

 「駐車場はありますか。」

 「ビルの後にあります。」

という返事を得た。

 教えられた道順で本屋の入っているビルの前に到着した。

 ビルの周りを一周したが、ビル敷地内に駐車場は見当たらなかった。

 本屋の入っているビルの道挟んで反対側に小さな時間貸しの駐車場が目に入った。

 「三井のリパーク」と云う看板の駐車場であった。

 三井不動産の駐車場経営は、こんな所にも手を伸ばしているのかと半端感心し、地図を買うだけの小時間であり、10分もかからないことから100円くらいの料金であろうと思い、そこに車を入れ、止めた。

 本屋の名前は「蔦屋書店」であった。

 全国展開している大きな本屋である。

 たかが宮崎市の都市地図を買うだけであるから、蔦屋書店などの大きな本屋で無くてもよいのだがと思いつつ、店舗内に入った。

 宮崎市の昭文社出版の都市地図は置いてあった。

 購入し、駐車場に戻った。

 駐車場を離れ、戻ってくるまでに10分もかかっていない。5分程度である。

 料金ゲートの支払機に駐車券を入れた。

 料金表示が出た。

 「200円」

 100円程度と思っていたので、200円表示にはいささか驚いた。

 宮崎市の昭文社の都市地図を求めるために費やした車の走行距離と時間と労力を考えると、随分と高いものに付いてしまった。

 やはり、出発前に東京で購入しておくべきであったようだ。

 書店の減少が著しいということは知っており、それについて鑑定コラム1229)「霞ヶ関の政府刊行物センターは移転していた」で記事にした。

 書店の店舗数は、2003年が13,661店舗であったのが、2013年には11,713店舗になり、10年間で1948店舗減少していると記した。

 宮崎市で、その具体に遭遇し、本屋捜しに苦労するとは思わなかった。

 3日間、宮崎市の山側を車で走り廻った。

 海側は宮崎らしい雰囲気を持つが、山側に入ると、そこが宮崎と云う風景では無くなる。

 日本全国どこでも見られる山村の景色である。

 低い山が続き、少ない平坦地は田や畑の農地があり、所々に住宅があり、道は曲がりくねっている。

 ここが宮崎市という特徴が見られるというものでは無い。

 「そろそろ2時間になりますが、休憩されては如何ですか。」

とご丁寧にカーナビが声を出して教えてくれる。

 「もう2時間も走り続けているのか。
 コーヒーが飲める郊外レストランはないのか。」

 そう思いながら、車の運転を続けたが、一向にそれらしき店舗が見つけられない。

 3日間で、20個所くらいの土地を見て回り、役所のあちこちをかけずり回り、いささか疲れた。

 宮崎市内をぐるぐる車で駆け巡ったこともあり、市内の状況はおおよそ分かった。

 国道10号線と219号線の交差する「新名瓜」の交差点を、何とか出来ないものか。

 県庁所在地都市の玄関口の駅は、「宮崎駅」である。

 玄関口の駅近接にマンションが建つ都市計画の計画性が、私にはさっぱり分からない。

 そこを購入し、住む人は便利で大変生活し易いであろう。

 しかし、それで、駅周辺の地域は栄えるのか。

 その建物が占有する土地の地価に見合った形で、それなりのお金が、そのマンションに住む人々が、毎日地域に落としているのか。

 駅は公共性のある建物であると建前論を述べている一方、その駅近接を一握りの人の居宅に占有されていたのでは、公共性の論理は破綻するのではなかろうか。

 駅から400メートルの範囲は、商業性の建物建設に限り、マンション建設は、400ーメート以遠にするべきものと私は思う。

 そうすることによって、駅周辺は栄えるのではなかろうか。都市計画とはそういうものでは無いのか。

 太平洋の海岸沿は、海岸保全区域である。海岸を保全する為に設けられた地域で、松林の植生の地域である。その松林の群生が海岸を守り、かつ、美を造りだしている。

 これが、海に囲まれた日本の海岸の美である。

 海岸保全区域には、建物の建設は許されない。

 そうした場所にも係わらず、海岸の保全の美を創成している松林を切り倒し、金儲けの欲に駆られた人間の浅はかさに負け、見苦しい高層の建物を建てる許可を与えるという、海岸法違反の法律違反をする行為を許す宮崎行政の精神構造が、私にはさっぱり分からない。

 私から見たらおかしいと思われることを単に指摘しているだけであるが、そのことが宮崎の悪口を云っていると受け取られる可能性があることから、この辺りで辛口の発言は止める。

 宮崎市に来たのであるからせめてのものと思い、大淀川べりに建つ川端康成の「たまゆら」の碑の前に佇んだ。

 かってNHKの連続テレビドラマの「たまゆら」(1965年 昭和40年)が放映された頃の自分を思い出し、大淀川のゆったりした流れを見ながら、忙しい3日間の疲れを癒し、宮崎県を後にした。


  鑑定コラム1229)
「霞ヶ関の政府刊行物センターは移転していた」

  鑑定コラム1373)「宮崎の鑑定の合間の休憩」

  鑑定コラム1374)「宮崎の賃料」

  鑑定コラム1375)「宮崎市の田はu当り1096円(但し公売価格)」


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