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1879)地方自治法の「適正な対価」とは

 地方自治法237条2項は、「第二百三十八条の四第一項の規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。」と規定する。

 普通地方公共団体の財産の譲渡は、「適正な対価」で無ければならないと規定する。

 普通地方公共団体の財産には、土地が含まれる。そして譲渡には「売却」も含まれる。

 このことから、公有地の売却は、「適正な対価」で行うことになる。

 では、その「適正な対価」とは、どういうものか。

 これについて、自治省の事務次官を務められた松本英昭氏の著書『逐条地方自治法(第9次改訂版)』P986(学陽書房 平成29年10月15日発行)に、次のごとく記述されている。

 「「適正な対価」とは、通常は当該財産が有する市場価値(時価)をいう」

 土地価格の「適正な対価」とは、その時点の市場価値であると、松本英昭氏は云う。

 市場価値と云うが、それは適正な市場価値を指すことになるのであるから、上記を言い換えれば、土地の「適正な対価」とは、その時点で市場が形成する適正な市場価値と云うことになる。

 この価格概念を不動産鑑定で云えば、それは不動産鑑定士が求める正常価格の概念である。

 不動産鑑定評価基準(以下「鑑定基準」という)は、次のごとく云う。

 「正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう」(平成26年改正鑑定基準国交省版P16)

 この正常価格は、価格の三面性から、原価性からの積算価格、取引市場からの比準価格、収益性からの収益価格の3つの価格(この評価状態の価格を試算価格と呼ぶ)を求め、その3つの試算価格を再検討し調整して、一つの適正な価格として決定される。

 不動産鑑定評価の価格の三面性のどこに、市場価値の要因が反映されるのかということになるが、それは下記で反映される。

 先ず比準価格は、その採用取引事例価格が不動産取引市場で取引されたものであることから、価格そのものに市場性要因が反映されている。

 積算価格には、そのコストの建設費、材料費、諸経費に市場価値の要因は折り込まれる。

 収益価格には、賃料、必要諸経費、還元利回りに市場価値の要因が折り込まれる。

 地方自治法の「適正な対価」とは、不動産鑑定評価で云う「正常価格」を指すと云える。
 

  鑑定コラム1876)
「公有地の売却には2人の不動産鑑定士の不動産鑑定書を」

  鑑定コラム1877)「大竹市大願寺公有地売却価格最高裁判決」

  鑑定コラム1878)「公有地売却は議会の議決を」

  価格の三面性については、
  鑑定コラム1832)「新規実質賃料の積算賃料と比準賃料に開差が40%強ある鑑定書」


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