地方の土地価格の低い宅地の地代の増減額の争いである。
現行地代は年額64,000円である。
更地価格は3,500,000円である。
継続地代の増減額の争いであり、当然この借地の適正な新規地代はどれ程かという問題が生じる。
裁判所の鑑定人不動産鑑定士が、借地権割合は40%とし、新規地代は年額52,000円とした鑑定書が出された。
地代評価にあって、借地権価格を考えて地代を求めていることは妥当である。
このことについては、他の地代の裁判所の鑑定人の評価で、借地権価格を全く考え無く、ゼロ円とする鑑定書に遭遇したことがある。
大正時代からの借地で、借地期間賃借期間90年程度経過していた。
その借地権には、強固な借地権価格が発生しているにもかかわらず、相続税路線価の借地権割合を否定する独自の理論を打ち立てて、借地権価格ゼロ円として地代を求めた鑑定書に遭遇した。人口200万人を越える都市の案件である。
私がいくら強固な借地権価格が発生していると意見書を書いても、裁判官は全く耳を貸さず、借地権価格ゼロ円を前提にした裁判所の鑑定人不動産鑑定士の鑑定額を採用して、判決を書いてしまった。
結果とんでもない高い地代である。更地価格の5%の金額の地代が適正地代とした判決である。家賃利回りを超える地代であった。
減価償却費は借地人に属するものであるのに、それは土地賃貸人に属するものであるとした鑑定書でもあった。
賃借期間90年を越える借地であるのに、借地権価格の発生を認めず、減価償却費は借地人が受け取るものであるにもかかわらず、地主が地代として受け取るとし、かつ、地代は、更地価格の5%に相当する地代額であった。そうした地代が適正であると云う鑑定書であり、判決である。
地代鑑定書にもあきれたが、それを一切の批判もせずに採用する判決にも、私はあきれかえってしまった。
話がそれた。元に戻す。
現行地代年額64,000円の借地権割合40%の算出根拠は、地元精通者の意見及び国税局の相続税路線価の借地権割合が40%であることから、40%と決定したと記す。
上記の借地権価格の求め方を、鑑定評価基準が許しているかどうかが、そもそも問題であるが、ここではそれに触れない。
現行地代が64,000円であるから、減額の鑑定である。
差額配分法では、1/2法を採用すれば、
52,000円−64,000円=▲12,000円
▲12,000円÷2=▲6,000円
▲6,000円+64,000円=58,000円
3,500,000円×0.4=1,400,000円
(X−64,000円)×30(注)=1,400,000円
X=110,667円≒111,000円
(平成29年7月19日東京赤坂ホテルニューオータニの小さな部屋で行われた田原塾の講話テキストに加筆して)