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敷金は、賃貸している建物の賃料の支払が滞った場合に、賃貸借契約終了時に未払い賃料を敷金で清算するもので、未払い賃料を担保するものである。
店舗の敷金の場合には、賃借人が付加した内装の解体工事費を担保する目的を持っている場合もある。
それは、店舗の場合、スケルトンの状態で入居することが多く、入居時の状態に戻すという原状回復の契約条件(スケルトンで入ったら、退去する時は、スケルトンの状態に戻す)を、退去する賃借人が守らずに、遁ずらすることがあるためである。
敷金の額は、一般的には支払賃料の何ヶ月分と計算され、住宅の場合は、2〜3ヶ月、事務所の場合は5〜20ヶ月、店舗の場合は10〜50ヶ月の金銭が授受される場合が多い。
丸ビルの場合にも、賃貸借契約時には、敷金の授受があると思われる。
丸の内の大家である三菱地所は、賃料及び関係する契約条件をオープンにしていないので、敷金の金額は分からない。
敷金の運用益は、賃貸ビルの総収入を形成するために、敷金の額を把握しなければならない。
丸ビルの敷金の額を、以下の分析で推測する。
三菱地所が、平成28年3月期第一四半期(平成27年4月〜6月)の決算短信を発表している。
その決算短信によれば、貸借対照表の負債の部に、
受入敷金保証金 380,489百万円
の記載がある。
賃貸ビル入居者から預かっている敷金保証金の金額である。
約3805億円の金額を預かっていることになる。とてつもない巨額の金額である。預かり金だけで、いくつのビルが建てられることか。
上記分析から、三菱地所は貸ビルの賃貸借契約に伴い、敷金保証金を授受していることがわかった。
同決算短信は、建物賃貸部門の営業収益を、
88,512百万円
と記す。
建物賃貸部門の営業収益とは、賃料収入を云う。
平成27年4月〜6月までの3ヶ月の賃料収入は、約885億円ということである。
1ヶ月の賃料収入は、
88,512百万円÷3 = 29,504百万円
である。
受入敷金保証金を、1ヶ月の賃料収入で除せば、支払賃料の何ヶ月分の敷金保証金が授受されているかがわかる。
380,489百万円 ÷ 29,504百万円 = 12.896
三菱地所が賃貸するビルの敷金は、月額支払い賃料の約12.9ヶ月と分析される。
以前の賃料を求める時にも述べたが、丸ビルは、丸の内地区のビルにあって立地、品等と云い一等のビルである。
丸ビルの賃料は、坪当り59,000円と推測した。
丸の内地区の平均賃料は、坪当り36,281円であった、丸の内地区の平均賃料と丸ビルの賃料の間には、
59,000円
─────── = 1.626
36,281円
の関係が認められる。
敷金にもこの関係があっても良いと判断する。
12.896ヶ月×1.626 = 20.969ヶ月
≒ 21ヶ月
丸ビルの敷金を、月額支払賃料の21ヶ月と推測する。
但し、これは私の勝手な分析によるものであり、実際の丸ビルの敷金が月額支払賃料の21ヶ月授受されていると云うものではないということを、お断りしておく。実際の授受敷金ヶ月は、これよりも多いかもしれないし、或いは少ないかもしれない。
鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」
鑑定コラム1387)「丸ビルの必要諸経費の推測」
鑑定コラム1388)「丸ビルの建物価格」
鑑定コラム1389)「丸ビルの土地価格」
鑑定コラム1390)「丸ビルの還元利回り」
鑑定コラム1391)「丸ビルの減価償却後還元利回り」
鑑定コラム1392)「丸ビルの賃料、還元利回りの分析を終えて」
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