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1.はじめに
2015年(平成27年)3月14日に、金沢と東京を結ぶ北陸新幹線が開通した。
それによって、金沢の経済状況がどう変化したのかと思い、日銀金沢支店の報告書を見たが、文学的表現の記述では具体的にどう変わったのかどうも良く理解出来ない。そのことについては鑑定コラム1857)で記した。
そういうこともあり、具体的数値を使って一部の経済状況の変化について述べることにする。
2.金沢駅の乗車人数について
JR金沢駅の乗車人数について、金沢市の『金沢市統計書』より記すと次の通りである。単位人。
総数 定期 定期外
平成25年 7,586,617 3,845,214 3,741,403
平成26年 7,594,483 3,535,993 4,058,490
平成27年 8,417,688 2,906,869 5,510,819
平成28年 8,273,981 3,022,627 5,251,354
定期外の人が、平成27年は、平成26年に比し、1,452,329人増加している。
この多くが、北陸新幹線開通による増加と思われる。
平成28年は、総数、定期外とも平成27年よりも減少している。
平成29年については、未発表である。
3.観光客数について
金沢市を訪れた観光客数について調べて見た。
金沢市が発行している『金沢観光調査結果報告書 平成29年』によれば、金沢市の観光施設である兼六園、金沢城公園、金沢21世紀美術館等19施設の入場者数は、下記である。
平成25年 5,339,945人
平成26年 5,979,183人
平成27年 9,032,586人
平成28年 9,491,060人
平成29年 9,031,509人
観光客は、北陸新幹線が開通した平成27年は、前年の平成26年より3,053,403人、約305万人一気に増加した。
この増加は、北陸新幹線の開通の影響が大であると思われる。
観光客の金沢への交通手段について、同意見書の17頁にアンケート調査結果が記されている。
交通手段として北陸新幹線によって金沢に来たのが、トップの割合を占める。その割合は、
平成27年 42.4%
平成28年 40.9%
平成29年 38.5%
である。
北陸新幹線の開通の影響の大きさが、この割合を知れば分かる。
平成27年から28年に掛けて観光客は増加するが、平成29年には平成27年の人数を僅かであるが、下回ってしまう。
平成29年 9,031,509人
────────────── =0.9999
平成27年 9,032,586人
人が金を運んで来てくれるのである。このことを忘れてはいけない。
それと、305万人の観光客を金沢に呼び込んでくれた最大の原因は、北陸新幹線の開通である。
観光客の増加で利益を得た人々は、自分の努力で利益が得られた事でないことを自覚し、JR西日本に、団体として、毎年1億円位の謝礼をしても良い位である。
金沢市は、利益を無為に使わず、30年後、50年後も雪のある金沢であると云うことを考え、金沢駅と兼六園、香林坊を結ぶ地下鉄を作る建設資金の基金制度を構想し、その基金に利益を毎年積み立てるという夢のある計画を立てても良いではなかろうか。
ある程度の基金が積み立てられれば、地下鉄建設工事費の政府補助金も充分期待出来るであろう。
3.主な施設の利用者数
主な施設の利用者数を記すと下記である。増減は平成27年と平成29年との比較である。
(兼六園)
平成27年 2,887,894人
平成28年 2,961,983人
平成29年 2,796,872人
増減人数 ▲ 91,022人
増減率 ▲ 3.2%
(金沢城公園)
平成27年 2,261,766人
平成28年 2,259,559人
平成29年 2,283,285人
増減人数 21,519人
増減率 1.0%
(金沢21世紀美術館)
平成27年 2,213,766人
平成28年 2,582,024人
平成29年 2,370,892人
増減人数 157,126人
増減率 7.1%
兼六園は利用者が減じ、金沢21世紀美術館は利用者が大きく伸びている。
私は大学時代に、金沢城の城壁南西下近くにある赤レンガの階段教室で、行列式、逆行列の難しい数学の講義を受けた。その建物は旧制四の校舎であった。
数学の教授は、旧制四で数学を教えていた木戸睦彦教授であった。
木戸睦彦教授は、以前は、サッポロビールの銀座7丁目の「銀座ライオン7丁目店」で開かれる「北の都会」に顔を出されていたが、最近は姿が見られなくなった。存命とは聞く。
その学んだ赤レンガの建物が、現在『石川四記念文化交流館』として、観光公開されている。
その利用者数も発表されている。下記である。
平成27年 183,817人
平成28年 193,574人
平成29年 200,639人
増減人数 16,822人
増減率 9.2%
4.宿泊者数について
金沢市のホテル・旅館の宿泊者数は、下記である。
平成25年 2,574,939人
平成26年 2,749,577人
平成27年 2,905,204人
平成28年 3,084,854人
平成29年 3,193,504人
平成25年から平成29年まで、宿泊者は増え続けている。
平成25年から北陸新幹線の開通した平成27年までは、330,265人の増加である。率にすると12.8%の増加率である。
北陸新幹線開通後の平成27年から平成29年までは、288,300人の増加で、9.9%の増加率である。
石川県には有名な多くの温泉地がある。金沢の観光に来た人々は、金沢のホテル・旅館に泊まらず、それら温泉に宿泊しているのかと思い、石川県内の有名な温泉地の宿泊者数を調べて見た。下記である。日帰り客も含む。
(山代温泉)
平成27年 801,044人
平成29年 787,490人
(片山津温泉)
平成27年 627,039人
平成29年 655,901人
(山中温泉)
平成27年 504,641人
平成29年 464,379人
(和倉温泉)
平成27年 940,847人
平成29年 899,801人
(粟津温泉)
平成25年 293,684人
平成26年 286,773人
平成27年 298,166人
平成28年 288,832人
平成29年 未発表
山代、片山津、山中温泉は、加賀市の発表統計による。和倉温泉は七尾市の発表統計による。粟津温泉は小松市の発表統計による。
片山津温泉を除き、各温泉地の観光客数は、軒並平成27年よりも減少している。
鑑定コラム1627)「北の都会講演(銀座の地価 坪2億円)」
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