昨年(2017年)日本のプロ野球の日ハムファイターズに所属していた大谷翔平が、アメリカ大リーグ・アメリカンリーグのアナハイム・エンゼルスに移籍した。
投手と野手(打者)の両方を行う条件でエンゼルスに入団した。
大リーグの2018年シーズンが始まった。
2018年3月29日(日本時間30日)、オークランド・アスレチックス戦に、大谷は8番DHで大リーグ初先発した。打者としての大谷の先発である。
初先発の2イング目に、大谷に初めての打順が回ってきた。
憧れた大リーグの公式戦の初めての打席である。
アスレチックスの先発右腕グレーブマンの内角攻めのボールを、大谷は強振する。バットに当たった打球は、一塁手の脇をかすめ、右翼手の前へと抜けていった。
ライトへのヒットである。
大谷は、大リーグ初打席で初ヒットを打った。
その後はヒット無く、エンゼルスは負けた。
2018年4月1日(日本時間2日)敵地オークランドでのアスレチックス戦に、大谷は先発投手としてマウンドに立った。
大谷の投手としての大リーグデビューである。
初回に、99.6マイル(約160キロ)の速球を投げ、打者を三振にとり、無失点とするが、2回に捕まり、チャプマンに逆転3ランを浴びてしまった。
しかしその後は6回まで失点を許さなく、先発投手の責任インニングの6回でマウンドを降りた。
その間に味方打線が爆発し、エンゼルスは勝利し、大谷が勝利投手になる。
大谷、大リーグの初勝利である。
大谷が投げると云うので、テレビの実況放送を見ていたが、ハラハラして見ていた。
2回で逆転の3ランを食らった時には、「やはり大谷の投球は、大リーグに通用しないのか。このままでは5点くらい失うのではないか」と心配しながら見ていた。
しかし、2回以降はぴしゃりと押さえた。この投球姿勢は良い。投げながら打者への投球を修正している様だ。
そして4月3日(日本時間4日)、エンゼルスのホームグランドでのインデアンズ戦に8番DHで打者として先発する。
大谷のホームグランドの打者デビューである。
地元フアンの前に、初めて姿を見せた。
この試合もテレビの実況を見ていた。
1回裏、エンゼルスの攻撃は続き、8番の大谷まで打順が回ってきた。状況は走者満塁での打席である。
投手の低めのフオークボールが地面を叩き、捕手の後逸によって3塁ランナーは本塁を踏む。
走者は2,3塁になった。
投手は、再度の暴投を避けるために、低めのフォークを投げることをやめ、緩い落ちる球を投げてきた。
満塁の状態から、走者2,3塁になったことにより、打者の大谷は、少し気持ちが楽になったのではなかろうか。
投手の緩い落ちる球をバットは捉えた。打球は右中間方向に飛び、観客スタンドに入ってしまった。
スリーランホームランである。テレビを観ながら、私は拍手、拍手である。
大谷の大リーグ初ホームランである。
恥ずかしそうに笑顔を見せて塁を一周し、ベンチに戻る。
しかしダッグアウトのチームメイトは、ベンチに一人も座っておらず、皆無言でベンチ前の手すりに立ち、グランドを見ている。
ダックアウトに戻った大谷に誰も振り向かない。黙って全員立ってグランドを見つめたままである。スリーランホームランを打った大谷を完全に無視である。
本塁打を打って、意気揚々として帰って来た大谷は、てっきり同僚達が全員祝福してくれるばかりと思っていたが、誰も近づいてこず、振り向いてもくれない。
この異様な光景に大谷も驚き、何が起こったのか分からず、グランドを向いて立っている選手の一人の体を後から抱き、どうしたのだ、どうしたのだと云うごとく同僚の体を揺する。
この仕草が可愛い。あたかも子供が母親におねだりしているごとくである。この映像を見て、大谷ファンになった人もアメリカで多くいるのでは無かろうか。
その時、黙ってグランドを見ていたダックグアウトの全選手が、振り向くと同時に、大声を張り上げ、大谷の頭を叩き、抱きすくめ、ハイタッチの行動に出た。
大谷はもみくちゃにされた。チームメイトの大谷大祝福である。
チーム新入りの選手が大活躍した場合、これが大リーグの祝福の仕方である。
チームの一員として正式に認めるというやり方である。
ダッグアウトに戻ってきても、誰も相手にしてくれない状況に戸惑っている大谷の姿をテレビで見て、私は笑ってしまった。
そしてもみくちゃにされる大谷を見て、一層笑った。これで大谷は、エンゼルスのチームの一員として認められることになる。
試合は、圧倒的にエンゼルスが勝利した。
試合後のヒーローインタビューは、勿論大谷であるが、大谷のインタビューが続いていると、背後から同僚がバケツをもって近づき、頭の上からバケツをひっくり返した。
バケツの中には、水と氷が入っていた。
インタビュー中の大谷は、全身水浸しである。
いささか荒っぽいが、これも大リーグの祝福のやり方である。
日本から来た投打二刀使いの大谷のスリーランを見た相手側インデアンスのフランコーナ監督は、大谷をどの様に見たであろうか。
フランコーナ監督は、レッドソックスを86年ぶりのワールドシリーズ制覇に導いた名監督である。
イチローがマリナーズに入団した時、イチローを暖かく受入てくれ、イチローの持てる能力を100パーセント引き出して育ててくれたのは、ピネラ監督であった。
エンゼルスのソーシャ監督も、エンゼルスをワールドチャンピオンにした名監督である。大谷を暖かく迎え入れ、投打二刀使いの大谷の能力を100%引き出し育ててくれることを望む。
3ランホームランを打った翌日、大谷は5回に再び2ランホームランを打った。
連日のホームランである。大リーグでのホームラン2号である。
打った投手は、アメリカンリーグを代表する投手のクルバーからである。
クルバーは、昨年18勝を挙げ、昨年のサイ・ヤング賞を獲得した投手である。サイ・ヤング賞は、最高優秀投手賞の別名の賞である。
エンゼルスには、本塁打614本、あとヒット22本で3000本安打になるプホールズ、2014年に打点王になったトラウトがいる。
その強打者の二人がクルバーの投球に手こずり、4回まで0-2でエンゼルスは負けていた。
5回、大谷がそのクルバーから2ランホームランを打って、ゲームを振り出しに戻した。結局エンゼルスは延長戦にもつれ込み勝った。
始まったばかりの大リーグのゲームであるが、大谷の大リーグの投打の活躍に、アメリカは大騒ぎである。ベーブルースの名前まで出て来ている。
スポニチアネックスが、ネットで次のごとく、アメリカでの大谷の活躍について、記している。
「記録専門会社スタッツによると、開幕戦に野手で先発出場した選手が開幕から10試合以内に投手でも先発登板したのは、1919年のレッドソックス時代のベーブ・ルース以来99年ぶりとなる」
そしてヤンキースで活躍したアレックス・ロドリゲス(A・ロッド)が、大谷の3ランホームランを見て、「高校野球なのかと勘違いさせる」と米FOXスポーツの番組内で感嘆して語っていることを、ネットの「フルカウント」は伝える。
私は、2001年イチローがシアトル・マリナーズに移籍し、大リーグデビューした時、その活躍にわくわくして、大リーグのテレビ実況を見ていた。
17年後の2018年に再び、そのわくわく感を大谷が味合わせてくれそうだ。
イチローが、シングルヒットの面白さを示して、大リーグのベースボールを変えたごとく、大谷が投打の二刀流が出来るということを示して、大リーグのベースボールを変えてくれることを望む。
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