平成24年7月の或る日、富山で泊まろうとしたが、富山にあるホテル・旅館の客室は、全て満室で、宿泊を断られた。
以前一度泊まって、あまりの狭さにもう二度とこのチェーンホテルには泊まらないと決めていたホテルにも、そうは云っておれず電話したが、そこも空室は無かった。
西の高岡ならば空いているだろうと思ったが、ここでも満室であると云って断られてしまった。
富山・高岡のホテル・旅館20軒ほどに電話したが、断られてしまった。
嫌われた様だ。
やむを得ず高岡の更に西にある石川県の金沢のホテルを捜した。
金沢のホテルは空いていた。
一日目は、富山での仕事を途中に止めて金沢に向かった。
金沢に泊まった翌日、特急で金沢から富山に戻り、不動産鑑定の調査を続ける羽目になった。
富山−金沢間往復の交通費、乗車料金と特急料金を使わざるを得なかった。
東京から出発前、まさか富山で泊まれないとは思いもしていなかった。
計画性が無いと云われれば、その通りであるが、出発の2、3日前にならないと行動日程が決められない場合が多い職業であり、又、私の性格でもあることから、こうした事態に陥ることは仕方ない。
電話先の富山のホテル・旅館側から、翌日ならば空いていますが、と言われたが、富山訪問は日時が決められていることであり、延ばすことは出来ない。
何軒か電話すると、何が原因で富山のホテル・旅館が全てといって良い位い押さえられているのかが分かった。
日本消化器外科の学会が開かれていた。2万人を越える会員を持つ学会の研究発表・シンポジウム及び総会である。
その学会出席者等の関係者に、私が訪れた日の富山のみならず高岡のホテル・旅館は占領されてしまった様だ。
タクシーの運転手に聞くと、富山市内のホテル・旅館の収容能力を超える学会参加者が富山に来たのではなかろうかと云う。
あるホテルは、私の宿泊要望を断りつつ、この様な大きな学会を富山で開くのは、富山のホテルの収容能力から見ると無理であり、無茶であると云う。
違うホテルは、宿泊をお断りしている少なからずの宿泊希望者から、お叱りを受けておりますと云う。
学会が開かれることは結構なことだ。
ホテル・旅館も満室で稼げることであるから良いことであろう。
しかし、毎年この様な大きな学会が富山で催されるものでは無かろう。
富山のホテル・旅館を定期的に利用しているビジネスマン、旅行者はおり、その数はある程度把握されているであろう。
企業の中には経費のかかる常駐の支店を閉鎖して、東京・大阪から数日間出張して支店業務をこなしている企業もある。そうしたビジネスマンはホテルに泊まって業務をこなしている。
富山の場合も、そうしたやり方の企業もあるであろう。
そうした企業の場合、前もって学会があると知って、富山訪問日を変更した企業もあるかもしれないが、知らなかった企業もあり、ビジネス客もいたであろう。
同じ様な観光客もいたであろう。
それらビジネス客、観光客の多くは、私が味わった宿泊拒否を経験したことになる。
富山に一日どれ程のビジネス客、観光客が来るのかホテル・旅館側は知っているのであることから、少なくともその人々の客室は開けておいて、学会対策をするべきでは無かろうか。
客室が学会によって占められ、満室になってホテル・旅館は喜んでいると、後日になって、そのしっぺ返しを喰うことになるのではなかろうか。
もう富山のホテルには泊まりたくないと思う人が、宿泊拒否された人の中には少なからず生じるであろう。
富山に宿泊してくれる定量的な顧客の幾ばくかを逃がしたことであり、客商売としては、やり方がまずかったのではなかろうかと私は思う。
少なくとも、私は、富山で仕事があったとしても、今後は、金沢まで特急電車賃を払ってでも行き、金沢のホテルに泊まる。
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