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1855)平成29年金沢市勤労者実収入は全国1位

 北陸の特に新幹線が金沢迄開通した以後の、金沢・富山の景気はどうなっているのだろうかと思い、日本銀行金沢支店が調査・発表している各年の景気状況を見ようと思い、同支店のホームページを訪れて見た。

 発表されているデータを見ていたところ、私にとって驚くべきデータが、目に飛び込んで来た。

 『勤労者1世帯当たりの実収入等』の2017年(平成29年)データ値で、

              金沢市   65.1万円(全国順位1位)
              富山市   59.1万円(全国順位9位)
       福井市   58.7万円(全国順位10位)

というデータ値であった。

 「えっ! 金沢のサラリーマンの月額実収入が全国1位?
 金沢のサラリーマンはそんなに高額な給与をもらっているのか。
 金沢に高額な給与を支払う会社がそんなに多くあるのか。
 町全体がそんなに裕福なのか。
 知らなかった。」

と、私は日銀のデータを見て思った。

 日銀金沢支店がいい加減なデータを発表するはずが無いと思いつつ、「本当かいな」と云う疑心も有り、データ出典が総務省「家計調査」となっていることから、総務省統計局の「家計調査」のホームページを訪れて、発表されている52都市の月額実収入の金額を確かめ、順位をエクセルを使って確認してみた。

 総務省統計局の「家計調査」の平成29年(2017年)の「2人以上の世帯のうち勤労者1世帯当たりの実収入」で、金沢市の月額金額は、651,218円であり、その収入は全国1位であった。

 9位に東京23区が入り、富山市は10位、福井市は11位であった。東京23区を外せば、日銀金沢支店の発表のとおりである。

 金沢市の勤労者実収入651,218円の内訳を調べて見た。それは下記の通りであった。

 イ、実収入

 実収入651,218円は、経常収入と特別収入に分かれる。その金額は、次の通りである。

      経常収入    641,590円
      特別収入     9,628円
       計            651,218円

 特別収入は受贈金等である。

 ロ、経常収入

 実収入の大半を占める経常収入641,590円は、勤め先収入、事業・内職収入、農林漁業収入、その他経常収入で構成される。その金額は、下記である。

      勤め先収入   594,697円
            事業・内職収入    3,420円
            農林漁業収入          0円
            その他経常収入   43,473円
        計          641,590円

 ハ、勤め先収入

 経常収入の大半を占める勤め先収入594,697円は、世帯主収入、世帯主の配偶者の収入、他の世帯員収入の3つで構成されている。その金額は、次の通りである。

      世帯主収入               465,965円
           世帯主の配偶者の収入     106,940円
            他の世帯員収入            21,792円
                計                   594,697円

 ホ、世帯主収入

 世帯主収入465,965円の内訳は、下記である。
           定期収入      381,191円
           臨時収入       2,859円
      賞与         81,915円
      計                465,965円

 実収入の金額を分析していくと、配偶者の収入が1/4程度あることが分かる。
 4世帯のうち1世帯は、共稼ぎの世帯という姿が浮かび上がってくる。
 賞与は2.6ヶ月分と推定出来る。

 世帯主の定期収入に辿りつき、その金額、つまり月額給与は381,191円ということが分かった。

 月額381,191円の金額を12倍すれば、年額給与となる。

     381,191円×12=4,574,292円

 金沢市の勤労者の年間給与は、457.4万円である。

 ここで、2018年9月末に国税庁が発表した『平成29年分民間給与実態統計調査』の給与の金額を思いだして欲しい。

 鑑定コラム1843)「平均給与432.2万円」で述べているが、平成29年の民間勤労者の年間平均給与は432.2万円である。平均年齢は46.0歳である。

 金沢市の勤労者給与は、それよりも5.8%高い水準である。

 実収入61.1万円の数値を見て驚いたが、内容の数値を分析して見ると、納得出来る。

 県庁所在都市等52都市の勤労者の月額実収入の順位表を作って見て、再び驚いた。

 最下位は、375,847円の神戸市である。1位金沢の58%の水準である。

 「あの神戸市が最下位の実収入の都市とは?」

 そしてまだ驚いたことがあった。京都市が下から3番目の実収入の都市である。

 都市の実態を現しているのであろうかという疑問も湧くが、違った面からの分析で都市の姿を知ることが出来た。

 下記に、総務省統計局発表の平成29年の「家計調査」による各都市の勤労者世帯当たりの月額実収入一覧を記す。順位付けは田原による。この一覧の都市順位と勤労者の月額実収入を見比べて、各自考えて見ることも無駄ではない。


順位 市名 月額実収入 円
1 金 沢 市 651218
2 川 崎 市 638588
3 水 戸 市 628154
4 さいたま市 624099
5 山 口 市 615996
6 福 島 市 611777
7 福 岡 市 610308
8 山 形 市 604258
9 東京都区部 593036
10 富 山 市 590884
11 福 井 市 586534
12 佐 賀 市 584304
13 大 津 市 577561
14 千 葉 市 566978
15 名古屋市 563020
16 大 分 市 560498
17 横 浜 市 558407
18 松 江 市 558290
19 高 知 市 558069
20 宇都宮市 557286
21 奈 良 市 554807
22 盛 岡 市 553700
23 高 松 市 548171
24 徳 島 市 546015
25 岐 阜 市 545961
26 静 岡 市 542386
27 甲 府 市 541690
28 鹿児島市 536432
29 津 市 535735
30 浜 松 市 533584
31 札 幌 市 532057
32 松 山 市 530206
33 岡 山 市 529877
34 新 潟 市 528227
35 広 島 市 516084
36 長 崎 市 514628
37 熊 本 市 506088
38 堺 市 504344
39 相模原市 498287
40 和歌山市 487512
41 鳥 取 市 478282
42 仙 台 市 477792
43 北九州市 473824
44 宮 崎 市 472440
45 大 阪 市 461993
46 長 野 市 461708
47 秋 田 市 460454
48 青 森 市 433727
49 前 橋 市 432604
50 京 都 市 432391
51 那 覇 市 417147
52 神 戸 市 375847


  鑑定コラム1843)
「平均給与432.2万円」

  鑑定コラム1857)「日銀金沢支店の報告では金沢の景気状況は具体的に理解し難い」

  鑑定コラム1859)「北陸新幹線の乗車率は43%」

  鑑定コラム1860)「北陸新幹線金沢駅の一日の乗車人数は7,895人(推定)」

  鑑定コラム1861)「金沢市の平成29年の観光客数は平成27年より減少している」

  鑑定コラム1862)「北陸新幹線開通後の金沢の住宅家賃は値上りしている」

  鑑定コラム1863)「北陸新幹線開通後の金沢の事務所賃料は横ばいである」


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