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1841)維持管理費等は実質賃料が分からなければ分からないものなのか

 同一建物、同一価格時点で必要諸経費が3つもあるのであろうか。

 同一建物で同一価格時点で、その建物の必要諸経費が3つも存在することなどは、現実には有り得ない。

 しかし不動産鑑定の世界では、有り得るようである。

 その現象が生じるのは、実質賃料を変数Xにおいて、必要諸経費の維持管理費等を0.03Xとして求めようとするためである。

 実質賃料を何故Xと置かねばならないのか。

 維持管理費が実質賃料の3%の割合と決まっているのか、それらの疑問が生じ、その疑問にも何等説明もせず、維持管理費は実質賃料の3%であると決めつけて、賃料を求めようとしている。

 同一建物で同一価格時点で、その建物の必要諸経費が3つも存在することなどは、現実には有り得ないことについては、鑑定コラム1708)「まだ横行している必要諸経費が3つもある鑑定書」で記した。

 同一建物で同一価格時点で、その建物の必要諸経費が3つも存在することについて、その鑑定書を書いた不動産鑑定士が、裁判所に回答した内容は、

 「求める手法が異なるから、必要諸経費の金額が異なるのは当然である。このことが分からないのか。」

と質問する側の無理解を攻撃してくる。質問する側が間違っていると反論してくる。

 件の賃料鑑定は、積算賃料(積算賃料は実質賃料である)をXと置くが、そもそもそれが間違っている。

 維持管理費を0.03X、空室損失を0.08Xとし、必要諸経費を(4,000,000円 + 0.11X)とする。(注)数値は丸い数値に変更している。以下同じ。

 そして積算賃料を、純賃料を10,000,000円として、

              X=10,00,000円+4,000,000円+0.11X

の算式より求めようとする。

 こうした算式で積算賃料を求めようとすることこそが、間違っているのである。

 スライド法、利回り法の必要諸経費に、上記(4,000,000円 + 0.11X)を使用する。

 そうすると新規賃料(積算賃料は新規賃料)と継続賃料(スライド法賃料、利回り法賃料は継続賃料)とがゴチャクチャになってしまう。

 Xを使って積算賃料を求めることが間違っているということが分からずに、算式が異なることから、必要諸経費が異なって求められるのは当然であると、鑑定書を書いた鑑定人不動産鑑定士は主張する。

 このことを受けて、裁判官は、「そのこと自体は鑑定の一手法としてあり得るものと考えられ、不当であるとはいえない。」と述べる。

 同一建物で同一価格時点で、その建物の必要諸経費が3つも存在することは、あり得ることであると、裁判官は判決文に記述する。そしてそれは不当であるとはいえないとも記述する。

 「鑑定の一手法」とも判決は云うが、「鑑定の一手法」などではない。必要諸経費をXを使って求めることなど、行なわない。それが故に同一建物で同一価格時点で必要諸経費が3つも出現することになってしまう。

 鑑定基準にも行って良いとは書いてない。

 不動産鑑定の賃料評価にあって、同一建物の同一価格時点で、必要諸経費が複数あるとする考え方など認められるものではない。

 必要諸経費は1つの金額である。

 不動産ビル賃貸業で、貸ビルの必要諸経費が3つもあることはない。それを受けて鑑定評価が成り立っている。

 貸ビル事業に必要諸経費が3つも存在したら、税務署は脱税を疑って動き出す。

 同一建物で同一価格時点で、建物の必要諸経費が3つも存在することはあり得ず、その賃料鑑定書は間違っていると意見書で詳しく説明しても、裁判官はその意見を受け入れようとせず、鑑定人不動産鑑定士の鑑定の数値が正しいと思い込み、その鑑定が間違った鑑定評価であることが分からず、逆にその鑑定を擁護して判決する裁判官とは !

 こうした判決をする裁判官に賃料増減額請求事件で当たったら、裁判官の忌避申立をした方がよいであろう。

 上記の様な裁判が横行してはたまらない。

 その前に、上記の様な鑑定の存在の排除が先だが。


  鑑定コラム1708)
「まだ横行している必要諸経費が3つもある鑑定書」

  鑑定コラム675)「同一物件、同一時点で必要諸経費は、新規賃料、継続賃料で変わるのか」

  鑑定コラム621)「管理費は支払賃料が分からなければ決められないのか」

  鑑定コラム1710)「こりゃ あかん 実務修習の継続賃料の章を考え直した方が良い」

  鑑定コラム633)「実務修習の継続賃料の求め方は間違っている」
 
  鑑定コラム1842)「実務修習テキストの実質賃料をXとする求め方はやめよ」


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