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先の鑑定コラム1279)「10兆円を越えなくてよかった」で、不動産業の新規融資額は10兆円を超えないだろうと予測した。
その予測が見事に外れた。
国内銀行の不動産業への新規融資額は、10兆円を超えた。
不動産業、銀行は、バブル崩壊のマグマの上を渡ることになった。
いつバブル崩壊のマグマが爆発して、マグマの上に乗っている人は吹っ飛ばされることになるのか。
日本銀行が、2014年10月〜12月の金融機関の貸出金の状況を、2015年2月12日に発表した。
それによると、国内銀行の新規貸出額は、
産業全体新規貸出額 10兆362億円
不動産業 2兆5821億円
である。
不動産業の貸出額の全体に占める割合は、25.7%である。
今迄の最高割合は、2005年1〜3月の25.7%であるが、今回その割合に並んだ。
国内銀行の貸出額の1/4が、不動産業への貸出額と云うのは、余りにも不健全な融資の姿ではなかろうか。
この1年(2014年)の国内銀行の不動産業への新規貸出額は、
2014年1〜3月 31,334億円
4〜6月 18,135億円
7〜9月 25,410億円
10〜12月 25,821億円
計 100,700億円
10兆700億円となった。10兆円の大台に乗った。
2014年10〜12月の貸出額が、2兆5821億円と云うのは、第4四半期としては最高の貸出額である。
過去の第4四半期の貸出額を見ると、下記である。
1999年10〜12月 1兆4303億円
2000年10〜12月 1兆8149億円
2001年10〜12月 1兆8342億円
2002年10〜12月 1兆5415億円
2003年10〜12月 1兆4113億円
2004年10〜12月 1兆7045億円
2005年10〜12月 2兆1768億円
2006年10〜12月 2兆381億円
2007年10〜12月 2兆3955億円 (不動産ファンドバブル)
2008年10〜12月 1兆5281億円
2009年10〜12月 1兆4435億円
2010年10〜12月 1兆6438億円
2011年10〜12月 1兆8603億円
2012年10〜12月 1兆7701億円
2013年10〜12月 2兆1495億円
2014年10〜12月 2兆5821億円
私は、年間トータルで新規融資額10兆円を超えないことを願った。
しかし、それは無駄であった。
まさか2007年第4四半期の金額を超える貸出が、2014年第4四半期になされるとは予想出来なかった。第4四半期として、過去最高の金額が貸し出されるとは思わなかった。
過去最高額を貸し出すとは、異常な状態である。
異常な状態など予測出来ない。
バブル破裂崩壊覚悟で、銀行は不動産業にお金を貸し出したようだ。
来四半期以降も異常な状態が続くものなのか。
不動産ファンドバブルの経緯から云えば、2兆円の融資が第4四半期で3回続いて、4回目の4年目に融資金額が大幅減少する。
そしてバブル破裂となる。
私は不動産業にお金を貸し出すなとは云っていない。
不動産業にお金を貸し出して良い。しかし全産業貸出額の1/4の割合を不動産業が占めるべきものでは無い。
そして、金利1%以下のごとくの安い金利で貸し出すなと云いたいのである。
不動産業は、リスクある産業である。資金回転の悪い商品を扱う業種である。
リスク1%、2%程度で済む業種では無い。
それ故、不動産及び不動産業のリスクを考えるならば、貸出金利3.5%とか、4%が妥当な金利である。
それくらいの金利で貸して、銀行は儲けよ。
儲けて、税金を沢山納めよ。
不動産会社は、3ヶ月ごとにお金の借り換えを続けていても、銀行が借り換えをストップすれば、不動産会社はたちまち金策に行き詰まる。
所有不動産を売却して資金繰りをやりくりするが、所有不動産が思うように売れなくなれば、借入金の返済が出来なくなる。
バブル崩壊で不動産価格が下落すれば、所有不動産の売却はますます困難となる。
倒産と云う道をたどることになる。
杞憂に終わればよいが、2〜3年後に不動産会社、不動産ファンド会社の倒産ラッシュが起こりそうだ。
そしていくつかの銀行の行き詰まりが生じることになろう。
それを避けて、乗り越えて生き続けるのが、経営者の手腕となるが。
鑑定コラム1279)「10兆円を越えなくてよかった」
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