「個別的に平家建てをもって最有効使用されているとしても必ずしも不当であるとまではいえない」
と判決は云う。
容積率200%の土地で、平家建の土地利用は当該土地のみで、2階建あるいは3階建の建物の土地利用の店舗住宅が混在する幅員8Mのバス通りにある平家建の店舗の家賃減額訴訟の判決である。
賃料減額の鑑定書を私は書いたが、東京地裁の一審判決は、減額を認めず賃借人敗訴となってしまった。私の鑑定書を認めず、間違いだらけの賃貸人側の鑑定書であるが、何故か賃貸人勝訴になってしまった。
判決は、平家建の土地利用を最有効使用と認め、更地価格に期待利回りを乗じて求めている賃貸人側の鑑定書、それは全く現行賃料と同じであるが、それを採用して、賃料を減額する必要性は無いという判決である。
現行賃料は、周辺の新規賃料の倍近い水準の賃料である。
現行賃料は適正であり、減額の必要性なしとする無茶苦茶なとんでもない一審東京地裁の判決である。
賃借人はカンカンになって怒っている。
賃貸人側の鑑定書を書いた不動産鑑定士を、不当鑑定で国交省に訴えると意気まいている。
周辺の土地利用との適合性、複合不動産として見た場合の土地建物の構成内容の均衡の原則から見た不均衡の存在を検討すれば、対象不動産が最有効使用とは認めることは出来ない。
更地価格を基礎価格にした場合、当該土地の上に立つ可能性のある1階を除く上階の建物階部分が負担すべき土地価格の利益を平家建物が全て負担してしまうことになる。
現在の賃料はそれが故に高い水準にあるのである。
裁判官は、それが全く分かっていない。
それは修正されなければならないであろう。
私は、平家建の土地利用は最有効使用でないから、基礎価格は、1階の効用を100とすると2階を75とし、1階の効用率は、100/175=0.571と判断した。
この0.571を更地価格に乗じて平家建店舗の基礎価格にしたのである。
判決は、この0.571の考えがおかしいといい、認めようとしないのである。
もし読者で私の考えが分からない人は、当鑑定コラム640)「立体的に土地が最有効使用されていない場合の基礎価格」の記事を読んで欲しい。
札幌の日本銀行札幌支店の土地利用を題材にして論じている記事である。
最有効使用と云うものがどういうものか、基礎価格というものがどういうものか分かるであろう。
0.571の修正について、判決は、被告側のもう一つの鑑定書と原告側が出した鑑定書、つまり2つの鑑定書には「このような処理はされていない」として、私の鑑定書のみがそうしたことを行っているのであり、2対1で負けだから採用出来ないごとく判決する。
裁判官は、不動産鑑定の資格者の不動産鑑定士の能力、分析力、判断力は、全て同じと思っているかもしれないが、その様なことは無い。
といって、私が他の不動産鑑定士よりも優れているとは思っていないが。
しかし2対1の考えは無いであろう。
その他に私が共益費を実質賃料に含めていることについて、「共益費を実質賃料に含めていることなど妥当ではない」と判示する。
裁判をする裁判所は、国自前の官庁建物で賃料を支払う必要はない。
裁判官の住んでいる建物は、官舎で賃料を払う必要がない。賃料を払っているという反論があるが、その金額等は、市場で形成される賃料という代物ではない。
裁判官よ。
一度民間の賃貸マンションに住んで、毎月の賃料を支払って生活してくれないであろうか。
支払賃料のほかに廊下の清掃代、廊下の電気代、エレベータの維持費等の支出のために共益費・管理費を支払わなければならない。
2年の契約期間が来れば、引き続き賃借する為に更新料を払わなければならない。
こうしたことを経験すれば、共益費は実質賃料に入らないという発言・考え方は無くなると、私は思うが。
共益費は実質賃料に含まれない、という裁判官の考えを判決文で改めて目にすると、
「おいおい裁判官よ、冗談も程々にせい。
共益費は、実質賃料を形成するのだょ。
それが分からず判決するとは何事だ。
そんなトンチンカンな考えで、判決を出されてはたまったものでないょ。
裁判官を辞めろとは云わないが、もっと勉強してくれ。」
と云いたくなる。
銀座の平家建の家賃を求めるのに、更地価格を基礎価格にして家賃を求めるごとくである。
2〜10階部分が負担すべき土地利益負担を、平家建が全て背負い込んで、馬鹿高い家賃を求めることと全く同じである。
それが分からない裁判官は情けないと思うが、専門家であるべき不動産鑑定士も、私以外の2人が同じように判断していることは、何とも情けないことである。
その様な知識で賃料評価をすることはやめてくれないか。
判決文を読んで頭がカリカリし、一審判決に対する反論書を控訴審に向けて書いていたところ、夜も更けてきた。
錦織が、テニス全米オープンの準決勝に進出し、その試合が始まっていることに気付いた。
試合の実況中継は、テレビではWOWOWしかやっていない。
当方のテレビで見ることは出来ない。
画像で見えなくとも、ネットの言語の実況報告はやっていないものかと捜して見た。
やっていた。日刊スポーツのサイトで言語実況報告をやっていた。
錦織はストレート負けをするのでないかと思いつつ、試合ごとに錦織は技術が大幅に進歩している。試合中に進歩の程度が3段、5段飛び超えているのではないかと思われる。
それ故、楽しいのである。
何度見ても進歩無く、同じ技術のスポーツ選手の試合など見ても楽しくない。
試合ごとに技術が進歩し、今、錦織は急成長しているのだと思っても、相手が、世界ランク1位のジョコビッチでは、勝ち目は無いと思ってしまう。
4大世界テニス大会で、7度の優勝をしていて、現在の世界最強の人である。
「まあ、ストレート負けでも良い。
試合で成長すれば良い。
どこまでいけるか、それが見えるだけでも楽しい。」
と思いながら、日刊スポーツの言語実況報告を見た。
錦織は第1セットを取った。
「第1セットを取っただけでも、大したものだ。
ジョコビッチから1セット取ったことは、成長している証拠だ。
行け! 行け!。」
パソコンの画面に向かって、私は応援する。
サイトの言語実況報告が入るまで、しばらく時間がかかる。
その間は、頭をカリカリしながら、田原鑑定を強烈に批判する東京地裁の一審判決に対して、賃料鑑定に関する個所の判決への反論書を書く。
しばらくして日刊スポーツのネットを再入力して、最新の錦織の試合報告の画面を見る。
これの繰り返しが続く。
錦織は、各セット試合を 6-4、1-6、7-6 と頑張っている。
第4セット試合を取れば、錦織の勝ちである。
試合実況報告する記者も、興奮しつつ試合を見ながらキーボードを叩いているのであろう。
記事アップするまで時間がかかる。
しかし、それを待つのも楽しい。
第4セツト試合は続く。
1セットの勝敗は、先に6ゲームを取った方が、そのセットを取得したことになって1勝となる。
錦織は、此処まで3セットが終わり、2勝1敗の成績である。ジョコビッチに、2対1でリードしているのである。
あと1セットを取れば、ジョコビッチとの試合に勝つことになる。
第4セットのゲーム内容は、(注 ○はそのゲームを取ったということ)
第1ゲーム 錦織 ○ 第2ゲーム 錦織 ○ 第3ゲーム 錦織 × 第4ゲーム 錦織 ○ 第5ゲーム 錦織 × 第6ゲーム 錦織 ○ 第7ゲーム 錦織 × 第8ゲーム 錦織 ○