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2100)23区公示商業最高地価と1階賃料

1.はじめに

 先の鑑定コラム2096)「東京中央区の公示商業地地価と1階賃料(2020年1月)」で、東京中央区の商業地の地価と1階賃料の関係を分析した。

 その結果、地価の高い土地に建つ建物1階の賃料は、土地価格に比例して高くなっていることがデータで実証出来た。

 2020年1月1日時点の23区の各区の公示商業最高地価と1階賃料の関係を分析する。資料は地価公示価格とその価格算出の公開された鑑定評価書の中の収益還元法のテータによる。

2.千代田区商業地最高地価の公示に1階賃料の記載がない

 千代田区公示商業地の最高地価の公示地は、千代田5-2 丸の内2-4-1の土地である。u当り3760万円である。それは丸の内ビルの建つ土地である。

 その公示価格の公開鑑定書を見ると、想定建物の収益還元法の賃料は、1〜6階u当り15,000円となっている。

 1階賃料は幾らの記載になっていない。

 これでは使え無い。仕方がないことから、次の方法に拠って、1階の賃料を推測する。

 イ、中央区の商業地価と1階賃料の関係式から

 中央区の商業地価と1階賃料の間には、

              Y=1514.19+1.27X
の関係があると、鑑定コラム2096)で分かった。

 この関係式を使用して求める。

 千代田5-2の公示価格は、u当り3760万円である。

 X値に37,600を代入すると、
              Y=1514.19+1.27×37600
         =47,753
                ≒48,000円
である。

 ロ、中央区の最高地価との価格割合で求める

 中央区の公示最高価格と千代田5-2の公示土地価格の価格割合より、賃料を求める。

 中央区の公示最高価格は、中央5-22でu当り5770万円である。その土地の1階賃料は、u当り80,000円である。

                          3760万円
            80,000円×───────   = 52,132円≒52,000円        
                          5770万円

 ハ、決定

 上記イ、ロの分析から、
     イ、u当り 48,000円
     ロ、u当り 52,000円
と求められた。

 2つの賃料より、中央値のu当り50,000円とする。

 求められたu当り50,000円の賃料は、下記グラフで検討すると、特別に均衡を失っている賃料とは思えない。逆に15,000円の数値を入れたら、その数値がとんでもなく低い数値の位置にプロットされ、不適切であることがわかる。

3.データ一覧

 千代田5-2の1階賃料をu50,000円として、2020年1月1日時点の23区商業最高地価と1階賃料データを示すと、下記である。


番号 区名 公示番号 所在(住居表示) 公示価格千円/u 1階賃料円/u
1 千代田区 千代田5-2 丸の内2-4-1 37600 50000
2 中央区 中央5-22 銀座4-5-5 57700 80000
3 港区 港5-1 新橋1-18-16 13200 12100
4 新宿区 新宿5-35 新宿3-24-1 37900 45375
5 文京区 文京5-1 湯島3-39-10 4130 10008
6 台東区 台東5-1 上野4-5-5 11000 21000
7 墨田区 墨田5-1 江東橋3-8-10 2150 7300
8 江東区 江東5-5 亀戸5-2-1 2000 6400
9 品川区 品川5-1 西五反田1-2-10 5610 6500
10 目黒区 目黒5-12 自由が丘1-29-9 5300 22650
11 大田区 大田5-1 西蒲田7−66-10 4200 10000
12 世田谷区 世田谷5-4 北沢2-19-12 2860 14000
13 渋谷区 渋谷5-22 宇田川町23-3 28700 47500
14 中野区 中野5-1 中野3-36-15 4260 9300
15 杉並区 杉並5-1 上荻1-8-9 3000 8000
16 豊島区 豊島5-1 東池袋1-1-3 14500 27500
17 北区 北5-1 赤羽1-8-3 3490 8300
18 荒川区 荒川5-1 東日暮里5-51-14 2000 8200
19 板橋区 板橋5-1 大山町31-1 1360 7000
20 練馬区 練馬5-1 豊玉北6-1-8 1450 6500
21 足立区 足立5-1 千住2-57-3 3180 11000
22 葛飾区 葛飾5-1 新小岩1-48-3 1550 9000
23 江戸川区 江戸川5-3 西葛西6-15-2 1720 6300


3.回帰グラフ

 上記データを、左縦軸に1階賃料、横軸に公示地価として、データ値をプロットしたものが下図グラフである。




23区最高地価と1階賃料



4.回帰式

        Y: 1階賃料 円/u
               X: 地価公示価格 千円/u

として、両者の関係を求めると、

         Y=5488.86+1.237X
                   決定係数:0.94
の関係が認められる。

 地価が高くなれば、1階賃料も高くなる関係が認められる。

 各区の最高商業地の最低1階賃料は、5488円/uである。

 土地価格1,000円/uにつき賃料は1.236円/u上がる。

 中央区の商業地の場合、この係数は1.27であった。1.2〜1.3の係数数値あたりが商業地価と1階賃料の関係係数なのかと予測される。


  鑑定コラム2096)「東京中央区の公示商業地地価と1階賃料(2020年1月) 」

  鑑定コラム2099)「東京府中市の公示住宅地価と1階賃料(2020年1月)」

  鑑定コラム2102)「23区トップ商業地価と総合還元利回り」
  
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  鑑定コラム2104)「大阪市u500万円以上商業地価と1階賃料」
 
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