○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

2083)日本最高地価と不動産業貸出額

1.日本最高地価とそのグラフ

 日本最高地価は、国土交通省の地価公示価格によれば、東京銀座4丁目交差点に近い銀座中央通りに面している山野楽器店の敷地で、2020年1月1日時点の価格は、u当り5770万円である。

 過去の価格推移と、推移グラフについては、鑑定コラム2079)「東京の最高地価(平成29年〜令和2年の追加)」で記した。

 グラフのみ転載すると、下図である。



東京最高地価2020



2.国内銀行の不動産業新規貸出額の推移

 不動産の価格は総額では漠大な金額になる。購入金額の一部は自分の所持金で賄えるが、全額を自分の金で購入する人は先ずいない。殆どの人は銀行からの借入金に頼る。

 とすると、銀行の不動産業貸出額と、土地価格とは無関係であるとは言い切れ無い。分析すれば、無関係どころか土地価格と密接に結びついている。

 そのことについては、後で実証される。

 金融機関のうち国内銀行の不動産業への新規貸出額を調べて見る。

 金融機関の監督・元締めである日本銀行は、四半期毎に民間銀行の貸出先貸出額をホームページに発表している。

 1年間の第1〜第4四半期の国内銀行の不動産業への新規貸出額を計算すると、下記である。

 日銀は2年前にどうした訳か知らないが、過去の発表した貸出額を変更してしまった。統計数値の継続性の一貫性という原則を破る行為をしてしまった。

 新しく算定された国内銀行の不動産業新規貸出額は、下記である。単位は億円である。


  国内銀行不動産業新規貸出額年間 億円
1980年12月 7387
1981年12月 9734
1982年12月 11200
1983年12月 14115
1984年12月 19262
1985年12月 26721
1986年12月 38939
1987年12月 61577
1988年12月 68748
1989年12月 96867
1990年12月 88404
1991年12月 65983
1992年12月 63695
1993年12月 63666
1994年12月 66969
1995年12月 74846
1996年12月 70904
1997年12月 72101
1998年12月 77988
1999年12月 67158
2000年12月 77930
2001年12月 85169
2002年12月 79713
2003年12月 67561
2004年12月 82605
2005年12月 97690
2006年12月 92034
2007年12月 101575
2008年12月 84282
2009年12月 69595
2010年12月 76746
2011年12月 77026
2012年12月 82381
2013年12月 95477
2014年12月 100850
2015年12月 107332
2016年12月 123888
2017年12月 117070
2018年12月 110434
2019年12月 110715


 上記データを縦軸に不動産業新規貸出額、横軸に年としてグラフに図示したのが、下図である。



2019貸付額



 上記グラフを見ると3つの山がある。

 3つの山は、

            1989年(平成元年)12月で9兆6867億円(注)
            2017年(平成19年)12月で10兆1575億円
      2016年(平成28年)12月で12兆3888億円
       (注)日銀発表当時は10.4兆円であった。2年程前に変更された。
である。

 国内銀行の不動産業新規貸出額が10兆円を越える或いは10兆円付近に成ると、不動産のバブルであり、バブルは崩壊すると云える。

3.最高地価と不動産業新規貸出額の重ねグラフ

 左縦軸に国内銀行不動産業新規貸出額(億円)、右縦軸に最高地価(万円/u)をとって、2つのグラフを重ねると、下記である。
 前年12月末現在の貸出額を翌年1月1日現在の金額とみなす。



2020地価と貸出



 国内銀行不動産業新規貸出額の方が、1、2年先にピークをつけ、その後最高地価もピークを付けると価格下落している。
 土地価格と不動産業貸出額とは、密接な関係があることが分かる。

 リートバブルの現在、国内銀行不動産業新規貸出額は、2016年12月にピークを付けて、貸出額は減少に転じていることから、東京の商業地の地価は今後下落すると推測される。

4.国内銀行不動産業新規貸出額と土地価格の予測

 日本銀行は、銀行の貸出先別貸出額を四半期(3ヶ月)毎にホームページに発表している。
      2018年12月  2兆3890億円(10月〜12月 2018年第4四半期)
      2019年03月  3兆3410億円(1月〜3月   2019年第1四半期)
      2019年06月  2兆1381億円(4月〜6月   2019年第2四半期)
      2019年09月  2兆9896億円(7月〜9月    2019年第3四半期)
      2019年12月  2兆6028億円(10月〜12月 2019年第4四半期)

 2019年1年間の貸出額は、2019年第1〜第4四半期を合計した11兆0715億円である。

 その1四半期前の直前1年間は2018年第4四半期〜2019年第3四半期であり、10兆8577億円である。

 日銀発表(当該四半期経過後ののおよそ1ヶ月半後)は、四半期毎の数値しか発表され無い。

 その期を含めて直前1年間の貸出金額を計算して、年間貸出額は増えているのか、減っているのかを計算チェックしておれば、不動産価格はどう動くか判断できる。

 先に述べたごとく不動産の売買は現金決済であり、全て自分の金で不動産を購入する人は、先ずいない。銀行から借入金で不動産を買う。

 このことから、国内銀行の不動産業の新規貸出額の推移を見ていれば、不動産の価格は現在どう動いているのか知ることが出来る。

 上記グラフで証明されるごとく、不動産の価格と国内銀行の不動産業新規貸出額とは密接な関係があり、かつ、貸出額の方が地価よりも速く兆候を示す事から、日銀の国内銀行不動産業新規貸出額をみることは、不動産業の景気を知ることと日本経済の状況を知るには非常に良い方法である。

 国内銀行の不動産業新規貸出額は、2016年12月に12.3兆円でピークを示している。

 その後新規貸出額は減っているが、11.0兆円の貸出額が続いており、これが為に地価公示価格は下落せず、平成31年1月5720万円/u、令和2年1月5770万円/uと値上りしている。

 現在進行中の新型コロナウイルス感染症の産業界への影響は大きく、国内銀行は被害企業への運転資金への貸出が主となるであろう。

 新型コロナウイルス感染症の不動業界への影響も少なく無く、当然国内銀行の不動産業への貸出も減少することが確実視される。

 国内銀行の不動産業新規貸出額は2016年12月がピークであり、その後貸出額が減少している、過去の例から見れば不動産価格はピークを過ぎて暴落している。

 リートバブルの今回には、過去の例は当てはまらないということを考えることは困難である。暴落の時期が少し遅れているのみで、土地価格は暴落する。

 こうしたことから、東京の最高地価は、来年の1月1日時点の価格は、下落に転じる時期が遅くなったが、下落に転じると私は判断する。


  鑑定コラム2079)「東京の最高地価(平成29年〜令和2年の追加)」

  鑑定コラム1542)「東京の最高地価と推移」

  鑑定コラム1543)「不動産業新規貸出額と推移」


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ