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2561) 国内銀行不動産業への年間貸出額 過去最高に迫る 12兆2千億円 2022年

 2023年2月9日、日本銀行は2022年第4四半期(2022年10月〜12月)の銀行の貸出先貸出額を発表した。

 それによると2022年10月〜12月の国内銀行の不動産業への新規貸出額は、3兆1430億円である。

 前年同期は、3兆0756億円(発表時の金額、以下同じ。発表後に金額が変更されている場合が多々あるため)であったから、前年同期比では

                     3兆1430億円
                  ────────  = 1.022                        
                     3兆0756億円
2.27%アップである。

 四半期の対前年同期比の増加率は、下記である。
        2021年7月〜9月   前年同期比  + 4.3%
    2021年10月〜12月  前年同期比  +26.3%
    2022年1月〜3月   前年同期比  + 9.6%
    2022年4月〜6月   前年同期比  +10.4%
    2022年7月〜9月   前年同期比  +17.7%
        2022年10月〜12月  前年同期火  + 2.2%
である。

 貸出額増加が続いている。

 2022年第4四半期末直前1年間の貸出額を記すと、下記である。金額は発表時の金額である。

            2022年第1四半期   3兆6089億円
            2022年第2四半期   2兆3907億円
            2022年第3四半期   3兆0553億円
            2022年第4四半期      3兆1430億円
                計              12兆1979億円

 各四半期末直前1年間不動産業貸出額は、下記である。
            2016年12月           12兆3388億円
            2017年3月            12兆3580億円
            2017年6月            12兆1569億円
            2017年9月            11兆7927億円
            2017年12月           11兆7070億円
            2018年3月            11兆3894億円
            2018年6月            11兆3064億円
            2018年9月            11兆2219億円
            2018年12月           11兆03434億円
            2019年3月            10兆9189億円
            2019年6月            10兆7439億円
            2018年9月            10兆8577億円
            2019年12月           11兆0715億円
            2020年3月            11兆2599億円
            2020年6月            11兆3390億円
            2020年9月            10兆8391億円
            2020年12月           10兆6697億円
            2021年3月            10兆4344億円
            2021年6月            10兆3828億円
            2021年9月            10兆4889億円
            2021年12月           11兆1311億円
            2022年3月            11兆4459億円
            2022年6月            11兆6710億円
            2022年9月            12兆1305億円
      2022年12月      12兆1979億円

 12兆1979億円≒12兆2千億円である。 過去最高年間貸出額は、2017年3月 の12兆3580億円である。あと少しで最高額に近づく。

 上記四半期末直前1年間の貸出額をグラフにしたのが、下図である。




2022年第4四半期不動産業貸出額




 10兆円前半台へと少しずつ減少していた国内銀行の不動産業への貸出額が、2021年12月に再び11兆円台に逆戻りてしまった。そして、9ヶ月後の2022年9月には12.13兆円と12兆円を突破してしまった。3ヶ月後には更に12兆2千億円になった。

 今迄の不動産業への年間最高貸出額の12兆3580億円(2017年3月)である。

 その最高貸出額に近づこうとしている。少し異常な状態にあると思わないか。

 2022年第4四半期の国内銀行の総貸出額は、11兆7634億円である。

 総貸出額に占める不動産業への貸出額の割合は、
                      3兆1430億円
                  ──────── =0.267≒0.27                    
                     11兆7634億円
27%である。

 不動産業は、国内銀行の総貸出額の1/4強の貸出が必要となるほどの産業であろうか。

 国内総生産に占める不動産業の割合は、住宅の帰属家賃を除いた不動産業の実際の国内総生産は4.2%程度(鑑定コラム1556参照)である。

 国内総生産に占める割合が4.2%程度の不動産業が、総貸出額の27%の金額の投資先業種であるとは、かなりおかしいでは無かろうか。

 日本銀行は、国内銀行を指導して、甚だ偏っている貸出先の指導をすべきと私は思うが。

 任期2期勤めた黒田東彦総裁は、今年(2023年)4月8日の任期で退任する。

 後任の総裁は、東大名誉教授の植田和男氏と決定した。

 黒田総裁が行った超超金融政策を、どの様に正常な姿の金融政策に戻して行くことか。期待していよう。



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