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1721) 不動産業年間貸出額大巾減 11.8兆円

 日本銀行が2017年9月現在の貸出先別貸出金の統計を発表した。

 国内銀行の不動産業への2017年6月直近1年間の新規貸出額は、12兆1000億円(2017年2月に発表した鑑定コラム1605では、2016年1年間の貸出額は12兆2800億円と記したが、その後日銀の大規模な数値の訂正があった。そのことについては記事の最後に記す。)であったが、2017年9月直近1年間の新規貸出金は、今迄増加してきたのが一転減額に転じ、12兆円を切り11兆7927億円となった。

 2016年1年間は、12兆3388億円(日銀訂正後金額)であったから、5400億円の減少である。

 不動産業への新規貸出が天井を打ち、減額に転じた。銀行の貸し渋りが、これから出てきそうである。地価の下落がいよいよ現実化しそうである。

 来年の2月下旬頃発表される平成30年1月1日の地価公示価格は、今迄の地価高騰を反映して高い価格が発表されるであろうが、31年1月1日の価格はダウンとなることが充分予測される。

 直近1年間の四半期毎の金額は、下記である。

             2016年12月     26532億円
             2017年03月          37831億円
             2017年06月          23961億円
             2017年09月          29603億円
              計              11兆7927億円

 なお、日本銀行が、2017年11月16日に、統計数値の訂正を大巾に行った。貸出先別貸出金の数値も殆どが訂正された。

 それ故、鑑定コラムの過去の数値は、訂正数値と殆ど違うことになってしまう。

 鑑定コラム1721)以前の鑑定コラムで、日銀発表の数値を使用しているものは、2017年11月の日銀金額訂正前の金額による分析であるとして、理解してもらうことにする。

 下記に、日銀が発表した改訂数値を記す。年間合計は田原の計算である。

 2000年3月以降の数値である。

 国内銀行の全産業の新規貸出額と不動産業への新規貸出額である。単位は億円である。


  総貸出/設備資金新規貸出/銀行勘定/国内銀行 年間 億円 不動産業/設備資金新規貸出/銀行勘定/国内銀行 年間 億円
2000年3月 122054   24411  
2000年6月 90295   14078  
2000年9月 111953   21539  
2000年12月 99882 424184 17902 77930
2001年3月 128320   28363  
2001年6月 101189   17242  
2001年9月 117582   21725  
2001年12月 98796 445887 17839 85169
2002年3月 130760   28849  
2002年6月 98673   17392  
2002年9月 106835   18307  
2002年12月 95315 431583 15165 79713
2003年3月 117989   24243  
2003年6月 91368   11647  
2003年9月 112212   17644  
2003年12月 94298 415867 14027 67561
2004年3月 122044   28235  
2004年6月 88309   17085  
2004年9月 106251   20296  
2004年12月 89499 406103 16989 82605
2005年3月 124727   32685  
2005年6月 85982   15350  
2005年9月 113672   28633  
2005年12月 102771 427152 21022 97690
2006年3月 133307   29402  
2006年6月 92029   17286  
2006年9月 101746   24784  
2006年12月 91791 418873 20562 92034
2007年3月 121206   29921  
2007年6月 91652   22458  
2007年9月 103335   25114  
2007年12月 99304 415497 24082 101575
2008年3月 128200   30606  
2008年6月 91577   17985  
2008年9月 94136   20410  
2008年12月 88685 402598 15281 84282
2009年3月 112642   23227  
2009年6月 84694   13932  
2009年9月 89269   17994  
2009年12月 76858 363463 14442 69595
2010年3月 107574   25051  
2010年6月 78544   14913  
2010年9月 94561   20288  
2010年12月 81419 362098 16491 76743
2011年3月 107464   24582  
2011年6月 75323   13796  
2011年9月 88157   19978  
2011年12月 83933 354877 18670 77026
2012年3月 110752   25077  
2012年6月 81986   16657  
2012年9月 95294   22858  
2012年12月 87177 375209 17789 82381
2013年3月 120471   29949  
2013年6月 90957   18310  
2013年9月 99210   25725  
2013年12月 94956 405594 21493 95477
2014年3月 122817   31265  
2014年6月 88952   18169  
2014年9月 103085   25478  
2014年12月 100431 415285 25938 100850
2015年3月 131363   32251  
2015年6月 97470   20816  
2015年9月 108406   30034  
2015年12月 100743 437982 24231 107332
2016年3月 135015   37639  
2016年6月 116391   25972  
2016年9月 122460   33245  
2016年12月 109045 482911 26532 123388
2017年3月 140979   37831  
2017年6月 108166   23961  
2017年9月 111502   29603  
2017年12月 ND   ND  


日本銀行の貸出先別貸出金等の訂正についてのプレスリリースは、下記である。


2017年11月16日
日本銀行

「貸出先別貸出金」と「個人向け貸出金」について、最新データ(2017年9月)を「時系列統計データ検索サイト」に掲載しましたので、お知らせいたします。あわせて、2014年6月〜2017年6月の一部計数を遡及訂正しております。訂正の対象となる系列は以下のとおりです。

・貸出先別貸出金(残高、設備資金残高)

 国内銀行(3勘定合算)、国内銀行(銀行勘定)、国内銀行(信託勘定)、信用金庫

・貸出先別貸出金(残高、設備資金残高<企業規模別>)

 国内銀行(3勘定合算)、国内銀行(銀行勘定)、国内銀行(信託勘定)

・貸出先別貸出金(設備資金新規貸出額)
 国内銀行(3勘定合算)、国内銀行(銀行勘定)

・貸出先別貸出金(新規貸出額)
 国内銀行(3勘定合算)、国内銀行(銀行勘定)

・貸出先別貸出金(貸出件数<3月末、9月末>)

 国内銀行(3勘定合算)、国内銀行(銀行勘定)、国内銀行(信託勘定)

・個人向け貸出金(住宅資金<国内銀行・信用金庫>)

・個人向け貸出金(消費財・サービス購入資金<国内銀行・信用金庫>)

 なお、日本銀行が編集している統計書についても当該データが掲載されている可能性があります。訂正後のデータについては、上記検索サイトをご覧ください。


  鑑定コラム1605)
「12兆2800億円という巨額の不動産業貸出額」

  鑑定コラム1722)「平成バブル不動産貸出額は10兆円を越えていなかった」

  鑑定コラム1743)「平成29年の不動産業年間貸出額は11.7兆円」

  鑑定コラム1782)「不動産業への貸出減は続く」

  鑑定コラム1812)「不動産業への貸出減は続く(2018年6月)」

  鑑定コラム1846)「2018年9月不動産業への貸出額は前年同期比▲2.9%減」

  鑑定コラム2223)「最近20年間の国内銀行の不動産業貸出額の推移グラフ 2020年」


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