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丸ビルの還元利回りは、どれ程であろうか。
分析してみる。
丸ビルは、東京駅の西側・丸の内側の駅前広場に面し、皇居に向かう行幸通りにも面する丸の内の超一等地にある。
ビルの所有者は、丸の内の大家と云われる三菱地所である。
還元利回りは、
純賃料
───────── = 還元利回り
土地・建物の価格
の算式で求められる利回りである。
純賃料は、
賃料総収入−必要諸経費 = 純賃料
の算式で求められる。
まず最初に丸ビルの賃料総収入を求める。
賃料総収入は、
(支払賃料+共益費)×12 + 敷金運用益
で求められる。
丸ビルの賃料は、坪当り59,000円と、鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」で求められている。
丸ビルの延床面積は、三菱地所のホームページのビル紹介の頁に、数値が載せられている。159,838.66u(48,351.19坪)である。
有効面積は、73,451.07u(22,218.95坪)と記されている。
レンタブル比(賃貸面積率)は、
22,218.95坪
─────── = 0.460
48,351.19坪
46.0%である。50%を切っている。廊下が広く、共用面積が広くゆったりしたビルの内部である。
三菱地所の丸の内の平均レンタブル比は、平成27年3月期決算書の添付資料によれば、
貸付有効面積 1,571千u
──────────────── = 0.608
営業床面積 2,583千u
60.8%である。
まとめると、
丸ビルのレンタブル比 46.0%
丸の内事務所ビルの平均レンタブル比 60.8%
である。
貸事務所ビル所有者は、賃料収入を多く得たいために、賃貸面積を少しでも多くして、収入を拡大したい欲望に駆られる。
それ故、出来るだけ共用面積を削り、削った分を事務所にして賃貸に回しがちである。
共用面積が少なくなければ、それだけ清掃、電気代等が少なくて済む。それはビル経営の効率から云えば、よいこととなる。
しかし、共用面積が少ないビルは、廊下等が狭く感じられ、万一火災になった場合の避難の際に、被害が拡大する可能性がある。
総じて、共用面積の少ないことは、品等の落ちるビルに通じることになる。
丸ビルの賃貸面積率が50%を切って、46%と云うことは、共用面積の方が、賃貸面積より大きいことを示す。
これを知れば、丸ビルの設計思想が分かり、品等が如何に良いビルかが分かろう。
丸ビルの月額賃料収入は、
59,000円×22,218.95坪 = 1,310,918,050円
である。13.1億円である。この賃料は、共益費込みの賃料とみなす。
年間賃料収入は、
1,310,918,050円×12 = 15,731,016,600円
である。157.3億円である。
賃料収入はどれ程かが、これで分かった。
次に敷金の運用益を求める。
丸ビルの敷金は、支払賃料の21ヶ月と鑑定コラム1386)「 丸ビルの敷金の推測」で分析した。
敷金の金額は、
1,310,918,050円×21 = 27,529,279,050円
275億円の敷金である。
運用利回りを1.0%とする。
敷金運用益は、
27,529,279,050円 × 0.01 = 275,292,791円
である。
総収入は、
賃料収入 15,731,016,600円
敷金運用益 275,292,791円
計 16,006,309,391円
である。
これで丸の内の賃料総収入が分かった。
次は、必要諸経費を求める。
丸ビルの必要諸経費率は、27.5%と、鑑定コラム1387)「 丸ビルの必要諸経費の推測」で分析されている。
必要諸経費を求める算式は、
賃料総収入×必要諸経費率 = 必要諸経費
である。
丸ビルの必要諸経費は、
16,006,309,391円×0.275 = 4,401,735,083円
である。44億円である。
次は、純収益を求める。
純収益を求める算式は、
総収入 − 必要諸経費 = 純収益
である。
丸ビルの賃料の純収益は、
16,006,309,391円 - 4,401,735,083円 = 11,604,574,308円
≒ 116億円
116億円である。
これで、還元利回りを求める算式の分子が分かった。
次に分母である丸ビルの土地・建物の価格を求める。
建物価格は、鑑定コラム1388)「丸ビルの建物価格」で、462億円と求められている。
土地価格は、鑑定コラム1389)「丸ビルの土地価格」で、4091億円と求められている。
まとめると、丸ビルの土地・建物価格は、
土地価格 4091億円
建物価格 462億円
計 4553億円
である。
還元利回りは、
純賃料
───────── = 還元利回り
土地・建物の価格
の算式で求められることは、前記した。
純賃料は、116億円であった。
土地・建物は、上記より、4553億円である。
算式に、純賃料、土地・建物の価格の数値を代入すれば、丸ビルの還元利回りは求められる。
下記である。
116億円
────── =0.02547≒0.0255
4553億円
丸ビルの還元利回りは、
2.55%
である。但し、この還元利回りは、キャッシュフローの減価償却前還元利回りである。
およそ2ヶ月に渡り、長々とデータを駆使して分析して来た到着点の結果は、2.55%の数値であった。
鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」
鑑定コラム1386)「丸ビルの敷金の推測」
鑑定コラム1387)「丸ビルの必要諸経費の推測」
鑑定コラム1388)「丸ビルの建物価格」
鑑定コラム1389)「丸ビルの土地価格」
鑑定コラム1391)「丸ビルの減価償却後還元利回り」
鑑定コラム1392)「丸ビルの賃料、還元利回りの分析を終えて」
鑑定コラム1481)「600億円のホテル売買」
鑑定コラム1523)「丸ビルの還元利回りは2.51%(28年3月)」
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