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2107)都道府県商業地最高地価の1階賃料と還元利回り

1.はじめに

 都道府県公示商業地最高価格と1階賃料の関係を、鑑定コラム2105)「都道府県商業地最高地価と1階賃料」で分析し、都道府県商業地最高地価と1階賃料の間には強い相関関係があると分かった。

 都道府県公示商業地最高価格と総合還元利回りの関係を鑑定コラム2106)「都道府県商業地最高地価と総合還元利回り」で分析し、都道府県商業地最高地価と総合還元利回りとの間にも強い相関関係があると分かった。

 東京23区の商業地最高地価の1階賃料と総合還元利回りとの間には、強い相関関係があると云うことが、鑑定コラム2103)「23区トップ商業地の1階賃料と還元利回り」の分析で分かった。

 都道府県商業地最高地価の1階賃料と総合還元利回りとの間にも、相関関係が強くあると云う仮説を立てて、分析して見る。

 使用したデータは、2020年地価公示価格の都道府県商業地最高地価と、その地価公示価格に付随して公開されている不動産鑑定書に記載されている収益還元法のデータと、鑑定コラム2106)で分析された還元利回りである。

2.データ一覧

 都道府県商業地最高地価の1階賃料と、その土地上の複合不動産の総合還元利回りのデータは、下記である。


番号 都道府県名 公示番号 所在 公示価格千円/u 還元利回り 1階賃料円/u
1 北海道 札幌中央5-1 札幌市中央区南1条西4-1-1 5200 0.048 9500
2 青森 青森5-3 青森市新町1-13-4 199 0.064 3184
3 岩手 盛岡5-1 盛岡市大通2-3-5 311 0.069 3730
4 宮城 青葉5-1 仙台市青葉区中央1-10-1 4020 0.052 10000
5 秋田 秋田5-1 秋田市中通2-8-1 170 0.07 3980
6 山形 山形5-1 山形市七日町1-2-39 213 0.067 3612
7 福島 郡山5-11 郡山市駅前1-6-6 367 0.06 5473
8 茨城 つくば5-3 つくば市竹園1-6-1 285 0.064 4053
9 栃木 宇都宮5-34 宇都宮市東宿郷1-4-14 367 0.062 3176
10 群馬 高崎5-1 高崎市4街区63-1 485 0.06 3826
11 埼玉 大宮5-1 さいたま市大宮区桜木町1-8-1 3480 0.049 10100
12 千葉 船橋5-1 船橋市本町4-3-20 1860 0.052 8902
13 東京 東京中央5-22 東京都中央区銀座4-5-6 57700 0.027 80000
14 神奈川 西5-1 横浜市西区南幸1-3-1 15100 0.041 36840
15 新潟 新潟中央5-2 新潟市中央区東大通り1-2-30 550 0.064 4900
16 富山 富山5-15 富山市桜町2-18 522 0.054 4526
17 石川 金沢5-4 金沢市本町2−16−16 1090 0.059 5600
18 福井 福井5-2 福井市中央1-9-26 366 0.061 3050
19 山梨 甲府5-5 甲府市丸の内1-7-1 307 0.062 3930
20 長野 長野5-2 長野市南長野1970-1 368 0.069 6499
21 岐阜 岐阜5-5 岐阜市吉野町5-17 618 0.065 5300
22 静岡 葵5-1 静岡市葵区呉服町2-6-8 1510 0.048 7560
23 愛知 中村5-2 名古屋市中村区名駅4-7-1 18500 0.036 18452
24 三重 四日市5-1 四日市市諏訪栄町6-3 400 0.064 3500
25 滋賀 草津5-1 草津市大路1-10-1 410 0.064 4439
26 京都 下京5-1 京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町51 8500 0.037 24000
27 大阪 大阪中央5-5 大阪市中央区宗右衛門町17-2 28700 0.031 31500
28 兵庫 神戸中央5-5 神戸市中央区三宮町1-7-5 7200 0.038 23100
29 奈良 奈良5-1 奈良市中筋町1-4 830 0.057 4540
30 和歌山 和歌山5-1 和歌山市友田町5-50 442 0.059 3450
31 鳥取 鳥取5-3 鳥取市栄町710 134 0.072 2195
32 島根 松江5-3 松江市朝日町476-7 169 0.068 2900
33 岡山 岡山北5-7 岡山市北区本町2-1 1520 0.059 5989
34 広島 広島中5-1 広島市中区八丁堀15-8 3550 0.048 8000
35 山口 下関5-1 下関市竹崎町4-2-33 190 0.067 2907
36 徳島 徳島5-1 徳島市一番町3-24 383 0.063 3483
37 香川 高松5-1 高松市磨屋町2-4 440 0.066 3330
38 愛媛 松山5-1 松山市大街道2-4-13 821 0.049 5200
39 高知 高知5-12 高知市帯屋町1-9-7 269 0.063 4400
40 福岡 福岡中央5-9 福岡市中央区天神1-11-11 11000 0.048 22688
41 佐賀 佐賀5-10 佐賀市駅前中央1-5-10 245 0.065 3141
42 長崎 長崎5-8 長崎市浜町3-25 944 0.054 6900
43 熊本 熊本中央5-14 熊本市中央区下瀬1-3-7 2470 0.047 12950
44 大分 大分5-37 大分市末広町1-1-32 650 0.06 4862
45 宮崎 宮崎5-1 宮崎市橘通西3-10-37 288 0.068 3096
46 鹿児島 鹿児島5-16 鹿児島市東千石町13-19 1150 0.051 6000
47 沖縄 那覇5-14 那覇市久茂地3-1-1 1980 0.052 10600


3.データの図示

 上記データを縦軸に都道府県商業地最高地価の還元利回り、横軸にその土地の1階賃料を取って、プロットしたのが、下記グラフである。



都道府県最高価格地の1階賃料と還元利回り



 上記グラフを見ると低賃料の個所にデータが集まりすぎている。これは恐らく低土地価格にある賃料と思われる。

 データを分割して分析した方が良いと思われる。

4.土地価格100万円/u以下の1階賃料と総合還元利回りの関係

 土地価格を100万円/u以下と100万円/u以上に分割して、1階賃料と総合還元利回りの関係を分析する。

@ 土地価格100万円/u以下のデータ


番号 都道府県名 公示番号 所在 公示価格千円/u 還元利回り 1階賃料円/u
31 鳥取 鳥取5-3 鳥取市栄町710 134 0.072 2195
32 島根 松江5-3 松江市朝日町476-7 169 0.068 2900
5 秋田 秋田5-1 秋田市中通2-8-1 170 0.07 3980
35 山口 下関5-1 下関市竹崎町4-2-33 190 0.067 2907
2 青森 青森5-3 青森市新町1-13-4 199 0.064 3184
6 山形 山形5-1 山形市七日町1-2-39 213 0.067 3612
41 佐賀 佐賀5-10 佐賀市駅前中央1-5-10 245 0.065 3141
39 高知 高知5-12 高知市帯屋町1-9-7 269 0.063 4400
8 茨城 つくば5-3 つくば市竹園1-6-1 285 0.064 4053
45 宮崎 宮崎5-1 宮崎市橘通西3-10-37 288 0.068 3096
19 山梨 甲府5-5 甲府市丸の内1-7-1 307 0.062 3930
3 岩手 盛岡5-1 盛岡市大通2-3-5 311 0.069 3730
18 福井 福井5-2 福井市中央1-9-26 366 0.061 3050
7 福島 郡山5-11 郡山市駅前1-6-6 367 0.06 5473
9 栃木 宇都宮5-34 宇都宮市東宿郷1-4-14 367 0.062 3176
20 長野 長野5-2 長野市南長野1970-1 368 0.069 6499
36 徳島 徳島5-1 徳島市一番町3-24 383 0.063 3483
24 三重 四日市5-1 四日市市諏訪栄町6-3 400 0.064 3500
25 滋賀 草津5-1 草津市大路1-10-1 410 0.064 4439
37 香川 高松5-1 高松市磨屋町2-4 440 0.066 3330
30 和歌山 和歌山5-1 和歌山市友田町5-50 442 0.059 3450
10 群馬 高崎5-1 高崎市4街区63-1 485 0.06 3826
16 富山 富山5-15 富山市桜町2-18 522 0.054 4526
15 新潟 新潟中央5-2 新潟市中央区東大通り1-2-30 550 0.064 4900
21 岐阜 岐阜5-5 岐阜市吉野町5-17 618 0.065 5300
44 大分 大分5-37 大分市末広町1-1-32 650 0.06 4862
38 愛媛 松山5-1 松山市大街道2-4-13 821 0.049 5200
29 奈良 奈良5-1 奈良市中筋町1-4 830 0.057 4540
42 長崎 長崎5-8 長崎市浜町3-25 944 0.054 5795


A 土地価格100万円/u以下のデータのグラフ

 上記データを、左縦軸に総合還元利回り、横軸に1階賃料として、データ値をプロットしたものが下図グラフである。



100万円以下土地の1階賃料と還元利回り



B 回帰式

     Y:総合還元利回り
     X:1階賃料 円/u

として、両者の関係式をエクセルの近似式計算に当てはめると、

               Y=0.2403Xの(-0.1621)乗
                決定係数0.2206

     (注)累乗算式の表示が上手に出来ない。グラフ内に表示してある算式である。

と求められた。

 (1÷1階賃料の0.1621乗)の値に、0.2403を乗じると、その土地建物の総合還元利回りが求められると云うことである。

 より簡単に云うと、1階賃料の0.1621乗の逆数に0.2403を乗じると、総合還元利回りが求まるということになる。

 上記算式の決定係数が0.22であるから、偏差の散らばりが大きく求められ関係式の相関度は悪いが、相関関係は認められる。

C 小括

 求められた算式から具体的に総合還元利回りを求めると下記である。

 例えば、1階賃料がu当たり3500円であるとする。

                             1                        1
     Y=0.2403 ×──────── =  0.2403 ×──────    
                        3500の0.1621乗             3.753992754

=0.2403×0.266383039 =0.064011 ≒0.064

 u当たり3,500円の商業地の1階賃料のその土地建物の総合還元利回りは、6.4%と求められる。

 上記のごとく求められた総合還元利回りと商業地1階賃料一覧を下記に記す。但し償却前総合還元利回りである。

      1階賃料 円/u         総合還元利回り %

2,000 7.0 2,500 6.8 3,000 6.6 3,500 6.4 4,000 6.3 4,500 6.1 5,000 6.0 5,500 5.9 6,500 5.8

5.土地価格100万円/u以上の1階賃料と総合還元利回りの関係

@ 土地価格100万円/u以上のデータ


番号 都道府県名 公示番号 所在 公示価格千円/u 還元利回り 1階賃料円/u
17 石川 金沢5-4 金沢市本町2−16−16 1090 0.059 5600
46 鹿児島 鹿児島5-16 鹿児島市東千石町13-19 1150 0.051 6000
22 静岡 葵5-1 静岡市葵区呉服町2-6-8 1510 0.048 7560
33 岡山 岡山北5-7 岡山市北区本町2-1 1520 0.059 5989
12 千葉 船橋5-1 船橋市本町4-3-20 1860 0.052 8902
47 沖縄 那覇5-14 那覇市久茂地3-1-1 1980 0.052 10600
43 熊本 熊本中央5-14 熊本市中央区下瀬1-3-7 2470 0.047 12950
11 埼玉 大宮5-1 さいたま市大宮区桜木町1-8-1 3480 0.049 10100
34 広島 広島中5-1 広島市中区八丁堀15-8 3550 0.048 8000
4 宮城 青葉5-1 仙台市青葉区中央1-10-1 4020 0.052 10000
1 北海道 札幌中央5-1 札幌市中央区南1条西4-1-1 5200 0.048 9500
28 兵庫 神戸中央5-5 神戸市中央区三宮町1-7-5 7200 0.038 23100
26 京都 下京5-1 京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町51 8500 0.037 24000
40 福岡 福岡中央5-9 福岡市中央区天神1-11-11 11000 0.048 22688
14 神奈川 西5-1 横浜市西区南幸1-3-1 15100 0.041 36840
23 愛知 中村5-2 名古屋市中村区名駅4-7-1 18500 0.036 18452
27 大阪 大阪中央5-5 大阪市中央区宗右衛門町17-2 28700 0.031 31500
13 東京 東京中央5-22 東京都中央区銀座4-5-6 57700 0.027 80000


A 土地価格100万円/u以上のデータのグラフ

 上記データを、左縦軸に総合還元利回り、横軸に1階賃料として、データ値をプロットしたものが下図グラフである。



100万円以上土地の1階賃料と還元利回り



B 回帰式

     Y:総合還元利回り
     X:1階賃料 円/u

として、両者の関係式をエクセルの近似式計算に当てはめると、

               Y=0.538Xの(-0.2608)乗
                決定係数0.7987

     (注)累乗算式の表示が上手に出来ない。グラフ内に表示してある算式である。

と求められた。

 (1÷1階賃料の0.2608乗)の値に、0.538を乗じると、その土地建物の総合還元利回りが求められると云うことである。

より簡単に云うと、1階賃料の0.2608乗の逆数に0.538を乗じると、総合還元利回りが求まるということになる
   上記算式の決定係数が0.80であるから、求められた関係式の相関度は高い。

C 小括

 求められた算式から具体的に総合還元利回りを求めると下記である。

 例えば、1階賃料がu当たり15,000円であるとする。

                             1                        1
     Y=0.538× ──────── =  0.538 ×──────    
                       15000の0.0.2608乗            12.27791438

=0.538×0.081447058 =0.043818 ≒0.044

 u当たり15,000円の商業地の総合還元利回りは、4.4%と求められる。

 上記のごとく求められた1階賃料と総合還元利回り一覧を下記に記す。但し償却前総合還元利回りである。

      1階賃料 円/u         総合還元利回り %

8,000 5.2 9,000 5.0 10,000 4.9 15,000 4.4 20,000 4.1 25,000 3.8 30,000 3.7 40,000 3.4 50,000 3.2

6.まとめ

 上記分析から、都道府県最高商業地の総合還元利回りは、1階賃料が高い場合は総合還元利回りの割合は低く、1階賃料の安い場合の総合還元利回りは高い割合であることが分かった。

 東京23区の商業地最高地価の1階賃料と総合還元利回りとに見られる相関関係が、都道府県商業地最高地価の1階賃料と還元利回りにも認められ、分析前に立てた仮説が成り立つ。

 1階賃料と総合還元利回りの間には、定数・指数の数値は異なるが、累乗方程式の関係があると分かった。

 商業地の1階賃料u当り2,000円〜5万円の土地建物の総合利回りが、7.0%から3.2%にあるということが分かった。

 本コラムのここまでの商業地の土地価格と1階賃料の関係、商業地の土地価格と還元利回り、商業地1階賃料と還元利回りの関係の分析により、不透明であった還元利回りの実態が、はっきりと目に見える状態になった。
 日本全国の商業地の還元利回りの値がほぼ分かった。

 記述する事が発生した場合は述べることとして、ひとまずここで、地価公示価格の鑑定書を利用した還元利回り等の分析は終える。次回からは違う内容のコラムを記述する。


  鑑定コラム2065)「2020年銀座山野楽器店公示地の土地還元利回りは2.5%(償却後)」

  鑑定コラム2096)「東京中央区の公示商業地地価と1階賃料(2020年1月) 」

  鑑定コラム2098)「東京中央区商業地価と総合還元利回り」

  鑑定コラム2100)「23区公示商業最高地価と1階賃料」

  鑑定コラム2102)「23区トップ商業地価と総合還元利回り」

  鑑定コラム2104)「大阪市u500万円以上商業地価と1階賃料」

  鑑定コラム2105)「都道府県商業地最高地価と1階賃料」

  鑑定コラム2106)「都道府県商業地最高地価と総合還元利回り」


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