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1773)野球の研究者でありたいとイチローは云う

 2018年5月6日 大谷翔平が、シアトル・セイフコフィールドのマウンドに初めて立った。

 シアトル・マリナーズ戦に投手として登板し、7回途中まで投げ、8-2でエンゼルスは勝ち、大谷は勝投手となり、大リーグ3勝目を挙げた。

 華々しい大谷の大リーグデビューとその後の活躍が新聞紙上を賑わし、NHKテレビの午後7時のニュースも大谷が出場した場合は、その活躍を伝える。

 イチローの動向はさっぱり伝わらなかった。

 イチローは、2012年シーズン途中にマリナーズから、突然ヤンキースに行きたいといって、マリナースを飛び出し、ヤンキースに移った。

 イチローは、何故ヤンキースへの移籍を望んだのか。

 ジータ、Aロッドそして押さえの絶対的守護神マリアーノ・リベラ等とチームメートになって、ベースボールをやりたかったのか。

 ヤンキースに移籍したからと云って、ヤンキースで特別に優遇されたというわけでは無い。私から見れば冷遇されていたと感じられた。

 マリナーズにそのままいれば、3000本安打はもっと早く到達していたに違いない。

 ヤンキースにしばらくいて、2015年にフロリダのマーリンズに移った。

 昨季シーズン終了後、マーリンズの球団から解雇通知を受け、新しい球団を捜していたが、どの球団もイチロー獲得の手を挙げなかった。

 今シーズンの始まる直前、古巣マリナーズがイチロー獲得に手を挙げて、イチローは、マリナーズの選手となった。

 4月末まで選手として試合に出ていたが、成績は振るわ無かった。

 そして5月3日突然、イチローは今季の大リーグの試合出場は無い。ベンチにも入らない。イチローはマリナーズ球団会長補佐として選手の相談役になると球団発表があった。

 そしてイチローの記者会見が行われた。

 マリナーズに残り、チームの練習に参加するが、25名の選手としてベンチ入りはしない。今季の試合出場は無いということを話した。

 選手として解雇では無いのかと思われるが、そうでもない。来季の選手登録の機会はあるという。

 どうもよく分からない話である。

 インタビユーのなかで、自分は「野球の研究者でありたい。」という発言をイチローはしていた。

 野球を研究することは良いことである。

 親からもらった体と感と経験に頼ることが多い野球というスポーツを、科学的にデータに基づいて分析する。

 投手の投げた速球を打者がバットをフルスイングして、当たったボールが、ホームベースの前に落ち、コマのごとく回転し、渦を巻きながらホームベース前の芝生の上を動く。

 捕手は驚き、激しく回転して動くボールを掴もうとするが、ボールを捉えられない。

 打者走者は、全力で一塁ベースに向かう。

 捕手が一塁手に投げるボールよりも早く、打者走者は一塁ベースを踏み走り抜ける。

 捕手前打球の内野安打である。

 どうしてこうした現象が生じるのか。

 投手の投げた速球の回転方向が、鋭く振られたバットの下のどこかに当たり、ボールの回転方向が変わらず、ボール回転がより加速されて、地面に落ちて渦巻くごとく打球ボールは動くのか。

 「捕手前にヒットを打つ凄い選手が日本からやって来た。」とマリナーズの4番打者をうならせたイチローの捕手前ヒットである。

 バットをフルスイングして打ったボールが、捕手の前で内野安打になるということの技術論を、データの分析によって論理的に解析し証明する論文を発表してくれないであろうか。

 ボール、バット、体がどの様に動き関係するのかを分析し、どの状態の時に最高の状況が得られるのかを論理的に説明出来る技術論を見つけ、それが野球技術の高度化と面白さに繋がることになれば、それは野球の発展に貢献することになる。

 イチローが野球の研究者でありたいとして、そうした方面に進みたいというのであれば、それはよいことである。

 イチローが引退することは寂しい。数々の偉業を立てた選手である。

 しかし、打率が2割0分台にあっては、打席に立つことは、プロ選手としては使え無いと、現場は判断するであろう。

 ボール球でも手を出し、それを安打にするイチローであり、滅多に三振をする人で無かったが、テレビでイチローの出場の試合を見ていて「何だか最近は三振が多くなったなァ。」とは感じていた。

 残念であるが、それだけイチローといえども年齢による運動神経の反応、筋力の衰えを隠すことは出来ない。

 2018年の5月のゴールデンウイークには、マリナーズ×エンゼル戦で、大谷が投手で投げ、イチローが打者で打席に立つであろうと予想された。

 それを見る為に、日本から観戦ツアーが組まれ、多くの日本人が、シアトルのセイフコフィールドに向かった。

 しかし、イチローの選手登録の削除で、大谷対イチローの対決は実現しなかった。

 多くのファンはがっかりした。

 マリナーズは、昨年大谷獲得に手を挙げた。マスコミは大谷のマリナーズ入団が濃厚と報じた。

 結果は、エンゼルスが獲得した。

 大谷は大リーグに移るに際し、全球団に手紙を書き、自分の希望を述べた。

 大谷の希望は、投手と打者の二役としての大リーグ選手の保証である。

 それに対して幾つかの球団が獲得の意思を示した。マリナーズも獲得の意思を示した。

 大谷は獲得の意思を示した各球団と面談し、エンゼルスが最も自分にとってよい球団と判断したのであろう。

 エンゼルスに入団した。

 年俸の問題は絡んでいない。それは大リーグの規約があり、外国人の25歳以下での大リーグ入団の年俸は極めて安く決められており、大谷はその制限内でもよいとして、大リーグでの二役での条件による入団を希望したのである。

 シーズン始まる前のキャンプ時での大谷へのマスコミの見方は、ひどい内容のものであった。

 使いものにならない。傘下の下位球団からの出発だというものであった。

 だが、大リーグのシーズンが始まったこの1ヶ月の大谷の活躍は、私からいえば、もう野球殿堂入りに相当する活躍である。

 キャンプでのしくじり、間違いをたちどころに修正して、シーズン本番開始後では対応するという大谷の適応力の能力の高さが見事に証明された。

 大谷の2018年5月6日迄の成績は、下記である。

 (投手としての成績)
 5試合に投げて3勝1敗、投球回数26回と1/3、防御率4.1、失点12、奪三振32、被本塁打4本

 (打者としての成績)
 打率3割3分9厘、試合数21、59打数20安打、打点14、本塁打4本、三振14

 マリナーズも大谷獲得に動いたが、獲得出来なかった。マリナーズファンは、大谷登場に激しいブーイングを行った。

 マリナーズのエース投手ヘルナンデスと投げ合って、大谷が勝投手になったことから、マリナーズファンはブーイングをする気持ちが分からなくもない。

 このことに対して、エンゼルスの監督ソーシャ氏は、「リスペクトだ」と云う。リスペクトの日本語訳は、「尊敬」という意味のようである。

 大谷がマリナーズ戦の力投について発言していることを、ネットメデイアの「THE PAGE」は、5月7日 17:00配信(https://thepage.jp/detail/20180507-00000001-wordleafs?page=2)として、次のごとく伝える。

 「このチームだけでなく、獲得へ興味を示してくれたチームには、スカウトの情報が間違っていなかったことを証明するために良い投球を見せたい」

 自分をスカウトに動いてくれた大リーグのスカウトマンに対して、スカウトの目は正しかったとスカウト達への謝意を、大勢の人々に対して行動で示そうとしている。しっかりした考えを持った素晴らしい若者である。

 イチローとの対決が出来なかったことに対して、「対決してみたかった」と述べている。

 イチローも「大谷と対決してみたかった」と云う。


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