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38)工業団地の活性化

 物流会社の丸和運輸機関という会社が、工業団地の土地を賃借し、そこに物流施設建物を建て、その物流施設建物を第3者にリースするという新しい工業団地利用を行おうとしている。(日経2002.7.2)

 秩父みどりが丘工業団地で吉田町と共同出資した企業組織で新事業を展開するという。

 第3者への物流施設建物リース代は、坪当り月2,500円〜3,000円程度とする。
 土地の地代は坪当り150円程度と考えている様である。

 地代と家賃の単価の倍率関係は、
     2,500円÷150円=16.6倍
     3,000円÷150円=20.0倍
である。家賃は地代の16.6〜20倍である。
 地代は家賃の1/20〜1/16.6 (5%〜6%)である。

 工業地の企業の地代負担能力は平方メートル当たり100円(坪330円)程度であるから、計画の地代はその半分程度となり、かなり安い。

 同工業団地の未分譲地が26万平方メートルも残っていることを考えれば、工業団地事業者にとっては、土地利用を優先させるためのこうした手段はやむを得ないことであろう。

 同工業団地を詳しく知らないが、既売却土地に買戻特約条項がついていた場合、既土地購入者がその条項を逆用して、購入支払い金額での買戻と、安い地代での借地権への切り替え要求をしてくる可能性はある。

 物流施設建物を建てる丸和運輸機関は、物流施設建物はリース建物になり毎月家賃収入があることになることから、この家賃収入を支払源として不動産証券化をすることが出来る。

 それによって建物建設の投下資本を回収する事が出来る。
 資本を、回転の悪い不動産の状態で寝かしておく必要性は無い。
 回収した資金で、次の物流施設リース建物を建てて行くのである。そしてそれを再び不動産証券化して資金回収するのである。

『民事再生法と資産評価』   p134(清文社)で、「現在の日本では工場の不動産証券化はほとんど行われていないが、いずれ検討される方策の一つと思われる」と述べた。
 物流施設建物も工場に類する建物の一つと考えられる。
 工場の不動産証券化の実現の可能性は近いのではなかろうか。

 工業団地の築造事業者は、築造した工業団地をいつまでも更地の未利用地の状態で放置している訳にはゆかない。
 さっぱり売れない工業団地を売るのでなく賃貸し、とにかく工場地利用して活性化させなければならない。
 工業団地の活性化の手法として成功する事を願う。


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