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1912)パブ/居酒屋の売上高減が激しい 2008〜2018年の10年間

 外食産業の団体である一般社団法人日本フードサービス協会(東京港区浜松町 会長株式会社人形町今半社長 高岡真一郎氏)が、会員の売上高等のデータを毎年発表している。

 2018年1年間の対前年比の売上高のデータは、下記である。

   ファーストフード     103.3%
   ファミリーレストラン   101.3%
   パブレストラン/居酒屋   98.5%
   ディナーレストラン    103.2%
   喫茶           100.8%
   その他          103.3%
   全体           102.3%

 外食産業界の売上高は、2018年1年間は、2.3%の売上高増である。業界全体では3%弱の売上高増であるが、その中で唯一売上高が減少している業種がある。

 その業種は、パブ/居酒屋である。前年比で▲1.5%である。1.5%減など大した事無いと思われるかもしれないが、過去の売上高の推移を見ると、パブ/居酒屋は、過去10年売上高は減少のしっぱなしである。

 2008年の売上高を100として、一般社団法人日本フードサービス協会が発表する対前年比の売上高比一覧を見れば、下記である。10年間の変動率の計算は田原による。


(売上高)          
ファーストフード ファミリーレストラン パブ/居酒屋 デイナーレストラン 喫茶
2008 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
2009 102.5 95.3 94.2 92.1 94.9
2010 102.1 99.3 97.2 98.7 99.8
2011 99.9 98.4 95.5 98.6 97.8
2012 101.1 102.7 99.5 105.3 102.2
2013 99.5 103.3 96.5 102.1 100.1
2014 97.9 103.2 95.0 104.0 100.1
2015 97.4 103.8 94.3 106.0 102.5
2016 106.0 100.4 92.8 104.3 101.2
2017 104.6 101.5 99.0 104.5 102.6
2018 103.3 101.3 98.5 103.2 100.8
10年間変動率 114.9 109.2 68.1 119.5 101.8


 2008年の売上高を100として、10年後の2018年の売上高は、

   ファーストフード     114.9
   ファミリーレストラン   109.2
   パブレストラン/居酒屋   68.1
   ディナーレストラン    119.5
   喫茶           101.8

 ディナーレストランが20%アップ、ファーストフードが15%アップ、ファミリーレストランが9%アップ、喫茶店は2%アップである。

 それら売上高アップの業界に比し、パブレストラン/居酒屋は、▲31.9%のダウンである。
 
 2014年〜2016年の3年間の対前年比、0.95、0.943、0.928の売上高減少が大きい。

 売上高減▲30%が続いたら、企業は倒産の危機に直面する。

 いつまで居酒屋の売上高減は続くのか。売上高増になるきっかけは何か。

 帝国データバンクが調査発表している飲食店の倒産件数を見ると、下記である。

      2008年   634件
      2009年   646件
      2010年   623件
      2011年   688件
      2012年   685件
      2013年   631件
      2014年   629件
      2015年   573件
      2016年   557件
      2017年   707件
      2018年   657件

 2008年〜2011年まで倒産件数は増える。2011年の688件をピークにしてその後2016年まで減る。倒産件数557件まで減る。

 しかし、2017年一気に707件と大巾な倒産件数となる。やはり売上高減による倒産がどっと出て来た。

 2018年は657件と減ったが、パブ/居酒屋の売上高の対前年比減少が続く限りは、パブ/居酒屋の倒産は増え続けるのでは無かろうか。

 私は、飲食店に携わっているという訳ではない。

 飲食店の企業から、継続家賃の改訂の鑑定評価や明渡立退料の鑑定評価の依頼を受けるのがままあり、居酒屋の業界が、元気になることを願うのである。

 一般社団法人日本フードサービス協会は外食産業の団体であるが、どういう企業が加盟しているのかというと、会長の企業は前記したが、副会長の企業は、下記の企業である。同協会のホームページによる。株式会社標記は省略する。平成30年5月16日現在である。

 小嶋屋、トリドールホールディングス、ケイコーポレーション、康正産業、日本KFCホールディングス、柿安本店、ねぎしフードサービス、ストロベリーコーンズ、クリエイト・レストラン・ ホールディングス。

 理事の企業は、次のごとくである。

 アールディーシー、イーストン、壱番屋、一六、SRCホールディングス、がんこフードサービス、グリーンサービス、ジェーシー・コムサ、すかいらーくホールディングス、セブン&アイ・フードシステムズ、ゼンショク、WDI、南部屋敷、日本マクドナルド、ニュートーキョー、ハチバン、平井料理システム、広越、フジオフードシステム、鮒忠、マコト、三ツ星レストランシステム、美濃吉、三好野本店、モスフードサービス、吉野家ホールディングス、リンガーハット、ロイヤルホールディングス、ワタミ、ワンダーテーブル、イクタツ、インフォマート、タニザワフーズ。


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  鑑定コラム2214)「2020年のパブレストラン・居酒屋の売上高の大巾な減少」


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