485)今年のボージョレ・ヌーヴォーは甘かった(2008年11月)
11月の第3木曜日、2008年11月20日は、2008年フランスワインの新酒であるボージョレ・ヌーヴォー飲酒解禁の日である。
ムッシュソーマの主催によるボージョレ・ヌーヴォーの新酒会が、皇居お堀端のパレスホテル地下1階のレストラン「ハミング」で開かれた。
1年に一回の会う機会を楽しみに、今年も私は参加した。
今年のボージョレ・ヌーヴォーは甘かった。
口当たりはすこぶる良かった。ついついワイングラスを重ねて飲み過ぎてしまった。
22年前ボージョレ地方のワイン醸造の農園の組合の方々が、日本人は金持ちだからボージョレの新酒を買ってくれるだろうと、売り込みに来たが、どこの酒卸店も、食品販売会社も百貨店も相手にしてくれず買ってくれなかった。一本も売れなかった。
フランスに帰るという前の日、持ち込んだワインが一本も売れ無く、ワイン醸造の農園の組合の方々がホテルで失意に落ち込んでいるという話を聞いた相馬計二氏は、男たるもの「儀を見て為さざるは勇無きなり」と、売り込みに持ってきたボージョレ・ヌーヴォーのボトルを全部買い上げたのである。
日本男児ここにありである。
買い取ったボトルを懇意にしていた三越に頼み、三越から三越の包装紙で顧客に贈呈したところ、その新酒ワインが美味しく、三越に追加注文が殺到した。三越は寝耳に水で何が何だか分からず、戸惑い、驚き、びっくりしたが、そこは商人である。三越はこれは行けると商売人の勘が働き、そこからボージョレ・ヌーヴォーが日本に広まった。
フランス人は「ムッシュ」の敬称で感謝し、村にムッシュソーマを招待した。そして村一番のボージョレ・ヌーヴォーをムッシュソーマに毎年送ってくれるようになった。
もし22年前、ムッシュソーマの男気ある行動がなかったら、現在の日本中に広まっているボージョレ・ヌーヴォーは無かったのである。
今年も「ドメーヌ・デュ・ペンロア農園」から村一番の新酒が、ムッシュソーマに届けられた。
その新酒を味わい懇親を深める会に参加させて頂くことが出来た。
その新酒会恒例の元最高裁裁判官の香川保一氏の講話も聞くことが出来た。今年の話は「徳」についての話であった。
来年も食する機会があることを願う。
ボージョレ・ヌーヴォーについて述べた記事は、下記の鑑定コラムにも有ります。
鑑定コラム248)「ボージョレ・ヌーヴォー 2005年」
鑑定コラム313)「2006年ボージョレ・ヌーヴォー」
鑑定コラム606)「ホテルニューオータニでのムッシュソーマの新酒会」
鑑定コラム2503)「ボージヨレ・ヌーヴォーとムッシュ相馬」