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2103)23区トップ商業地の1階賃料と還元利回り

1.はじめに

 東京23区公示商業地最高価格と1階賃料の関係を、鑑定コラム2100)「23区公示商業最高地価と1階賃料」で分析し、23区トップ地価と1階賃料の間には強い相関関係があると分かった。

 鑑定コラム2102)「23区トップ商業地価と総合還元利回り」の分析では、23区トップ地価とその土地上の建物の総合還元利回りとの間にも強い相関関係があると分かった。

 地価と1階賃料、地価と総合還元利回りとは、それぞれ強い相関関係があると分析された。

 それでは、その土地上の建物の1階賃料とその複合不動産の総合還元利回りの間にも相関関係があるのでは無かろうかという仮説が成り立つ。

 もし強い相関関係があると分かれば、1階賃料を把握すれば総合還元利回りが分かり、その総合還元利回りを使用することにより、当該複合不動産の価格が分かり、建物価格を控除すれば土地価格が分かることになる。

 商業地の1階賃料と総合還元利回りとは相関関係が強くあると云う仮説を立て、分析して見る。

 使用したデータは、2020年地価公示価格の23区トップ商業地価と、その地価公示価格に付随して公開されている不動産鑑定書に記載されている収益還元法のデータと、鑑定コラム2102)で分析された還元利回りである。

2.データ一覧

 各区トップ商業地の1階賃料と、その複合不動産の総合還元利回りのデータは、下記である。


番号 区名 公示番号 所在(住居表示) 還元利回り 1階賃料円/u
1 千代田区 千代田5-2 丸の内2-4-1 0.027 50000
2 中央区 中央5-22 銀座4-5-5 0.027 80000
3 港区 港5-1 新橋1-18-16 0.034 12100
4 新宿区 新宿5-35 新宿3-24-1 0.028 45375
5 文京区 文京5-1 湯島3-39-10 0.047 10008
6 台東区 台東5-1 上野4-5-5 0.041 21000
7 墨田区 墨田5-1 江東橋3-8-10 0.052 7300
8 江東区 江東5-5 亀戸5-2-1 0.052 6400
9 品川区 品川5-1 西五反田1-2-10 0.040 6500
10 目黒区 目黒5-12 自由が丘1-29-9 0.044 22650
11 大田区 大田5-1 西蒲田7−66-10 0.049 10000
12 世田谷区 世田谷5-4 北沢2-19-12 0.046 14000
13 渋谷区 渋谷5-22 宇田川町23-3 0.031 47500
14 中野区 中野5-1 中野3-36-15 0.048 9300
15 杉並区 杉並5-1 上荻1-8-9 0.059 8000
16 豊島区 豊島5-1 東池袋1-1-3 0.039 27500
17 北区 北5-1 赤羽1-8-3 0.051 8300
18 荒川区 荒川5-1 東日暮里5-51-14 0.054 8200
19 板橋区 板橋5-1 大山町31-1 0.054 7000
20 練馬区 練馬5-1 豊玉北6-1-8 0.055 6500
21 足立区 足立5-1 千住2-57-3 0.048 11000
22 葛飾区 葛飾5-1 新小岩1-48-3 0.048 9000
23 江戸川区 江戸川5-3 西葛西6-15-2 0.051 6300


3.データの図示と関係式

 上記データを縦軸に還元利回り、横軸に23区トップ商業地1階賃料を取って、フロットしたのが、下記グラフである。



23区トップ商業地還元利回りと1階賃料



     Y:総合還元利回り
     X:1階賃料円/u

として、両者の関係式をエクセルの近似式計算に当てはめると、

               Y=0.5866Xの(-0.2739)乗
                決定係数0.7897
     (注)累乗算式の表示が上手に出来ない。グラフ内に表示してある算式である。

と求められた。

 (1÷1階賃料の0.2739乗)の値に、0.5866を乗じると、その建物の複合不動産の総合還元利回りが求められると云うことである。

より簡単に云うと、1階賃料の0.2739乗の逆数に0.5866を乗じると、総合還元利回りが求まるということになる。
   上記算式の決定係数は0.79である。相関関係が十分ある。

4.まとめ

@ 立証

 上記分析から、23区トップ商業地の1階賃料とその複合不動産の総合還元利回りとの間には、相関関係があることが分かった。

 その関係式は、累乗方程式の関係があると分かった。

A 商業地1階賃料と標準総合還元利回り

 求められた算式から具体的に総合還元利回りを求めると下記である。

 例えば、1階賃料がu当たり2,000円であるとする。

                             1                        1
     Y=0.5866 ×──────── =  0.5866 ×──────    
                        2,000の0.2739乗              8.019589

=0.5866×0.124695 =0.073146 ≒0.073

 1階賃料u当たり2,000円の商業地の建物の総合還元利回りは、7.3%と求められる。

 上記のごとく求められた総合還元利回りと商業地1階賃料一覧を下記に記す。

 23区商業地の総合還元利回りの目安になるであろう。但し償却前の総合還元利回りである。

      1階賃料 円/u                 総合還元利回り %

       2,000 7.3        2,500 6.9        3,000 6.5        3,500 6.3        4,000 6.0        5,000 5.7 5.500 5.5 6,000 5.4 7,000 5.2 8,000 5.0        9,000 4.8        10,000 4.7        15,000 4.2        20,000 3.9        30,000 3.5        40,000 3.2        50,000 3.0        60,000 2.9        70,000 2.8        80,000 2.7


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