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764)2010年の国内銀行の不動産業への新規融資額は7.6兆円

 日本銀行が日本国内銀行の2010年1年間の不動産業への新規融資額を発表した。(直近の数値は後日変更される場合があります)


      四半期    不動産業新規貸出額      対前年同期比
  2010年1〜3月             25,029                       7.8
  2010年4〜6月             14,856                       6.6
 2010年7〜9月             20,247                      12.5
 2010年10〜12月           16,436                      13.9
   計          76,568

  (注)数値が以前発表の時と、少し違っている場合があります。

 昨年(2010年)の夏以降に不動産業への融資額が急増している。日銀の金融緩和の政策が現れだしてきている。

 上記で記したごとく日銀発表によれば、2010年の国内銀行が不動産業に新規融資した金額は76,568億円である。

 過去の融資金額は、下記の通りである。

            2006年(平成18年)   91,591億円
            2007年(平成19年)   100,859億円
            2008年(平成20年)      84,072億円
            2009年(平成21年)   69,587億円
            2010年(平成22年)      76,568億円

 平成19年に10兆円の融資高を付けると、その後に急激に融資金額が減少する。
 それと同じくして、土地価格の大暴落が生じた。

 平成19年の10兆円の融資に象徴される不動産価格が暴騰した地価現象を、「不動産ファンドバブル」と呼ぶ。

 その後の金融の引き締めによる地価暴落と共に、不動産会社、マンション業者の倒産が、平成20年、21年に大量発生した。

 金融と不動産価格、不動産業の活況とは密接に関係していることが、ここでわかる。

 平成22年は前年の21年より、融資額が増加した。
 増加率にすると、

          76,568億円
            ──────── = 1.100                              
                69,587億円

10%の増加である。

 不動産の価格の下落は止まりつつあると判断出来る。

 しかし、銀行は大手不動産会社への融資には手綱をゆるめているが、中小の不動産会社への融資には甚だ厳しい政策を続けている。

 不動産業への新規融資が10%増えたからと云って、土地価格が10%上昇するというものでは無い。

 東北大震災により、不動産への投資意欲が著しく減退している。
 とても不動産の価格が上がるという状況には無い。

 鑑定コラム762)「新築建売住宅が分譲マンションの戸数を超えた」の記事の中で述べた「平成21年に分譲マンション業界に何があったのか」の理由の一つは、上記の国内銀行の不動産業への新規融資額の極端な減少、引き締め政策が影響しているといえるであろう。

 「平成21年に分譲マンション業界に何があったのか」の理由について関係する、平成20年、21年のマンション業者の大量倒産については、日を改めて述べる。


  鑑定コラム762)
「新築建売住宅が分譲マンションの戸数を超えた」

  鑑定コラム689) 「銀行の不動産業への新規融資がゆるみだした」

  鑑定コラム871) 「新規融資割合21.7%、銀行よ! 不動産業以外に融資先を見つけよ」

  鑑定コラム1172)「リートバブルに向かって 9.5兆円の貸出」


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