国土交通省が、土地価格の予測として土地の高度利用地区の土地価格を調査し、発表している。通称「地価LOOK」と呼ばれるものである。
地価LOOK調査は年4回、四半期ごとに行われている。三大都市圏と地方圏と分かれて発表されている。但し傾向値の結果をDI値としては発表していない。
調査結果をDI値として求め、グラフ化して発表しているのは私の思いつきであり、私だけである。
地価LOOK調査設定地点は、高度利用の地域の商業地と住宅地区に設定されている。
東京を中心とする地区は、「東京圏」として発表されている。
東京圏は、埼玉・千葉・東京・神奈川の地域を云い、地価LOOK調査地点数は43地点である。そのうち東京は27地点が配分され、商業地18地点、住宅地9地点である。
先の鑑定コラム2367)において、令和3年第4四半期の東京圏の地価LOOKのDI値は+37で、土地価格が上昇しているごとく思われるが、同四半期の東京商業地の地価LOOKのDI値は、▲33であり、東京の商業地の土地価格は値上がり状態で無く、真冬の状態であると述べた。
東京商業地は東京圏に属している。東京圏の地価動向の構成要素であるが、商業地も住宅地も調査としては同じ1地点であり、用途による土地価格の価格水準の違いは全く関係無く、調査結果にそれは反映され無い。
商業地価が一部下落大部が横ばいしているにもかかわらず、住宅地価の多くが価格上昇しているならば、地価LOOKのDI値は+、つまり上昇として求められる。これを統計の罠という。或いはもっと悪い言葉として統計の誤魔化しと称する人もいる。
住宅地の土地価格が上昇したから商業地の土地価格は上昇するかと云えば、その様なことは無い。住宅地価に地価牽引力は無い。
逆に商業地価が上がれば住宅地価はあがる。商業地価は地価牽引力を持っている。
令和3年第4四半期の東京商業地の地価LOOKのDI値は▲33と求められた。
いつから東京商業地の地価LOOKのDI値は▲になったのか。
令和元年から令和3年第4四半期までの、四半期ごとの東京商業地の地価LOOKのDI値を求めると、下記である。
令和元年第1四半期 94 令和元年第2四半期 94 令和元年第3四半期 94 令和元年第4四半期 94 令和2年第1四半期 78 令和2年第2四半期 −22 令和2年第3四半期 −44 令和2年第4四半期 −56 令和3年第1四半期 −50 令和3年第2四半期 −50 令和3年第3四半期 −56 令和3年第4四半期 −33東京の商業地は、令和2年にDI値が+94から一気に-56まで下落した。現在はその状態から少し回復傾向にあるが、まだまだ低迷期にあると判断される。DI値はゼロから大きく下にあるから、真冬にあると云える。