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1年前の2015年(平成27年)3月の丸ビルの還元利回りについては、2.55%と鑑定コラム1390)「丸ビルの還元利回り」で分析した。
1年経過後の2016年(平成28年)3月の丸ビルの還元利回りは、どれ程であろうか。
それについて分析する。
分析の仕方は、2015年3月の分析方法と同じである。
@ 丸の内地区の事務所賃料
丸の内地区の平均事務所賃料は、鑑定コラム1522)「丸の内のビル賃料6.4%の上昇(28年3月)」で、u当り11,661円と求められている。
坪当り換算では、
11,661円×3.30578=38,549円
である。
A 標準偏差
変動係数を0.322とする。変動係数0.322については、鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」で述べられている。
丸の内地区の平均事務所賃料は、坪当り38,549円である。
標準偏差は、
38,549円×0.322=12,413
である。
B 丸ビルの賃料
丸ビルの立地、品等は、丸の内地区にあって100棟のビルにあって、優れた方の2.5%の範囲に入るビルと判断する。
賃料は人間生活の営みの中の一つの経済行為であり、正規分布に従うとすれば、Z値は、1.96である。
38,549円+12,413×1.96=62,878円
丸ビルの坪当り賃料を62,878円と推測する。丸ビルの坪当り賃料単価がここでわかった。
丸ビルの賃貸面積は、22,218.95坪である。
丸ビルの月額賃料は、
62,878円×22,218.95坪=1,397,083,138円
である。
年間賃料は、
1,397,083,138円×12=16,764,997,656円
である。
C 敷金運用益
丸ビルの敷金は、支払賃料の21ヶ月とする。これについては、鑑定コラム1386)「丸ビルの敷金の推測」で述べている。
運用利回りは0.5%とする。
敷金運用益は、
1,397,083,138円×21×0.005 = 146,693,729円
D 丸ビルの総収入
支払賃料 16,764,997,656円
敷金運用益 146,693,729円
共益費(支払賃料に含む) 0円
計 16,911,691,385円
E 必要諸経費
減価償却費を経費に含めない必要諸経費率は、総収入の0.275とする。この必要諸経費については、鑑定コラム1387)「丸ビルの必要諸経費の推測」で述べられている。
必要諸経費は、
16,911,691,385円×0.275=4,650,715,131円
である。
F 丸ビルの純収益(償却前)
丸ビルの償却前純収益は、
16,911,691,385円−4,650,715,131円 = 12,260,976,254円
122.6億円である。
G 丸ビルの建物の再調達原価
平成14年建築の丸ビルの建築費は、581億円である。これについては、鑑定コラム1388)「丸ビルの建物価格」で述べられている。
平成28年3月の丸ビルの再調達原価は如何ほどになるであろうか。
国交省発表によるRC造の東京の建築費は、
平成14年 u当り19.67万円
平成27年 u当り29.17万円
である。平成27年の建築費については、鑑定コラム1515)「無茶高な岩手のRC造建築費 27年RC造建築工事費」で分析されている。
平成28年3月の建築費データは、平成27年の建築費データを使用する。
平成14年から平成27年の東京RC造の建築費の変動率は、
29.17
──── = 1.483
19.67
1.483である。
丸ビルの再調達原価は、
581億円×1.483 ≒ 862億円
862億円である。
H 丸ビルの建物の減価修正
丸ビルの再調達原価は、862億円と求められた。
この金額から、現在の丸ビルの建物価格を求めるための減価修正はどれ程であろうか。
丸ビルの建物の全経済的耐用年数は50年とする。現在まで14年経過している。
平成28年−平成14年=14年
経済的残存耐用年数は、
50年−14年=36年
36年である。
経年要因の現在価値率は、
36
──── = 0.72
50
0.72である。
次の減価修正を行う。
中古である 0.8
経年減価要因 0.72
その他 1.0
0.8×0.72×1.0≒0.576
現在価値率は、0.576である。
I 丸ビルの建物価格
丸ビルの建物価格は、
862億円×0.576 ≒ 497億円
497億円である。
J 丸ビルの土地価格
丸ビルの建っている土地は、国交省が発表する地価公示設定地であり、それは千代田5-2(千代田区丸の内2-4-1 住居表示)の当該地である。
平成28年1月1日現在のその公示価格は、 u当り3280万円である。
この価格をそのまま土地価格として採用してもよいが、地価公示価格は比準価格と収益価格とを勘案して求められている。
通常は、比準価格が高く求められ、収益価格は安く求められている。
それ故、比準価格と収益価格との均衡を考えて決定される。
つまり、比準価格より少し安い価格が、地価公示価格として発表されている傾向がある。
本件の地価公示価格にも、その傾向があるのでは無かろうかと私には思われる。
公示価格の10%アップの価格修正を必要と判断する。
3280万円÷0.9 ≒ 3644万円
アベノミックスに伴う日本銀行の金融の超々緩和によって、市場にお金があふれているが、そのあふれている金は、株式と不動産に廻り、株価の高騰そして都心商業地の地価高騰を引き起こしている。
この地価高騰による修正を20%アップとする。
3644万円×1.2 ≒ 4373万円
丸ビルの土地価格を、u当り4373万円と判断する。
丸ビルの土地面積は、10,027uである。
4373万円×10,027u = 43,848,071万円
≒4385億円
丸ビルの土地価格は、
4385億円
である。
K 丸ビルの土地建物価格
丸ビルの土地建物価格は、下記である。
土地価格 4385億円
建物価格 497億円
計 4882億円
L 丸ビルの還元利回り(償却前)
丸ビルの純収益は、122.6億円である。
丸ビルの土地建物価格は、4882億円である。
還元利回りは、
純収益
───────── = 還元利回り
土地・建物の価格
の算式で求められる。
算式に、純収益、土地・建物の価格の数値を代入すれば、丸ビルの還元利回りは求められる。
下記である。
丸ビルの償却前還元利回りは、
122.6億円
────── = 0.0251
4882億円
2.51%である。丸ビルの平成28年3月の還元利回りは2.51%と求められた。
M 丸ビルの減価償却後還元利回り
丸ビルの減価償却後還元利回りを求める。
丸ビルの減価償却費を経費に含めない必要諸経費は、
16,911,691,385円×0.275 = 4,650,715,131円 ≒ 46.51億円
である。
これに建物の減価償却費を加算する。
建物価格は、497億円である。
残存経済的耐用年数は、36年である。
減価償却費は、
497億円
───── ≒ 13.81億円
36
13.81億円である。
減価償却費を含めた必要諸経費は、
46.51億円+13.81億円=60.32億円
である。
丸ビルの総収入は、169.12億円である。
純収益は、
169.12億円−60.32億円 ≒ 108.8億円
108.8億円である。
丸ビルの土地・建物価格は、4882億円である。
前記した還元利回りを求める算式に数値を入れれば、下記である。
108.8億円
────── =0.02228≒0.0223
4882億円
丸ビルのの減価償却後還元利回りは、
2.23%
である。
N まとめ
丸ビルの還元利回りをまとめると、下記である。
減価償却前還元利回り 2.51%
減価償却後還元利回り 2.23%
鑑定コラム1390)「丸ビルの還元利回り」
鑑定コラム1522)「丸の内のビル賃料6.4%の上昇(28年3月)」
鑑定コラム1515)「無茶高な岩手のRC造建築費 27年RC造建築工事費」
鑑定コラム1388)「丸ビルの建物価格」
鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」
鑑定コラム1387)「丸ビルの必要諸経費の推測」
鑑定コラム1364)「丸の内のビル賃料5.4%の上昇(27年3月)」
鑑定コラム1386)「丸ビルの敷金の推測」
鑑定コラム1644)「丸ビルの償却後還元利回りが2%割れしそうだ」
鑑定コラム1937)「丸ビルの土地還元利回り(償却後)は1.8%(2019年3月)」
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