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1413)地雷原を元気に進んでいる不動産業新規融資高(27年9月)

 国内銀行の不動産業への新規貸出は、地雷原の上をまだまだ元気に歩んでいる。

 日本銀行が、平成27年第3四半期(平成27年7月〜9月)の貸出先別貸出金を、平成27年11月18日に発表した。

 国内銀行の不動産業の新規貸出額は、2兆9843億円であった。

 過去の四半期の発表金額を加算して求めた平成27年10月直近1年間(平成26年10月〜平成27年9月)の不動産業への新規貸出額は、10兆8485億円である。

 平成26年7月〜平成27年6月までの1年間の不動産業への新規貸出額は、10兆4052億円であったから、それよりも4433億円増えて、年間10兆円台の融資が続いている。

 次期には11兆円台になるであろうか。

 不動産業に過剰な金を出して、都心の土地価格を上げるだけの日銀の超々金融緩和政策はもうやめょ。

 日本銀行が発表した平成26年10月〜平成27年9月までの国内銀行の不動産業新規貸出額は、以下である。単位億円。発表時の数値であり、後日確定値として変更されるかもしれないことを、予め断っておく。

                           全産業a      不動産業b     割合b/a

2014年10月〜12月 100,362    25,821    0.257 2015年01月〜03月 132,469    32,183    0.249 2015年04月〜06月 97,360     20,638    0.212 2015年07月〜09月 108,374    29,843    0.275
計 438,565 108,485 0.247

 前年同期と比べると、下記である。

                           全産業a      不動産業b     割合b/a

2014年07月〜09月 103,041    25,410    0.249 2015年07月〜09月 108,374    29,843    0.275
増減 + 5,333 + 4,433

 増額の8割以上を不動産業が占める。不動産業に金が如何に流れているか分かろう。

 過去の国内銀行の不動産業への新規貸出額を記す。

      2003年    68,132億円
      2004年    77,841億円
      2005年    93,978億円
      2006年    91,591億円
            2007年    100,859億円
            2008年    84,072億円
            2009年    69,587億円
            2010年    77,248億円
            2011年    76,826億円
            2012年    82,784億円
            2013年    95,488億円
            2014年      100,700億円
            2014年4月〜2015年3月      101,549億円
            2014年7月〜2015年6月      104,052億円
            2014年10月〜2015年9月     108,485億円

 不動産にこんなにお金を注ぎ込んでどうする積もりなのか。

 他の産業への平成27年7月〜9月の3ヶ月の新規設備投資融資額を記す。

 他の産業への融資額を知れば、如何に不動産業への融資が多いかわかる。


平成27年7月〜9月 国内銀行  
業種 新規貸出額億円
製造業 5528
農業、林業 168
漁業 30
鉱業、採石業、砂利採取業 187
建設業 1701
   
電気・ガス・熱供給・水道業 3697
情報通信業 384
運輸業、郵便業 3857
卸売業 1512
小売業 2361
   
金融業、保険業 973
不動産業 29843
物品賃貸業 801
学術研究、専門・技術サービス業 527
宿泊業 590
   
飲食業 711
生活関連サービス業、娯楽業 1578
教育、学習支援業 409
医療・福祉 5293
その他のサービス 2155
   
地方公共団体 724
個人(住宅・消費・納税資金等)(a) 38164
海外円借款、国内店名義現地貸 7163
合計 108374
   


 新規融資額1兆円を超えるのは、住宅・消費の個人の3兆8164億円と不動産業の2兆9843億円だけである。

 製造業にいたっては、1桁違うのでは無いかと思いたくなる1兆円の半分の5528億円である。

 日銀が製造業として挙げているのは、下記の業種である。列挙業種の最後にその他製造業とあるから、日本の全製造業が網羅されていると考えられる。

 食料、繊維、木材・木製品、パルプ・紙、印刷、 化学 、石油・石炭、窯業・土石、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、はん用・生産用・業務用機械、 電気機械、輸送用機械、その他の製造業。

 日本の産業の屋台骨は、製造業である。

 製造業の設備投資額が、この程度の金額では、経済成長はおぼつかない。


  鑑定コラム1383)
「まだ10兆円の不動産業貸出は続いている(27年6月)」

  鑑定コラム1350)「10兆円の不動産業貸出は続く(27年3月)」

  鑑定コラム1313)「不動産業新規融資額が10兆円を超えた」

  鑑定コラム1417)「時事通信発不動産融資監視のニュース」

  鑑定コラム1455)「衰えぬ年間10兆円の不動産業新規貸出額・平成27年」

  鑑定コラム1544)「リートバブルの終焉は近いか」

  鑑定コラム1568)「日銀ょ 12兆円も不動産業に金を流してどうするのか」


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