○鑑定コラム
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長い、長い間下がり続けていた事務所の賃料は、やっと下げ止まり、再び上昇し始めた。
三菱地所のホームページの発表データによると、三菱地所が所有し、賃貸する建物の全用途の平均賃料の推移は次のごとくである。(三菱地所HP 2006年5月10日現在) 坪当り円
賃料 空室率
2001年1月 23,406円 5.63%
2002年1月 23,215円 4.61%
2003年1月 22,863円 5.78%
2004年1月 22,433円 5.69%
2005年1月 21,889円 4.07%
2005年1月以降は、転換月をしっかりと見極めるために、各月の数値を記す。
2005年1月 21,889円 4.07%
2005年2月 21,818円 3.55%
2005年3月 21,902円 2.77%
2005年4月 21,848円 2.66%
2005年5月 21,754円 2.40%
2005年6月 21,754円 2.55%
2005年7月 21,839円 2.17%
2005年8月 21,696円 2.15%
2005年9月 21,514円 2.25%
2005年10月 21,585円 2.26%
2005年11月 21,555円 2.27%
2005年12月 21,557円 2.57%
2006年1月 21,422円 2.36%
2006年2月 21,539円 2.41%
2006年3月 21,711円 1.85%
(2005年11月以降の空室率は、ビル建て替えを原因とする空室率は含めない。)
上記賃料の推移を見ると、2001年1月の賃料は坪当り23,406円(空室率5.63%)であった。それ以降賃料下落を続け、2006年1月には21,422円(空室率2.36%)まで下がった。
その後2006年2月、3月は、同年1月の賃料に対して、
2006年2月 +0.5%
2006年3月 +1.3%
の上昇である。
空室率も2006年3月は1.85%までになってしまった。
ほぼ満室の状態と言っていい状況である。
これら賃料の上昇、空室率の状況より判断すると、事務所賃料は2006年1月が底で、それ以降上昇に転じたのでは無かろうかと判断される。
2006年1月を事務所賃料の底と判断すると、東京の商業地の土地価格の底は2002年であったから(鑑定コラム168『渋谷商業地価は2002年が底だった』)、
2006年−2002年=4年
賃料は土地価格に4年遅れて、上昇に向かったと云うことになる。
賃料が下落し始めたのは、平成4年(1992年)である。
地価が下落し始めたのは、平成2年(1990年)であるから、
1992年−1990年=2年
賃料が下落に転じるのは、土地価格より2年遅れていた。
このことより、賃料と地価の変動の関係は、
賃料下落するときは、土地価格下落の2年後
賃料上昇するときは、土地価格上昇の4年後
ということになる。
上記が経済経験則として定着するかどうかは分からないが、現在までの両者の数値の変動を見れば、上記のことが現象として捉えられる。
不動産鑑定評価では、よく、賃料の遅延性、賃料の遅行性という表現が使われる。それは「土地価格の変動に対して、賃料の変動は遅れる」という賃料の性格を表した言葉である。
その賃料の性格を具体的数値で立証、証明した論文は、或いは存在するかもしれないが、私の不勉強のためか、私は今迄に見たことはない。
上記賃料推移の結果は、それら賃料の土地価格に対する関係の性格を具体的に証明することになるのでは無かろうか。
上記分析で事務所賃料の下げ止まりと判断したが、全ての事務所賃料が下げ止まったと解釈されては困る。立地品等の悪いビル、設備管理の悪いビル等、ビル・地域地方の状況によっては、依然賃料下落の過程にある事務所賃料はあるであろう。
上記の記事の中で引用した鑑定コラム168)は、下記にあります。
鑑定コラム168)「渋谷商業地価は2002年が底だった」
鑑定コラム972)「不動産ファンドバブルのビル賃料の遅行性は12ヶ月」
鑑定コラム1316)「渋谷の事務所賃料が年6%と値上り始めた」
鑑定コラム1464)「渋谷区の事務所賃料が大巾に値上りしている」
鑑定コラム1500)「三菱地所の全国全用途平均賃料は坪当り24,283円(2015年)」
鑑定コラム1872)「30年9月三菱地所の全国全用途の賃料は坪当り26,389円」
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