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渋谷区内のある事務所賃料を鑑定評価した。
賃料鑑定に伴い、事務所賃料がどれ程変動しているのかと思い、不動産情報・仲介会社の三鬼商事株式会社が発表している『オフイスデータ』の渋谷区の事務所賃料データを調べてみた。
渋谷区の既存ビル事務所賃料は、驚くべき値上りをしている。
三鬼商事株式会社発表の2015年1月より2016年2月までの賃料の変動は、下記である。単位坪当り円。
2015年1月 18,179円
2015年2月 18,498円
2015年3月 18,574円
2015年4月 18,638円
2015年5月 18,611円
2015年6月 18,805円
2015年7月 18,947円
2015年8月 19,237円
2015年9月 19,372円
2015年10月 19,292円
2015年11月 19,297円
2015年12月 19,762円
2016年1月 19,747円
2016年2月 19,812円
2015年(平成27年)1月〜2016年(平成28年)2月の14ヶ月間に、金額にして坪当り単価1,633円値上りしている。
値上り率は、
19,812円
────── = 1.090
18,179円
9.0%である。
年率に換算すると7.7%の上昇である。
事務所賃料7.7%の上昇がどれ程凄まじいかといえば、事務所賃料が6%上昇するには、土地価格が2倍になることが必要であり、7.7%の上昇は土地価格が2倍以上上昇することに相当するのである。
土地価格が2倍になるには、日本経済の相当な上昇エネルギーが無ければなり得ない。
簡単に土地価格は2倍にはならない。
そうした知識を持って渋谷区内の事務所賃料の年率7.7%を見れば、その上昇率はただ事ではないと分かろう。
なお、土地価格の上昇と賃料の上昇の関係については、鑑定コラム502)「地価上昇が家賃に与える影響」で、分析して述べており、そこで賃料6%の上昇は地価2倍の上昇と分析されている。
渋谷区の過去の事務所賃料の変動推移を、三鬼商事株式会社が発表している『オフイスデータ』から分析すると、下記である。1月〜12月までの各月発表賃料を単純平均して、各年の賃料を求める。計算は田原による。坪当り円。
2004年 18,061円
2005年 18,244円
2006年 19,791円
2007年 22,712円
2008年 24,219円
2009年 21,251円
2010年 18,612円
2011年 17,855円
2012年 16,963円
2013年 16,919円
2014年 17,471円
2015年 18,934円
2015年の1月〜2016年2月までの賃料推移は、前記した。
事務所賃料は、2008年(平成20年)がピークで、2009年から大幅に下落する。
これは、2008年9月にリーマン・ブラザーズが倒産し、日本経済が不況に突入する。そして同年の12月に、前期2兆円の史上最高の利益を出したトヨタ自動車が、今期赤字決算になると発表した。いわゆる「トヨタショック」と呼ばれる激震発表である。
日本を代表する企業であるトヨタ自動車が、赤字になるほど日本経済は悪いのかと多くの企業経営者は知り、一斉に子会社の整理、支店・営業所の整理縮小を行った。
それにより、事務所賃料は大巾に下落することになる。その結果が2009年の賃料の数値である。
賃料の下落は、2013年(平成25年)まで続く。
2012年12月26日に第二次安倍内閣が発足し、安倍内閣の政策である黒田日銀の超超金融緩和で、不動産に多額の金が流れ、土地価格が上昇する一方、事務所賃料も値上がりし始めた。
この不動産価格の上昇をリートバブルと呼ぶ。
渋谷区内の事務所賃料の上昇も、リートバブルの影響によるものである。
鑑定コラム502)「地価上昇が家賃に与える影響」
鑑定コラム1316)「渋谷の事務所賃料が年6%と値上り始めた」
鑑定コラム279)「事務所賃料の底は2006年1月か」
鑑定コラム538)「オフイスビル賃料のピークは2008年5月だった」
鑑定コラム493)「トヨタ2.2兆円利益からマイナス利益に激直下」
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