上野の森とも呼ばれる上野公園は、JR山手線上野駅の西側徒歩0分にある。
桜の名所であり、西郷さんの銅像や上野動物公園のあるところとして知られている。
その上野公園には、東京国立博物館、国立西洋美術館、上野の森美術館、国立科学博物館そして東京都美術館と多くの美術館、博物館がある。
2016年5月15日の日曜日、東京上野の上野公園にある一つの美術館に、私は行った。
伊藤若冲(じゃくちゅう)展が開かれていると聞いて、若冲の絵を見たいと思ったためである。
JR山手線の上野駅の公園口に出て、上野公園のほぼ真ん中にある東京都美術館に向かった。
子供連れの家族、年輩者、老夫婦達が混ざり合って一方向に向かう。
歩き始めて3分位すると、子供連れの家族は左に、年輩者、老人夫婦たちは右の方向に分かれる。
子供連れの家族は、「うえのどうぶつえん」と書かれた建物に向かう。年輩者、老人夫婦たちは若冲展の開かれている東京都美術館に向かう。
赤レンガの美術館らしき建物が見えてきたが、その建物の周りに、横に4人程度並び多重に連なる長い列の集団が見えてきた。
近づくと、若冲展を見る人の列と云う。
列の最後には、「最後尾」と書かれた看板を掲げた人が立っている。
マイクを持った人が叫んでいる。
「現在、入館するまでに140分かかります。並ばれる方は、予めご承知下さい。」
そのマイクで叫ぶ人の傍らには、「140分」と大きく書かれた掲示板が置かれている。
「えっ! おいおい、2時間20分も並ばないと若冲の絵は見えないのか。」
マイクは続ける。
「この待ち時間は、本日のみではありません。平日でもこの時間がかかっています。」
とご丁寧にも云う。
そんなに待つのであれば、明日以降の平日に来ようかと思う人の気持ちに水をぶっかける。
「140分もこの暑い中で待てるか。
自宅に帰ろうか。
しかし、折角上野まで出て来たのだ。
出来れば若冲の絵を見てみたい。
しばらく時間を何処かで潰して再び来て見るか。」
と思った。
上野駅の公園口の改札を出て、都美術館に来る間に、黒田清輝の展覧会が開かれている広告ポスターが確かあったことを思い出した。
「黒田清輝の絵を見て、時間を潰そう。その頃には、待ち時間も縮まっているであろう。」
と判断し、黒田清輝の展覧会場に向かった。
東京国立博物館で、黒田清輝の展覧会は開かれていた。
黒田清輝の絵は、以前いくつか観た事がある。
しかし、今回の東京国立博物館の黒田清輝展は、黒田清輝のほぼ全作品のようであった。代表作品のほか日記、スケッチブック、デッサン、下絵から、小号の絵も陳列されていた。
黒田清輝は、鹿児島薩摩藩の上級武士の出であるようだ。
パリに留学するが、それは法律を学ぶ予定であったが、パリに行って絵の勉強に方向転換してしまう。
パリで油絵を本格的に学び初めて、5年で代表作の一つである読書する金髪女性の絵を描けるまでに上達するとは、その才能に私は驚く。
その読書する金髪女性の絵と、もう1つ代表作と云われる浴衣でうちわを持って湖畔に佇む女性の絵をゆっくりと見ることが出来た。
黒田清輝の絵を見終えて都美術館に戻ると、入館するまでに「120分」になっていた。
意を決して2時間待つ事にした。
50年程前、京都岡崎公園にある美術館で開かれた「ツタンカーメンの黄金のマスク」を見る為に2時間待ったことがあるが、それ以来の長い待ち時間である。
120分の待ち時間は、流石に足に疲れが来た。くたびれた。
若冲の絵で、鶏のくちばしの赤色と、とさかの赤色の強烈さが脳裏に残る。
色を際だたせる配色に目を奪われる。
****追記 2016年5月18日
若冲展の公式ツイッター(下記アドレス)に、2016年5月18日の午前10時45分に、入場待ち時間320分の短文が表示された。
イヤハヤもの凄い混みようである。320分から見れば、私の経験した120分などは可愛いものの部類となる。
(下記アドレスをクリックすると、「このコンテンツはフレーム内で表示できません」の文言が表示されますが、5行下の対処方法:「このコンテンツを新しいウィンドウで開く」の個所をクリックすると、目的の画像に繋がります。)
https://twitter.com/jakuchu_300/status/732749896361476096
****追記 2016年5月29日 若冲展 入場者44万人 鑑定コラム1495)転載
伊藤若冲展は、2016年5月24日に終わった。
2016年4月22日〜5月24日迄開かれた。若冲の約80の作品が展覧されていた。
会場は、上野の東京都美術館であった。
開かれていた日数は31日間であった。
その期間に訪れた人数は、44万6千人であり、これは東京都美術館では、過去最高の入場者であったと、日本経済新聞は伝える。
一日平均1万4千人の入場者である。
宮内庁所蔵の若冲の絵と聞き、公開されることは今後もほとんど無いであろうと思い、会場に足を運んだが、その混雑さには往生した。
入場までの外での120分の立ちん坊による足の疲れもあり、ゆっくりと若冲の絵を見ることは困難であった。
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