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賃貸不動産の必要諸経費は、賃料収入を得るために必要とする費用である。
必要諸経費を形成する費用項目は、公租公課、維持管理費、修繕費、損害保険料である。減価償却費もあるが、キャッシュフローで考える場合は、減価償却費は考えない。但し、家賃評価の場合には、減価償却費は必要諸経費に含まれる。
丸ビルの賃料の必要諸経費はどの位か分析してみる。
丸ビルの所有者である三菱地所の平成27年3月期の決算書によれば、ビル事業の売上高は、587,660百万円である。
その内訳は、下記である。単位百万円。
建物賃貸 416,631
ビル運営管理受託 19,721
営繕請負工事 14,500
地域冷暖房事業 8,724
その他 128,083
計 587,660
ビル事業のうちの建物賃貸の売上高は、416,631百万円である。
平成27年3月期の有価証券報告書によるビル事業費用の明細書は、以下である。単位百万円。
不動産賃借料 100,175
減価償却費 40,275
租税公課 33,884
建物管理費 32,508
水道光熱費 27,118
不動産販売原価 19,017
運営委託費 8,848
人件費 6,913
修繕維持費 3,806
その他諸経費 17,163
このうち通常の賃貸不動産の必要諸経費に認められる項目と費用は、
租税公課 33,884
建物管理費 32,508
水道光熱費 27,118
修繕維持費 3,806
その他諸経費 17,163
計 114,479
である。
賃料収入に対する必要諸経費率は、
114,479百万円
──────── = 0.2747 ≒ 0.275
416,631百万円
27.5%である。
上記割合は、三菱地所の賃貸建物の平均必要諸経費率であるが、丸ビルの必要諸経費もこの割合相当とする。
丸ビルの賃料収入に対する必要諸経費率を27.5%と分析する。
但し、これは私の勝手な分析によるものであり、実際の丸ビルの必要諸経費率が27.5%であるかどうか私には分からない。それ故、実際の丸ビルの必要諸経費率が27.5%であると云うものではないということを、お断りしておく。実際の必要諸経費率は、これよりも高い率かもしれないし、或いは低い率かもしれない。
上記必要諸経費率は、減価償却費を必要諸経費に含めない場合の率である。
では、減価償却費を必要諸経費に含めた場合の率は、如何ほどであろうか。
減価償却費は、40,275百万円である。これを必要諸経費に加える。
114,479百万円+40,275百万円 = 154,754百万円
この求められた必要諸経費を賃料収入で除す。
賃料収入に対する減価償却費を含めた必要諸経費率は、
154,754百万円
──────── = 0.3714 ≒ 0.371
416,631百万円
37.1%である。
まとめると、三菱地所が所有する貸ビルの平均必要諸経費率は、
減価償却費を含めない場合の必要諸経費率 27.5%
減価償却費を含めた場合の必要諸経費率 37.1%
である。
鑑定コラム684)「貸事務所ビル経費率」の記事で、必要諸経費の中に減価償却費を含めた必要諸経費率の平均は、36.4%である。
丸ビルの必要諸経費37.1%は妥当な経費率と判断できる。
鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」
鑑定コラム1386)「丸ビルの敷金の推測」
鑑定コラム684)「貸事務所ビル経費率」
鑑定コラム1388)「丸ビルの建物価格」
鑑定コラム1389)「丸ビルの土地価格」
鑑定コラム1390)「丸ビルの還元利回り」
鑑定コラム1391)「丸ビルの減価償却後還元利回り」
鑑定コラム1392)「丸ビルの賃料、還元利回りの分析を終えて」
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