1棟当りの土地面積は4,700~11,000㎡である。
これから、5-5街区辺りに、地積6,000㎡の中間整形画地を想定し、その価格を周辺の土地取引事例より比較して求める。
その求められた土地価格を標準価格として、各街区の接面街路等の個別的要因の比較をすれば、各街区の土地価格、即ち比準価格は求められる。
周辺地域の土地価格事例は、東京都港湾局が平成24年8月に中央区晴海二丁目1番2のうちに所在の土地8,865.34㎡の売払入札募集を行っている。対象地の北東約1400mの距離にある土地である。
入札最低価格は、7,066,472,980円である。
7,066,472,980円÷8,865.34㎡=797,000円
㎡当り797,000円である。
募集要項のアドレスは下記である。
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/rinkai/baikyaku/
(https以下のアドレスをドラッグコピーして、自分宛のメールにアドレスをコピー貼り付けして、自分宛にメールを送信して、自分宛に来たメールの中の青字等カラー文字のアドレスをクリックすれば、募集要項に繋がります。以下アドレスからの情報入手のやり方は同じであり記載は省略する。)
その土地の案内図・明細図のアドレスは下記である。
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/rinkai/baikyaku/PDF/24-harumi.pdf
その港湾局の晴海2丁目1番2のうちの8,865.34㎡の土地は、幾らで落札されたかは、2012年11月2日の建通新聞がウエブで伝えている。90億3500万円である。
建通新聞アドレス
https://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/121102500026.html
落札価格の㎡当り単価は、
9,035,000,000円÷8,865.34㎡=1,019,137円≒101.9万円/㎡
である。
この土地取引事例の他にも、港湾局の土地売却事例はある。
選手村要因は、建物価格で処理されるものであり、土地価格には影響を与えるものでは無いことから、対象地の土地取引事例比較法は、周辺に類似的な土地取引事例がある事から、十分行えるし、行わなければならない。
行えないと主張する方が、どうかしている。
6.選手村要因の土地価格は収益還元法で求められる
選手村要因の建物を賃貸にして、その賃料収入より純収益を求め、建物に属する収益を控除し、土地に残余する収益を資本還元すれば、土地の収益価格が求められる。即ち、選手村要因を反映した土地価格が求められる。
7.評価条件は見せかけの条件
「本件と同様に計画建築物や開発スケジュール等が定められることを前提とした取引事例を収集し適切に要因比較することは困難であったため、取引事例比較法は適用しない。」という甲不動産鑑定書の鑑定評価条件の設定は、不当である。
土地取引事例比較法は行えるのに、あえて行えないごとくの評価条件の記述にして、鑑定書を読む人を誘導して、そう思い込ませてしまうずる賢いやり方である。
一審判決は、それに見事に引っかかって、裁判官及び裁判所の信用を著しく落とす結果を招いてしまった。
8.鑑定基準の条件設定
鑑定基準は、鑑定評価を行う時に設定する評価条件について、次のごとく規定する。
「Ⅱ 地域要因又は個別的要因についての想定上の条件対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を設定する場合がある。この場合には、設定する想定上の条件が鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかどうかの観点に加え、特に実現性及び合法性の観点から妥当なものでなければならない。」(平成26年改正鑑定基準 国交省版P14)
鑑定基準は評価条件設定について、3つの観点を挙げる。
1.鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないこと。
2.実現性があること。
3.合法性であること。
9.鑑定基準設定条件の3条件の検討
① 鑑定書利用者の利益を害するおそれがないことについて
対象地の北東方約1400mに、101.9万円/㎡の公入札による落札価格がある。
この価格に比し、時間差を考えても9.68万円/㎡の対象地売却価格の金額との差に、利害発生が無いと言い切ることは不可能であろう。
税金を使用して埋め立てた原価は、東京都監査委員の回答書は、用地費・造成工事費は、
319億円+188億円=507億円
と回答している。これだけの費用をかけているにもかかわらず、その土地を129.6億円で売却することは、ここで既に
129.6億円-507億円=▲377.4億円
の損害が、東京都側に発生している。この発生の事実を「利害が発生していない」と云えるはずが無かろう。
対象地の市場価格を時間差の価格修正を考えなく、かつ地域差を考えないとして試算すれば、101.9万円/㎡で落札された事例がある事から、
101.9万円/㎡×133,906.26㎡=13,645,047.89万円
≒1365億円
1365億円である。
分譲マンション業者は、対象地を1365億円で購入しても、マンション分譲事業の利益は十分出る。
それを129.6億円で取得出来れば、
1365億円-129.6億円=1235.4億円
1235.4億円が濡れ手に泡のごとく余分に利益を取得出来る。分譲マンション業者は笑いが止まらないであろう。
取引事例比較法を行わないという評価条件の設定は、鑑定書利用者の利益を害するおそれが十分あることから、鑑定基準違反の条件設定である。
② 実現性があることについて
選手村要因と同様の計画建築物や開発スケジュール等が定められることを前提とした土地取引事例などあるハズが無い。そうした事例の存在が無いことを折り込んで評価条件を作り、事例が無いから取引事例比較法を行わないという論理は通らない。
実現性の無い条件を条件にして、その条件に該当する事例が無いから取引事例比較法を行わないという理屈は、人を欺く論理である。
③ 合法性について
上記①、②より、①②の行為が合法性のあるものとは、とても思われない。
取引事例比較法を行っていないことから、地価公示価格との規準及び均衡を行っていなく、地価公示法違反の土地価格である。
④ 甲不動産鑑定書の評価条件は鑑定基準違反の評価条件である
上記より、甲不動産鑑定書の取引事例比較法を行わないという評価条件は、鑑定基準違反である。その鑑定基準違反の評価条件で求められている甲不動産鑑定書の鑑定評価額は、鑑定基準違反の価格であり、失当である。
10、終わりに
鑑定基準違反の土地価格、地価公示法違反の土地価格が、「適正である」とか「必ずしも不合理であるとは思われない」と判決されるものでは無い。
鑑定コラム2387)