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不動産業新規貸出額が10兆円台になったことから、リートバブルは終わりと思っていた。
しかし、黒田日銀の金融の超超超緩和政策の継続、そしてマイナス金利政策の導入により、不動産価格は息をふきかえすごとく値上がりしだした。
それゆえ終わりと思っていたリートバブルが、いつ終わるのか分からなくなってしまった。
とはいえ、永久にリートバブルは続くものではない。いつかは終わる。
前記した、
鑑定コラム1539)「2015年度の法人企業の売上高は1431兆円」
鑑定コラム1541)「法人企業の売上高の推移」
鑑定コラム1542)「東京の最高地価と推移」
鑑定コラム1543)「不動産業新規貸出額と推移」
の各コラムをつなぎ、まとめとして本コラム記事を付ければ一つの論文になる。
不動産バブルはどうして発生するのか、いつバブルは始まり、いつまで続き、いつ終わるのか。
それらについて、法人企業の売上高、不動産業新規貸出額、東京商業地最高価格のデータを使用して、検討してきた。
以下に分析をまとめる。
@ 不動産業新規貸出額と最高地価
前記鑑定コラムで、昭和58年〜平成28年までの不動産業新規貸出額及び最高地価のそれぞれの推移を見てきた。
両者の推移を一つのグラフにまとめて見ると、両者の関係がより一層分かる。
左縦軸に最高地価(円/u)を、右縦軸に不動産業新規貸出額(億円)を取って、グラフにしたのが下図である。
3つの山に、それぞれが近似時点でピークをつけている。
それぞれのピークの時期と金額を記せば、下記である。
(最初の山)
最高地価 1991年(平成3年) u当り3850万円
新規貸出額 1989年(平成元年) 10兆4419億円
新規貸出額の方が2年早い。
(2つ目の山)
最高地価 2008年(平成20年) u当り3900万円
新規貸出額 2007年(平成19年) 10兆0859億円
新規貸出額の方が1年早い。
(3つ目の山)
最高地価 2016年(平成28年) u当り4010万円
新規貸出額 2016年(平成28年) 11兆7162億円
両者の時期は同じである。但し、現在進行形であり、最高地価は来年も値上がりするかもしれない。
過去2回の経験では、最高地価と不動産新規貸出額の間には、貸出額の方が1〜2年早くピークを示す。
このことから2016年末の貸出額がピークとなると、最高地価は2017年1月1日若しくは2018年1月1日となる。
2016年末が貸出額のピークになるのかという予想仮定が存在するが、次の法人企業売上高と不動産業新規貸出額の関係を分析すると、その解が分かる。
A 法人企業売上高と不動産業新規貸出額
両者の推移を一つのグラフにまとめて見ると、両者の関係がより一層分かる。
左縦軸に法人企業売上高(億円)を、右縦軸に不動産業新規貸出額(億円)を取って、グラフにしたのが下図である。横軸は年度・年である。
3つの山に、それぞれが近似時点でピークをつけている。
それぞれのピークの時期と金額を記せば、下記である。
(最初の山)
法人企業売上高 1991年度(平成3年度) 1474兆7749億円
新規貸出額 1989年(平成元年) 10兆4419億円
法人企業売上高の方が2年遅いが、法人企業売上高が減少を示すと新規貸出額は減少している。
(2つ目の山)
法人企業売上高 2007年度(平成19年度) 1580兆1713億円
新規貸出額 2007年(平成19年) 10兆0859億円
両者の時期は同じである。売上高が減少していると、新規貸出額も減少している。
(3つ目の山)
法人企業売上高 2014年度(平成26年度) 14470兆8425億円
新規貸出額 2016年(平成28年) 11兆7162億円
法人企業の売上高は平成26年度にピークを付け、その後売上高は減少に転じている。
過去2回のデータから考えれば、法人企業売上高が減少すれば、新規貸出額も減少している。
3つ目の山は、法人企業売上高が減少しているにも係わらず新規貸出額は増えるという特異な現象が生じている。
それは、黒田日銀のマイナス金利に象徴される超超超金融緩和という特異政策導入による一時的な特異現象と判断できる。
法人企業売上高が減少しているのに、不動産業への新規貸出額の増額政策をいつまでも続けることはできない。
B 法人企業売上高と最高地価
両者の推移を一つのグラフにまとめて見ると、両者の関係がより一層分かる。
左縦軸に法人企業売上高(億円)を、右縦軸に最高地価(円/u)を取って、グラフにしたのが下図である。
3つの山に、それぞれが近似時点でピークをつけている。
それぞれのピークの時期と金額を記せば、下記である。
(最初の山)
法人企業売上高 1991年度(平成3年度) 1474兆7749億円
最高地価 1991年(平成3元年) u3850万円
両者の時期は同じである。
(2つ目の山)
法人企業売上高 2007年度(平成19年度) 1580兆1713億円
最高地価 2007年(平成20年) u3900万円
法人企業売上が1年早くピークを付けている。
(3つ目の山)
法人企業売上高 2014年度(平成26年度) 14470兆8425億円
最高地価 2016年(平成28年) u4010万円
法人企業の売上高は、2年早く平成26年度にピークを付け、その後売上高は減少に転じている。
C 各データのピークの順番
不動産業新規貸出額と最高地価のピークの関係は、
新規貸出額 > 1〜2年早い 最高地価
である。
法人企業売上高と不動産業新規貸出額のピークの関係は、
新規貸出額 > 0〜2年早い 法人企業売上高
である。
法人企業売上高と最高地価のピークの関係は、
法人企業売上高 > 0〜1年早い 最高地価
である。
D まとめと予測
法人企業売上高、不動産業新規貸出額、最高地価の3つの要因は、そのピークをほぼ同じ時期に形成している。3つの要因は、密接に結びついていると判断出来る。
このことは、地価高騰の不動産バブル時期は、法人企業売上高と不動産業新規貸出額のピークの0〜2年後と予測される。
不動産業新規貸出額が、黒田日銀のマイナス政策に伴い継続されるとしても、それがどれ程日本経済産業の売上高増加に寄与するのか不透明である。
現実には、2015年10月から法人企業の売上高は減少に転じている。
不動産は不動産業のためにのみある訳ではない。
あらゆる産業、企業の生産、活動の土台になっているものである。又消費の土台になっているものである。
不動産は、ビル賃料、居宅賃料、工場、事務所、住宅建設等を通じて産業、消費者に繋がっている。
企業の売上高が減り、それに伴い働く人の賃金が減ると云うことになれば、消費の減退、賃料の減額、居宅マンション・住宅の購入者減少に連鎖し、不動産業の活況は逓減していく。
これらを考えると、法人企業の売上高は、不動産及び不動産価格を考える際の根本に存在し、それが減少している事実を無視して、日本経済、不動産経済、不動産価格の将来予測は考えられない。
不動産業新規貸出額はピークを迎え、最高地価もピークを迎え、リートバブルは近々終焉すると云える。
但し、これは私の仮説である。仮説であるから外れる可能性もある。
外れたら私はがっくりであるが、結果は2年後までに分かろう。
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鑑定コラム462)「経済自律則か、「10兆円」という金額」
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