とんでもない判決にお目にかかった。
賃料において、共益費は実質賃料に入らないという判決にお目にかかった。
賃料において共益費とはどういうものか。
実質賃料とはどういうものか。
それらの知識、理解が全く無い、全く無いと言うよりか欠如している裁判官の存在を知って唖然とした。
支払賃料の中には、共益費込みとした支払賃料がある。
最近のビル賃料、店舗賃料には、その形態が多くなって来た。
その場合、支払賃料は実質賃料を形成する重要な要素であるから、実質賃料を求める時に、共益費は実質賃料に含まれないという判決の考えに従うならば、共益費込みの支払賃料から共益費相当を控除しなければならない。
この考え方は、正しい賃料理論であろうか。
刑法において殺人罪等の犯罪を罰するには、犯した行為が犯罪の構成要件に該当するか否かで有罪か、無罪かが判断される。
犯罪の構成要件に該当しなければ、当該犯罪は成立しない。
そう説明すれば、法律家である裁判官は分かろう。
「今更何をその様な事を不動産鑑定士の田原に言われなくとも分かっている。」
と言うであろう。
では、実質賃料の構成要件とは何か。
実質賃料とは、「賃料の種類の如何を問わず貸主に支払われる賃料の算定の期間に対応する適正なすべての経済的対価」を云う。(『不動産鑑定評価基準』総論第7章第2節T1)
即ち、貸主に支払われるすべての経済的対価が実質賃料である。
実質賃料の構成要件は、「貸主に支払われるすべての経済的対価」が構成要件となる。
では、その貸主に支払われるすべての経済的対価とは何かということになる。
それは、支払賃料、共益費、敷金・保証金の運用益、礼金・保証金の償却額、更新料の償却額である。
ここにおいて、共益費は実質賃料を構成する要因、それも支払賃料に次ぐ重要な構成する要因である。
共益費は実質賃料を形成するものである。
共益費は実質賃料に入らないという主張は誤りであることが、これで分かろう。
共益費は実質賃料に入らないという判決は、誤りであることになる。
私は裁判官を尊敬する。
しかし、共益費は実質賃料に入らないと言う様な判決文を書く左陪席裁判官、また書かれた判決文が間違っていると言うことが分からない右陪席裁判官そして主席裁判官(裁判長裁判官)は、賃料についての知識が完全に欠如していることから、そうした裁判官は不動産の価格、賃料の訴訟事件の担当からはずされるべきで、はずして頂きたい。
その様な裁判官に知ったかぶりして誤った判決文を書かれては、甚だ迷惑し、混乱を引き起こす。
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