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国交省が発表している地価公示価格の平成31年1月1日時点の土地価格が、平成31年3月19日に発表された。
リニア中央新幹線が通る相模原、甲府、飯田、中津川のリニア駅予定地近くの、公示地、基準地の価格はどれ程になったのだろうかと思い、発表価格を調べて見た。
この行為は、リニア中央新幹線建設が発表されてから続けている行為である。リニア中央新幹線建設という行為が、工事進捗に伴い、地域の地価にどの様に伝播していくのか分析知るためである。
リニア駅予定地近くに地価公示価格が発表されているのは、甲府市のみである。
他の駅予定地は、7月1日時点の基準地価格である。
(山梨県)
甲府9-1 甲府市大津町1566-9
平成30年1月1日 u当り 18,000円
平成31年1月1日 u当り 18,000円
甲府駅予定地周辺の地価には、リニア中央新幹線建設の地価の影響は、強くは及んでいない。
(神奈川県)
相模原緑2 相模原市緑区西橋本2-601-11
平成27年7月1日 u当り 201,000円(+3.1%)
平成28年7月1日 u当り 212,000円(+5.5%)
平成29年7月1日 u当り 225,000円(+6.1%)
平成30年7月1日 u当り 243,000円(+8.0%)
基準地価格であるが、8.0%の地価上昇が見られた。リニア中央新幹線建設の地価の影響が、駅予定地周辺の地価に確実に伝播している。
(長野県)
飯田4 飯田市座光寺2011-46
平成27年7月1日 u当り 22,100円(▲1.3%)
平成28年7月1日 u当り 21,900円(▲0.9%)
平成29年7月1日 u当り 21,700円(▲0.9%)
平成30年7月1日 u当り 21,500円(▲0.9%)
基準地価格であるが、▲0.9%の地価下落である。リニア中央新幹線建設の地価の影響が、駅予定地周辺の地価に伝播していない。
(岐阜県)
中津川4 中津川市千旦林1522-28
平成27年7月1日 u当り 15,200円(0%)
平成28年7月1日 u当り 15,200円(0%)
平成29年7月1日 u当り 15,200円(0%)
平成30年7月1日 無い
基準地価格であるが、今迄発表されていた中津川市千旦林1522-28の地点が無くなってしまった。
どうして無くなったのか分からない。何か廃止しなければならない事情が発生したようである。
仕方なく、代替として中央線美濃坂本駅より約190メートルにある基準地中津川14(中津川市千旦林字坂本1401番6)の平成29年基準地価格と30年基準地価格で変動率を見て見ようと思った。
中津川14 中津川市千旦林字坂本1401番6
平成27年7月1日 u当り 21,500円(0%)
平成28年7月1日 u当り 21,500円(0%)
平成29年7月1日 u当り 21,500円(0%)
平成30年7月1日 無い
中央線美濃坂本駅より約190メートルにある基準地中津川14(中津川市千旦林字坂本1401番6)も、平成30年7月に無くなっていた。
その中津川14の30年7月の基準地は、坂本駅より約60メートルの中津川市千旦林字坂本1386番43の地点に変わって、価格発表されていた。
中津川14 中津川市千旦林字坂本1386番43
平成27年7月1日 無い
平成28年7月1日 無い
平成29年7月1日 無い
平成30年7月1日 u当り 28,500円
これでは、リニア中央新幹線中津川駅予定地周辺の土地価格の地価変動が分からなくなってしまった。
どうしてこうしたことを行うのか。何か地価変動率を知られたくないと云う作為的な動機が隠されているのでは無かろうかと思いたくなる。
それとも、中津川市千旦林字坂本の土地価格は、平成29年7月〜30年7月までの間に、u当り15,200円から28,500円と88%の値上りがあり、それを同一基準地で発表することは目立ちすぎ具合が悪くなり、基準地の選定替えを行ったとでも云うつもりなのであろうか。
基準地価格は、地価公示価格とほぼ同一の法的性質を有している。
その標準地の選定も地価公示地の標準地の選定基準に準じて行われている。
地価公示地の標準地の選定について、国土交通省は『地価公示制度の概要』(http://www.mlit.go.jp/common/001208844.pdf)で、下記のごとく発表している。当該部分を転載する。
****
2.標準地の選定基準
地価の公示は、相当数の標準地を選定し、その価格について行うこととされている。
標準地は、法によれば「自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地」でなければならない(法第3条)が、地価公示法施行規則(昭
和44 年建設省令第55 号。以下「規則」という。)はこれをさらに説明して、「土地の用途が同質と認められるまとまりのある地域において、土地の利用状況、環境、地積、形状等が当該地域において通常であると認められる一団の
土地」としている(規則第3条)。
なお、ここで「一団の土地」とは、同一使用者によって同一使用目的に供されている連続した一区画の土地のことである。
その際、標準地の公示価格が一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格算定の際に規準とされ、また、国土利用計画法に基づく土地取引の規制において土地価格の審査の際に規準とされるもの
であるため、標準地は、特に次の点に留意して選定されている。
(1) 標準地の代表性
標準地は、市町村(都の特別区及び政令指定都市の区を含む。)の区域内において、適切に分布し、当該区域全体の地価水準をできる限り代表しうるものであること。
(2) 標準地の中庸性
標準地は、当該標準地設定区域内において土地の利用状況、環境、地積、形状等が中庸のものであること。
(3) 標準地の安定性
標準地は、標準地設定区域内における安定した土地の利用状況に配慮したものであること。また、土地の利用状況が移行している地域内にある場合にあっては、そのような変化に十分に配慮したものであること。
(4) 標準地の確定性
標準地は、明確に他の土地と区別され、範囲が特定できるものであること。また、選定する標準地の特性を踏まえ、範囲の特定する方法を広く考慮することで、範囲の特定が容易な地点に偏ることがないように配慮すること。
また、標準地は毎年点検を行っており(原則として、9 月1 日から翌年1 月1 日の間)、点検結果を踏まえて、当該標準地が上記の4 つの点に合致しているか否かを検討したうえで、標準地としての適格性を判定しており、4 つの
点のうち1つでも欠けた標準地については、選定替を行っている。
****
基準地価格の標準地は、選定の条件として、地域での代表性、中庸性、安定性、確実性の4つの条件を満たす土地として選定されている。その他に「継続性」の原則が付け加えられると私は判断する。
そうした土地の価格を毎年発表することによって適正な土地の取引価格の指標になり、公共事業の用に供せられる場合の適正な補償価格に資し、適正な地価の形成に寄与することを目的とする。
又、毎年一回の定点による価格調査をすることによって、価格の変動率を把握するという役目もある。 そうした役目もあることから、基準地を無くすことは行ってはいけないことである。
廃止することは、土地価格の時系列の一貫性というものが途切れてしまうことになり、社会・経済的に与える影響は大きい。
社会的、経済的影響があるにもかかわらず、敢えて基準地の価格発表を止めるということは余程の理由があってのことと思われる。
前面道路の拡幅工事に標準地がひっかかり、形状等が変更になったとか、隣接地と併合利用する土地になった場合には、従前の基準地との同一性が無くなることから、基準示地の変更は行わざるを得ない。
その他に、一般的に云われることは、その基準地の価格が役立たない価格となってしまったことによる廃止、変更である。
役立たない価格になってしまったということは、その地域の代表性の価格を表示していなくなったということである。
それは地域の自由な取引価格が形成する適正な客観的時価と発表基準地価格との間に大きな開きが生じてしまったことである。
基準地中津川4及び14の2つが、平成30年7月に共に選定換えになってしまった。
そのことにより、リニア中央新幹線中津川駅周辺の土地価格の変動率が分からなくなり、平成18年より続いていた基準地価格の変動率の継続性が壊されたことは、大変悲しいことである。
4駅予定地の土地価格動向をまとめると、下記である。
相模原 値上がり8.0%
甲府 下げ止まり状態に入った
飯田 値下がり▲0.9%
中津川 不明
地価下落が続いているのは、飯田市のみである。
鑑定コラム861)「リニア新幹線関連で地価の監視始まる」
鑑定コラム1065)「リニア駅予定地域の地価は相模原のみ上がり始めた」
鑑定コラム1776)「甲府9-1の地価公示地が変わった どうして」
鑑定コラム1988)「リニア中津川駅予定地近くの地価2.8%アップ」
鑑定コラム2191)「リニア甲府駅予定地近くの地価にやっと動きが出て来た。2.8%アップ」
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