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1.はじめに
倉敷の住宅地の還元利回りはどれ程であろうか。
前記鑑定コラム1755)で還元利回り、期待利回りの求め方について述べた。
その求め方に従って、倉敷の住宅の還元利回りを求めて見る。
具体的求め方は、鑑定コラム1742)「京都右京区のマンションの還元利回りは3.0%」で求めている。この求め方と同じ方法による。
2.想定賃貸マンション
容積率200%、建蔽率60%の一種住居地域にあって、道路巾員6mに接する地積300uの土地とする。この土地を標準地と呼ぶ。
その土地に鉄筋コンクリート造3階建、延床面積540uの賃貸マンションを想定する。この建物を標準賃貸マンションと呼ぶ。
その賃貸マンションの還元利回りを推定することとする。
レンタブル比は、鑑定コラム1638)「賃貸マンションのレンタブル比」の記事に記載の平均数値0.867 とする。
レンタブル面積は、
540u×0.867=468u
である。
賃貸マンション1戸の平均広さは、40u(2DK)とする。
468u÷40=11.7≒12
2DK12戸の賃貸マンションである。
3.土地価格
土地価格は、国土交通省が発表している地価公示価格の住宅地から、岡山県が岡山県の部分の住宅地の平均価格を、県のホームページに発表している。
平成29年1月1日時点の住宅地の平均価格は、下記である。単位はu当り円である。
地域
|
住宅地平均価格 円/u
|
岡山市
|
57400
|
倉敷市
|
45800
|
津山市
|
19800
|
玉野市
|
34400
|
笠岡市
|
30100
|
井原市
|
31700
|
総社市
|
31700
|
高梁市
|
30200
|
新見市
|
33900
|
備前市
|
25600
|
赤磐市
|
19800
|
真庭市
|
20300
|
美作市
|
21800
|
浅口市
|
31600
|
和気町
|
15800
|
早島町
|
50400
|
里庄町
|
36800
|
矢掛町
|
19600
|
鏡野町
|
13500
|
勝央町
|
29100
|
吉備中央町
|
5600
|
早島町の住宅地の価格は、岡山市に次いでの価格である。倉敷市よりも高い。
早島町はどこにあるのか。そして何故住宅地の価格がこの様に高いのか。
倉敷市の想定賃貸マンションの土地価格は、倉敷市の平均地価公示価格を採用する。
u当り 45,800円
とする。
4.建物価格
想定マンションの建物価格は、新築の工事費相当とする。
鑑定コラム1741)「平成29年RC造建築費は全国平均26.56万円/u」で、平成29年1年間で建設されたRC造の各県別の平均建築工事費が掲載されている。
岡山県の建築費は、u当り222,300円である。
この金額を賃貸マンションの建築工事費とする。これに設計監理費5%を加算する。
222,300円×1.05=233,415円≒233,000円
5.2DKの賃貸マンションの賃料
全国宅地建物取引業協会連合会が運営する「ハトマークサイト」というホームページ発表の「賃料相場」データによる。
岡山県の2DK(40u)の平成30年1月の募集家賃平均は、 鑑定コラム1754)「岡山県内の市区町の2DK家賃(平成30年1月)」で記した。
倉敷市の2DKの賃貸マンションの賃料は、u当り1,145円である。
岡山市は、同コラムでは4区の賃料が記されている。4区の平均を岡山市の2DK賃貸マンションの賃料とする。
岡山市北区 u1,288円
岡山市中区 u1,083円
岡山市東区 u1,100円
岡山市南区 u1,160円
平均 u1,158円
6.還元利回り算出の算式
還元利回りの算出の算式は、鑑定コラム1755) で述べた。
算式は、下記の2つである。
年間実質賃料
粗利回り =─────────
土地・建物の価格
還元利回り = 粗利回り × (1−必要諸経費率)
粗利回りは、下記の算式に分解される。この算式を標準粗利回りの式とする。
標準粗利回り=
u当り賃料×12×共益費修正率×運用償却額修正率×空室率修正×経年
賃料修正率×容積率×賃貸面積率
─────────────────────────────────
土地単価+建物工事費単価×容積率×償却修正率
7.必要諸経費率
2017年2月に発行した著書の『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス)のP99に減価償却費を含めた賃貸マンションの必要経費率を
貸マンション 0.35
としている。この割合を採用する。
8.その他のデータ値
標準粗利回りの式に必要なデータ数値を、下記のとおりとする。
イ、共益費修正率
共益費は支払賃料に含まれているものとする。それ故、共益費修正率は1.0となる。
ロ、運用償却額修正率
敷金は、支払賃料の2ヶ月分とする。礼金の支払いもないものとする。
敷金の利率は0.5%とする。
敷金運用益修正率は、
1,145×2×0.005÷12=0.95円/u
0.95円÷1,145円=0.0008≒0.001
1.001である。
礼金は無いことから償却額は0円である。
ハ、空室率修正
倉敷の賃貸マンションの空室率修正である。
倉敷の賃貸マンションの空室率を発表している会社・企業は無い。
「LIFULL HOME'S」のホームページの「不動産投資」部門において、倉敷の賃貸用住宅の空室率を発表している。(http://toushi.homes.co.jp/owner/okayama/city330202/)
それによると、
賃貸住宅空家 12,130戸
借家 76,610戸
である。
賃貸用住宅の空室率は、
12,130÷76,610=≒0.158
15.8%である。
上記空室率は、不良空家、木造の築後年数の古いアパートも含めた割合である。
京都市の場合にも検討したが、鉄筋コンクリート造で新築の場合、ほぼ半値の割合となると判断した。
同じ考えを倉敷にも適用して、
0.158×0.5≒0.08
空室率を8.0%とする。
ニ、経年賃料修正率
新築賃貸マンションであり、修正の必要はない。 1.0
ホ、容積率修正
容積率修正は、
建物延床面積÷土地面積=容積率修正率
である。
標準賃貸マンションの場合、
540u÷300u=1.80
である。
ヘ、償却修正率
償却修正率は、
建物価格÷新築価格=償却修正率
である。
標準賃貸マンションの場合、
建物価格 u当り233,000円
新築価格 u当り233,000円
であるから、
233,000÷233,000=1.0
である。
9. 数値のまとめ
上記の数値をまとめる。
土地単価 45,800円/u
建物工事費 233,000円/u
建物価格 233,000円/円
建物償却修正率 1.0
支払賃料 1,145円/u
共益費修正率 1.0
運用償却額修正率 1.001
空室率 0.92
経年賃料修正率 1.0
容積率 1.80
賃貸面積率 0.867
必要諸経費率 0.35(減価償却費込み)
10. 倉敷市の賃貸マンションの還元利回り
上記数値を標準粗利回りの式に代入すれば、粗利回りは0.045977と求められる。
必要諸経費率は、0.35(減価償却費込み)である。
還元利回りは、
0.042448×(1-0.35)=0.027591≒0.028
2.8%と求められる。
倉敷市の賃貸マンションの還元利回りは、2.8%である。
11.岡山市の賃貸マンションの還元利回り
上記倉敷市と同じ求め方で、土地価格、賃料以外は同じ条件として岡山市の賃貸マンションの還元利回りを求めると、下記である。
2.7%
岡山市の賃貸マンションの平均還元利回りは、2.7%である。
鑑定コラム1755)「還元利回り、期待利回りの求め方」
鑑定コラム1754)「岡山県内の市区町の2DK家賃(平成30年1月)」
鑑定コラム1742)「京都右京区のマンションの還元利回りは3.0%」
鑑定コラム1734)「1月末の京都は寒かった」
鑑定コラム1638)「賃貸マンションのレンタブル比」
鑑定コラム1741)「平成29年RC造建築費は全国平均26.56万円/u」
鑑定コラム19)「還元利回りの求め方」
鑑定コラム1757)「土地還元利回りと建物還元利回り」
鑑定コラム1758)「倉敷・岡山の土地還元利回り、建物還元利回り」
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